地図の歴史と未来に関する考察


こんにちは!かっつーです。
今回は地図と近代の関係性について理解するために「地図の想像力」という本を紹介します。
この記事で学べること

  • 地図とはなにか?

  • 人類が領土という概念を獲得した近代と地図の歴史について

  • 未来の地図に関する考察

地図とはなにか?

地図といえばみなさんどんなことを思い浮かべますか?
社会と言われたときにどのような世界を想像するでしょうか?
地図をただの土地が区分され、様々な記号が記載された紙だと思っていますか?(実際はそう)
この本の作者はこのように地図のことを表現しています。
「地図は世界に対するイメージの表現であり、概念的な描像である」
これがどのような意味を指しているのかを説明します。
地図を見てみると、意味を持った記号が地図の中に書き込まれていますよね。例えば、交番であったら交番を表す記号がありますし、海岸線であれば海岸性を表す記号があります。その地図を見たときに、その街や地域、国などを想像するための概念が詰め込まれたものが地図ということです。
世界をイメージするための記号の集合体が地図であるということです。
他にも地図には様々な定義や考え方がなされています。

  • 地図とは、環境を図によって表現したもの

  • 地図とは自然及び人文現象を一定の規約に基づき、慣習的な記号で表面上に表したもの

  • 人間の生活環境である地球表面上の諸現象に関する知識を、利用したり伝達したりすることができるように、記号で表現して一種のデータベースのこと

などなど
地図には多種多様な解釈がなされています。
これらの地図に対する解釈をまとめ、地図の制作プロセスについてまとめると、下記のような認知プロセスで作っていることがわかるかと思います。
世界を見る→見たものを概念化&記号化→地図に記載
上記のように、我々人類は世界に対するイメージを記号を使って地図というメディアで表現しているということになります。
地図の普遍的な存在意義は、空間に関する情報を図や形で表現し、蓄積および伝達することです。
この情報を蓄積及び伝達するという点においては、新聞や本などと同じように、地図にはメディアとしての性質を持っていることがわかるかと思います。
地図とは世界を認識するためのメディアであることがわかりますね。

人類が領土という概念を獲得した近代と地図の歴史について

近年ではウクライナとロシアとの間で戦争が勃発し、社会的な緊張が伝播されています。世界各国で勃発している紛争や戦争には複雑な要因が絡み合っています。歴史や宗教、政治、経済、領土などなど戦争の要因はこれだと断定できるような社会的な現象ではないことがわかります。ここまで悲しい現象が起こっていると、そもそもなぜ国家が存在し、国家はなめらかにならないのか?領土の概念自体を解消することはできないのか?と疑問を持つようになります。
そこでこの記事では、領土の概念ができた近代について地図の歴史から解説したいと思います。
結論から言うと、領土の概念ができたのは、フランス革命以降であったと言われています。そして国家概念や領土をイメージとして形作ることに寄与したのが地図だと言われています。
つまり、地図が領土概念を作ったということです。
もちろん、国家概念を作ったのはルソーやホッブス、ロックなどの社会啓蒙家が社会契約論という概念を打ち出し、国家と個人が契約したことにあるという言説もありますが、今回は地図の視点から領土や国家観の形成について説明します。
現代では、自分の生まれが日本であったり、韓国であったりと国家があることが当たり前のこととして了解されていますが、中世や近代の人々はそうではなかったんです。むしろ非常に面白い生き方をしています。
当時の人々は、国家と他の社会集団の形式を区別せずに生きていました。
今風に言い換えるなら、日本人であり韓国人、アメリカ人でありロシア人みたいなイメージです。もちろん、国境を超えられるような技術は未発達でしたから、せいぜい馬で行ける程度の範囲です。
それから、地図というメディアが誕生し活版印刷技術によってそれが人々に伝播していくと、人々は社会というものを意識し、領土という概念を認識するようになりました。
国家や領土という社会を地図に描けるような空間として了解するような態度自体が非常に歴史的な出来事だったんです。
人々に地図というものが広がっていき、領土や国家、社会という概念が形成される前に、国境を意識していた人物がいます。
それは軍人や君主です。それ以前の人々は、国家という境界線を意識せずに生きていました。むしろ意識していたのは、職業や身分、宗教だったんです。単純な世界を単純に生きていたということですね。
国家間どうしの対立が起こるくらいならそんな境界線はいらなかったのかもしれないですね。

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