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飛躍は断絶する

「ユーザーは、実は本当のニーズを知らない。」と言う教訓じみた話に、フォードの自動車の逸話があります。

それは、もし車の存在を知らない当時の人々に、乗り物で何が欲しいか?と聞いたら、もっと早い馬が欲しい。と言っただろう。というものです。

本質的なニーズは「もっと早く移動したい」なのに、そのニーズが「もっと早い馬」の欲求になっていると言うわけです。

この、もう何百回と聞いた例え話は、確かに本質を突いているように感じます。

私がこのフォードの話を聞いて思うのは、人は、今の延長線で未来や物事を考えるが、人類の進歩や革命的な発展は、今の世界とは地続きではない。ということです。

毎年、日経が流行語大賞の予想や未来に開発されるだろうガジェットの予想を出しますが、まず当たりません。

ちょっと信じられないくらい当たりません。

ここまで当たらないと大きな理由があると思った方が良いと私は思いました。

それで思ったのが、日経は、今ある技術から未来を予測しているからだ。と言うものです。

世界を一変させて常識になりえるような発明は、既存の技術の10倍から100倍効率が良いため、それによって既存の技術を塗り替えます。(新しい革新的な技術が既存の技術を大きく塗り替えるには少なくとも10倍以上の革新性が必要である。と言うのは、大前研一さんの本だったかな?何かの本で読んだのですが、忘れました。)

馬から車への移動手段の変化がまさにそれです。

いくら馬の品種を改良しても、車にはなりません。

馬ではせいぜい数十%、できて数倍の効率しか上げれませんが、車はその何十、何百倍の便利さを生み出しました。

だから、馬ではなく、突然今まで存在しなかった「車」が未来を作ったのです。

これが、今回の記事「飛躍は断絶をする」と言うタイトルの意味です。断絶しているのはもちろん、今と未来です。

さて、今一番「飛躍の断絶」が起こりそうな分野は何かな?と思うと、やはり、皆さんが注目している、ARとVRが可能性が高そうです。

まず、私たちのメインの生活のステージがアトム(原子)の世界から、ビット(電子)の世界に移っている時点で大きな変化です。

例えばですけど、人が「美人になりたい」「イケメンになりたい」と願うのは誰にでもある大きな欲求です。ですが、それは人からチヤホヤされたかったり、モテて人に必要とされたいからです。それがVRなら皆アバターという姿になって、イケメンや美女になれますから、美に関して、イケメンとか美人とかとは全く違う次元の「モテる」概念が登場する可能性があります。

何でしょう?カクカクしないとか、ポリゴンが綺麗とか、所作が美しいとかですかね?(それが何かはわかりません。私は車を知らない状態で車を想像できません)

また例えば、人が移動したい、知らない土地を見てみたい、旅行したいという本能はVRで完結できてしまう未来にはどうなるんでしょうか?

そういえば、旅の醍醐味って、綺麗な景色を見ることでしょうか?何か本質は違う物かも知れません。VRはそこすら満足させることが可能なのでしょうか?

とにかく、「飛躍が断絶を生む」と言う考えが本当なら、今では想像ができない価値観のとんでもない世界が、数十年後ではなく、数年後に訪れるかも知れません。

終わり。


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