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因縁の社会福祉士試験問題 第30回 問43 その③

 当時、WEBで「2」をそのまま正答として解説しているところがありました。

その解説に、

『出題の総務省の資料中には「国民健康保険事業費」や「介護保険事業費」なんていう費目は存在していない、国家試験なのに存在していない費目を正解にするわけがない。また、会計学を専攻している者なら迷わず2を選択する』

私は、実際に資料を読み返して確認しました。

☆ ☆ ☆

問題43 「平成29年度地方財政の状況」(総務省)が示す2015年度(平成27年度)の地方財政において、次に示す民生費及び特別会計事業の費目のうち、歳出金額が最も多いものを1つ選びなさい。


1 生活保護費

2 児童福祉費

3 老人福祉費

4 介護保険事業費

5 国民健康保険事業費

☆☆☆


【出題の総務省の資料には「国民健康保険事業費」や「介護保険事業費」という費目が存在していない件】

 確かに、出題の総務省の資料に、国民健康保険事業、介護保険事業の 歳入、歳出額は載っていますが、「国民健康保険事業費」「介護保険事業費」の費目は記されていません。存在していないのです。

 『国民健康保険の保険事業費』と総務省の資料内にある『国民健康保険事業の歳出額』は、同じではありません。

経費だけの数字と、仕入も経費も合わせた数字とは別物、逆に例えると、利益と売上くらいの違いがあるのです。

 費目に無いことで、間違いの選択肢で5が存在するならいざ知らず(それもどうかと…)片方の2の選択肢は経費のみで、正解にしたい5は経費に仕入額も一緒にして「こっちの方が大きい」なんて、比較して何を問いたいのか?が、完全に抜け落ちてしまってます。

 もし、『国民健康保険事業費』の費目が、事業自体が費用だと、出題者が勝手に国民健康保険事業の歳出に『費』を付けて作成したなら、それが間違いの選択肢でなく、存在しない費目で正答としているのは、国家試験として許されることではないはず。

 国民健康保険事業の16兆2002億という歳出額をもって、5を正答としたかったのなら、ただただ歳出額を問う単純な問いで、

問題文は
『次に示す民生費及び特別会計事業のうち、歳出金額が最も多いもの』
解答欄は、
『4 介護保険事業
 5 国民健康保険事業 』
と、問題文から『費目』を消して、さらに解答欄の4と5からも『費』を消さなければいけなかったのではないでしょうか。

また、問題の資料の中に、国民健康保険事業の歳出内訳に存在する『保険事業費』は、ちゃんと記載されています。

 保険事業の事業費を算出するにあたっては、保険給付費は一般的な事業会計の仕入原価に相当すると考えらるので、保険事業の歳出額からは保険給付費等を除きます。

 国民健康保険事業の歳出16兆2002億のうち保険給付費は9兆5529億、単純に引き算しても、児童福祉費の約7兆5千億に届きません。
 実際、出題の総務省資料の国民健康保険事業の歳出の内訳を示す円グラフの中に『保険事業費1118億』と記されていました。
 資料内に『国民健康保険事業費』の費目が存在しない以上、『国民健康保険事業の保険事業費』が該当する、との判断は否定出来ないはず。

 ちなみに、資料内の介護保険事業の歳出には『保険事業費』の掲載は見当たりませんが、保険給付費を除くと7千億弱と判断できます。

 国民健康保険事業、介護保険事業の『保険事業費』を選択肢と考えても、『国民健康保険事業費』『介護保険事業費』が存在しない費目であるにしても、解答欄の4と5は正解の選択肢からは外れ、正答は2の児童福祉費となるはずです。


 その年の3月15日、正答として発表された選択肢は、5でした。

 問題の作成者は、『国民健康保険事業費納付金』(この語句は資料には出ていませんが)を略して『国民健康保険事業費』と扱われたかもしれませんが、それを正解の選択肢とするなら、実際に資料中にあって他の費目と比較する土壌も同一の『国民健康保険の保険事業費』を『国民健康保険事業費』としないのは、明らかに不適切なのです。


⭐⭐⭐

 もう三年も経ちますが、未だに納得していない案件です。

 でも元々は7問あるうち問43を除いても、あと6問全部間違っていたわけで、偉そうには言えないんですが…



第31回社会福祉士試験 問題99|かとも🍰 #note https://note.com/katomomomo/n/n567abd46ebc7



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