泣きながら微笑んで ~AKB48・大島優子の懐古録~ #10

■2007.6.22 脳内パラダイス公演千秋楽(2)

M1「友よ」                            コーラスの増田有華の隣に長期休養中だった梅田彩佳の姿。場内の観客が申し合わせたように彼女のパートで大きな「梅ちゃんコール」。上手側でベースギターを抱える優子も大変嬉しそうな表情。

M2「脳内パラダイス」                       Aメロ前の「夏海がカワイイ!!」コール。松原夏海推しの誰かがこのコールを始めたと思われるが、いつの間にかM2における「お約束」となっていた。今更ながらこのコールを考えた人のセンスは素晴らしいと思う(笑) 

M3「気になる転校生」                       優子の小芝居や表情変化が楽しい1曲。千秋楽ということもあってか他のメンバーとアイコンタクトをとる機会も多く、最後の「脳内パラダイス」公演をメンバーと共に噛み締めていた。場内の一体感もこれまでの公演の比ではなく、オープニング3曲を終えた時点でメンバー全員の表情は充実感に満ち溢れていた。

そして迎えたユニットゾーン。トップバッターは勿論大島優子のM4「泣きながら微笑んで」。K3では最後となる「泣きながら微笑んで」の優子を私は固唾を飲んで見守った。この日の優子はいつも以上に喉の調子が良くなかったが、それを補って余りある「表現力」で劇場内に「優子の空間」を創り出していた。過去に曲中に居眠りをしていた客がいたことがあり、作曲の井上ヨシマサ氏からアレンジの変更を提案されたことがあったが、優子はそれを拒み自分の表現力を千秋楽まで磨き続けた。勿論この日居眠りをする客など存在しなかった。そして、曲は最後のサビを迎える。

  泣きながら微笑んで あなたを見送りましょう
  何度も立ち止まって 心配そうに振り返るけれど
  泣きながら微笑んで 一人に慣れるまでは
  ここから まだ 動けなくて
  そっと手を振り 小さくなる思い出の近くにいたい

  小さくなる思い出の・・・(チカクニイ・・)

感極まって声を詰まらせる優子。
あの時の彼女の胸中に去来したのはどんな思いだったのか?
「表現の難しさに苦しんだ日々」を思い出したのか、それとも「この曲と戦えなくなる寂しさ」を感じたのか、今となっては知る由もない。     そしてこの曲のクライマックスである「優子の微笑み」
最後の最後で優子はその大きな瞳から大粒の涙を流しながら微笑んだ。
まさに「泣きながら微笑んで」をリアルに演じてみせたのである。    歌詞の意味を踏まえたら、本当は涙を見せてはいけない場面だったかもしれない。でも、最後ばかりは「優子の素直な気持ち」を歌の主人公に投影したのだと思う。初日公演から約半年間にわたり「泣きながら微笑んで」を見続けてきた私も優子の涙を見て胸にこみ上げるものを感じ、改めて優子の行く末を見届けたいという思いに強く駆られたのである。          その後ユニットゾーン4曲、本編後半3曲と続き、K3公演で「一番アツい」アンコールを迎える。

EN1「花と散れ!」                        気合の入った表情で力強く拳を高々と振り上げる優子。        「やるときゃやるしかねぇ」「夢見ながら花と散れ!」「Ready Go!」         チーム活動終了後のチームKメンバーの決意表明のようにも聞こえる。

EN2「K2ndメドレー」                     「Virgin Love」「シンデレラは騙されない」のワンハーフVer.に続いて、「あのイントロ」が流れた瞬間、場内のボルテージがもう一段階上がる。 チームKの「魂の歌」と言っても過言ではない「転がる石になれ」。   これまでチームKに関わってきた者にとって「転がる石になれ」は「替えが効かない特別な曲」である。メンバーも観客も目一杯腕を振り上げ、可能な限りの大声で「We are the Team K!」を叫ぶ。曲が終わるとKリーガー達が予定通り「スタンディング・オベーション」。メンバー達は一瞬驚いた表情を見せながらも客席が用意した粋な計らいを喜んでいた。

EN3「草原の奇跡」                        
曲前に梅ちゃんが休んでいる間のツラい胸の内を吐露したり、卒業する高田彩奈が何故か唐草模様の風呂敷を被って山手線の駅を順番に言いながら腹筋・背筋をする芸(※正月のFC会員限定イベントで披露したことがあった)を披露した後に「楽しい時が終わらないと人は成長できない」という名言を言ったりと千秋楽ならではの進行。そして「草原の奇跡」のイントロが流れると、野呂佳代が「皆で歌おう!」と呼びかけメンバーが横一列になる。歌詞にこれまでのチームKでの月日を重ね合わせて涙を流すメンバーもいた。優子も時折感極まったような表情を見せる。そして、最後のサビリピートで劇場内にまさに「奇跡」が起きる。2月の休演者続出の際に発生した「Kリーガー」による肩組みの輪が場内に広がり、舞台上のメンバー達とシンクロする事象が再度発生。勿論場内の高まり具合は2月の比ではなかった。後にも先にも私が入場した劇場公演でK3千秋楽以上に「場内の一体感」と「自身の気持ちの高揚」を感じた公演は無く、まさに「これぞチームK」と言える集大成的な公演であったと思う。そして私の大島優子の応援生活において最も大きな影響を与えてくれた公演が「脳内パラダイス」であり、「最大の出来事」と言えるのが「『泣きながら微笑んで』との出会い」と「K3千秋楽公演の参戦」であった。 (#11につづく)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?