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【映画について】人生とともにある作品-ニューシネマパラダイス-

映画好きなら(いや、映画好きでなくとも)一度は通る「好きな映画は?」という質問。
映画を好きであればあるほど、たくさんの良作を観れば観るほど、この問いに対する答えは難しくなっていく。

しかし敢えて1作品だけを挙げるとするならば「ニューシネマパラダイス」と答えている。これは1988年にイタリアで公開されたジュゼッペ•トルナトーレ監督の作品だ。(他の有名作品は海の上のピアニスト。こちらも名作)

この作品を初めて観たのは大学1年の時だった。当時音楽系のサークルに所属しており、よく演奏していた曲目にこの映画のメインテーマがあり、どういう意味が込められた曲なのかを知るために観たのだが、その時は正直言ってよく分からない映画という印象だった。

2年ほど経って再びこの映画を観る機会が訪れた。当時は大分県別府市という所に住んでいたのだが、駅前にシネマブルーバードという古びた映画館があり、そこでリバイバル上映を行っていた。たまたま最前列の席でスクリーンを独り占めしたような気分だったが、なんと開始5分でボロ泣きしてしまったのである。
映画の冒頭で流れる音楽もまたサークルでよく演奏していた曲だったのだが、聴いた瞬間にそれまでのサークルでの苦労とか喜びとかそういう感情が一気に引っ張り出されて溢れてしまったのだ。後にも先にもそんな泣き方をしたのはその時だけだった。

そしてそれから数年おきに見返している。するとどうだろう、ストーリーは知っているし、そこまで複雑な内容でもないのに見るたびに新しい発見がある。新しい感動がある。恐らく自分の立場やステージに合わせて見方が変わっているのだろう。

つい先日も機会があって改めて観た。もう30年以上前の映画なのでもちろん古くささはある。けれど、いつ見ても綺麗で優しくて深い愛情に満ちた映画だと思う。きっと何年か先に観ても悦びを感じられるだろう。

最近では映像がどんどんリアルになり、迫力が増し、新たな興奮を生み出しているけれど、この映画のもつ余韻に匹敵するような味わい深い作品はどれほどあるだろうか。イタリア映画やフランス映画の白でも黒でもなくどこまでもグレーで、そして美しいシネマをこれからも大事にしよう。

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