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ライズとボイル

サカナクションの山口一郎さんが、2021年11月6日、自分の曲について解説をするYouTubeライブをしていました。(探しても見つからないので、今はもう視聴することはできないようです。)

YouTubeライブの中で特に印象に残った、彼の作曲の方法と「言葉がライズする」という内容をメモとして残しておきます。数日経っているのでうろ覚えな部分もあります。

ボイル

『ボイル』という曲の解説をした時のことです。

この『ボイル』という曲は、山口さんの作詞の過程を表現しているそうです。

彼は釣り好きで有名で、「ボイル」も釣り用語です。

ボイルは、フィッシュイーター(魚を食べる魚)が小魚を狙って水面で跳ねる現象を指します。

フィッシュイーターたちの激しい捕食アクションが、水面がまるで沸騰してグツグツと煮立っているように見えることから来ています。

もう一つのキーワード「ライズ」は、小魚を捕食する際に、勢い良く水面にフィッシュイーターが飛び出すことを表した言葉です。

彼は、一つの曲を書くときに、80個くらいの歌詞を作るそうです。

そうして書いた80の歌詞の言葉を切ったり貼ったり繋げたり試行錯誤し、一つの曲にしていくそうです。

なぜこんな大変な作業を行うのか?

この行為を行うことで、全ては自分の中から生まれた言葉なのに思いがけない掛け合わせで自分の想像を超えた歌詞が生むことができるそうです。

そうして自分の想像を超えたレベルの作品になった時を持って完成とするのだそうです。

別々に産んだ言葉たちを混ぜてぶつけて自分の想像の枠を超えようとする苦悩の状態が「ボイル」で、そうして自分の言葉が自分を超えた瞬間を「ライズ」した状態だと表現しているのです。

意味が跳ねて ライズしたんだ

自分自身を超える方法

このライブを観て、考えたこともない発想で衝撃を受けました。

自分自身の想像力の限界を超える方法として実践的であり効果が抜群だと思いました。(ただし、誰でも出来るような優しいものではないですが。)

よく、個人開発で言われることで、「個人サービスではどうしても限界がある。チームでやれば思いがけないアイデアだったり個人を超えたサービスを生み出せる」と言われますが、山口一郎さんが示したように、アイデアだったり質だったら、個人でも個人レベルを超えることは可能だと言えるはずです。

私も、心のどこかで個人だと発想の限界があるのかもな…と思っていたので、それが甘えであることを思い知らされました。

では、個人開発ではどうやって個人サービスを「ボイル」させるでしょうか?

一番最初に思ったのはお客様の要望かな?と思いましたが、どうも違うような気がしました。ただの要望は表面的なものが多く、内容も分散されています。

私が今思っているのは二つです。

一つは、個人サービスを複数作り、それらで得たノウハウをまた次のサービスに生かすという行為を何度も何度もやること。

この研鑽によって個人サービスのレベルを高める。80の作詞は、80個のサービスに置き換えられます(そんなに作れないけど…)。

もう一つが、お客様の行動そのものを分析してサービスに反映させること。

個人開発した人なら経験あると思いますが、ユーザーさんって、こちらが全く想像していないような思いがけない使い方をするんですよね。

この行動を分析し、自分のサービスに生かすことが、個人が生み出したサービスが個人を超え「ライズ」する鍵じゃないかなと思いました。

終わり。

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