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健康診断はワンダーランド

1年に1度の楽しみ、それが健康診断です。さまざまなアトラクションがあるテーマパークの気分で毎年受診してます。

今年は早い時間に予約が取れなかったので夕方に行ってきました。受診の10時間前から食事がダメなので、前日の夕食以降何も食べらない軽いファスティング状態で結構フラフラでした。でも楽しいことが待っているので耐えられるのです!

ビルの中に入っている総合健診センターで、コースによって受付からエリアが分けられているため、係の人も受診者もすべて女性。受付を済ませたら更衣室のロッカーのカギをもらっていよいよスタンバイです。

女性は『着替え』が問題で、健診中は上の下着(つまりブラ)を脱いでいなかればなりません。予約する際「持参した白いシャツに着替えて受診してください」と言われるので、馬鹿正直に白いTシャツで受診するとものすごく恥ずかしいというか、落ち着かない気持ちでずっと胸元を気にしなければならなくなります。私は過去の教訓から、色は別に白でなくともいいことを知っていたので黒い厚手のスウェット生地のトップスで臨みました。

着替え終えたら待合いスペースに座って順番待ちです。ブラなし女性たちがみな所在なげに座ってスマホをいじっています。普段の生活では家の外でブラなしでいることはまずないので、それだけでとても不安な気持ちになります。周りを見渡すと、私のように厚手の生地の服の人もいるし、上からストールで隠している人もいるし、堂々と薄手のTシャツの人もいる。しかしどこか皆ローテンションというか、私のようにわくわくしている人はいないように感じました。そりゃそういうもんか。

待っている間に週刊誌や女性誌を読み、中途半端なところで名前を呼ばれて読みかけの雑誌を棚に戻すというのも楽しみのひとつなのですが、感染症対策のためなのか、雑誌の棚そのものがなくなっていました。スマホはロッカーに置いてきてしまったので周りを観察しながらゆっくりと順番を待ちます。『病院に飾られてる絵チェック』でもやるか、と思って壁を見ると淡い色彩の抽象画が飾られていて、ただ"Mayer"とだけサインが入っています。あまりにも著名な油彩画のレプリカや色彩の強い具象画や写真などではなく、こういう何も刺激しないような抽象画が病院には多い気がしますが、だれがチョイスしてどこで入手しているのか気になります。

いよいよ私の名前が呼ばれて尿検査から始まります。何年やっても紙コップに命中させるのが難しいですが、なんとか絞り出してトイレの中にある小窓を開け、搾りたてを置きます。むかし、学校から集められた尿を検査するバイトをやっていて、大量の他人の尿を機械にかけているうちにどんどん感覚がマヒして『汚い、臭い』など何も感じなくなっていったことなどが思い出されました。

次、女性の医師による内科健診。上着をまくりあげ、聴診器で前後を軽く当てられます。むかし憧れておもちゃの聴診器で同じような仕草をしてみましたが、何も聞こえませんでした。医師には何か神秘の音色が聞こえているのでしょうか。

そして心電図検査。例年機器が反応せずに技師の方が「あれ?」となるのが恒例なので、今年もそうくるかと思って「ま、私はおばけなので反応しませんけどね…」などと内心思いながら洗濯ばさみみたいなもので腕や足を挟まれ胸にぺたぺた丸いシールのようなものを貼られていたのですが、今年は蘇生したのかスムーズに終わってしまって少し残念でした。

血圧検査、胸部X線検査を終え、いよいよハイライトである血液検査です。私は血管が細いのか奥の方にあるのかとても見づらいらしく、いつも採血のお姉さんを困らせてしまうのですが、その真剣な眼差しとぶすっと針を刺される時の緊張感がたまりません(すみません)。今回も右腕と左腕を何度も何度も見比べて、私が親指をぐっと握りしめて最大限血管を浮き上がらせたところをお姉さんが一撃必殺、何とか目的を達成しました。どす黒い自分の血が管を流れるのを見ながら、少しリラックスした雰囲気になって「血管が細いって言われたことありませんか?」「はい、いつも迷惑をかけてしまいます」等の会話をする。この一連の流れが楽しいのです(本当にすみません)。

そして検査の締めは身体測定。普段体重を測る習慣がないので、ここで初めて自分の体重を思い知ることになるのですが、毎年5㎏ぐらい減っているようなつもりで1㎏も減っていないことがほとんどなのに、今年は数㎏減っていました。微妙な体重の増減にもやはり一喜一憂します。体の収支決算発表的な気持ちです。毎日体重計に乗ればいいだけの話ですが…。あとは視力がいいことが自慢だったのに、微妙に見えづらくなり、聴覚もなんだか怪しい。加齢を感じました。

バリウム検査や婦人科健診なども加わるとさらに軽い凌辱プレイ度が増して楽しいのですが、今回はなしです。

検査が終わったら、この空腹を何で満たしたもうか!と意気が上がってしまいそうになりますが、とりあえずはうどんを食べました。

花まるうどんが五臓六腑に染みわたり昇天しそうでした。

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