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成長曲線と成長直線

 成長曲線というのは、「曲線」というぐらいで、Y=Xのような比例では無く、Y=X2(Xの二乗)みたいに伸びていく。なので、努力すれども成果が出ない期間が長く、成果が出始めると、ババーンと伸びていく。という話は数多の自己啓発本で語られていて、だからこそ諦めずに努力を続けよう、みたいな結論になるわけですが。ところで僕が思うに、成長「曲線」になるのは、社会がそのようになっているからであり、それが正しい、ということでは無いと思います。あくまで、この社会においては、という話です。

 現代社会においては、少数の勝者が総取りする、という図式になってしまう。資本主義であれば大資本の方が有利であり、マスコミなどの媒体も独占できる。そういう構造であるからこそ、成果、つまりマネタイズできるのは一部の者であり、それも成功すれば莫大な金額になる。でも我々の感覚的に成長というのは、努力に比例するんです。Y=Xなんです。で、大体のことにおいて、本人のスキルというのも、かけた時間に比例してうまくなったりすると思う。問題は、それが現代社会においてマネタイズされるかどうか、ということです。

 マネタイズということを考えなければ、成長「直線」です。本来、それで正しいんです。あるスキルを身につけるために練習すれば、練習時間に比例して上手くなる。実用で身についた上で、さらに日本一とかを目指そうとすれば、なかなか成果が出ない、つまり現代社会においてマネタイズできない、というだけの話なんです。ということで、成長「曲線」というのは、枕詞に「現代社会の」とつけないといけない。そして、その社会構造というのも絶対のものではなく、たまたまそうなっている、というだけのことなんです。

 ということを踏まえた上で我々、多くの普通の人がやるべきことは、そもそも何をしたいのかを見極めることです。何の分野でもいいですけど、ライバルがたくさんいて日本一になりたいのなら、その道は「成長曲線」であり、しかもそこに運とかも絡み、ごく一部の人しか成果を得られないということは知っておくべき。その上でチャレンジするなら、そりゃ自由です。そして一方、マネタイズとか関係なく何かをするのであれば、それは大体、練習すれば上手くなります。成長「直線」で上手くなります。安心して、感覚のままに練習すれば良い。

 さらに、ここに承認欲求の問題も出てきます。というか、人間の欲望のほとんどは承認欲求だと思います。SNSに限ったことではなく、周りの人に認められたい。で、周りの人に認められるのは、実は簡単なんです。周りの10人の中で自分が一番得意ということは、たくさんある。この「周りの10人」も、同級生とかじゃありませんから。子供から高齢者まで含めての10人だったら、普通にパソコンのブラインドタッチができたら、最も得意なことになるんですよ。料理だったら、チャーハンぐらい作れたら10人の中でトップですよ。

 その程度の承認が得られれば、普通は満足するものです。なのに、なぜ日本一だとか、誰にも負けないとか、そういう話になるのかというと、人間関係が無いからです。無いから、SNSなどに求める。その世界は膨大な人間がいる世界ですから、認知されるためにはトップ層にならないといけない。そこに至るのは「成長曲線」です。でも、リアルな周囲の人間関係の中で役に立つ、承認されるというのは、それほどのスキルが必要では無い。成長直線で、素直に成長するんです。そういう承認が無いからこそ、成長曲線を求めてしまうんです。

 ということで、言っていることはいつもと同じく、周りのリアルな人間関係を大事にしようということです。リアルな小さなコミュニティの中で、自分が役立てることは、必ずあります。それが人間の多様性ですから。はい。またあした。

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