テントウムシを、見つけた日。
「はるみつけ」という宿題があるんだ、と2年生になった息子が言った。
「はるみっけ、じゃないん?」ときくと
「いや!ちゃうちゃう!はるみつけ!」と言う。
2年生になってからまだ間もないにもかかわらず、始業式から宿題はきっちりと課されている。初の土日に、絵日記のようなプリントが一枚渡されていた。それが「はるみつけ」なのだと言う。
「桜を書きたい」と言った。
いいよ、と言った。
「自転車で行きたい!」と言った。
いいよ、と言った。
今まではいつも付き添っていたけど、桜の木はすぐ近くにある。
一人で初めて、自転車で色鉛筆とプリントをもって彼は行ってみることになった。
道路に気を付けるんだよ。車がバンバン通るよ。
ちゃんと端に自転車を止めるんやで?
私に言われた言葉を、改めて父ちゃんにも言われる息子。
大丈夫!と言って、新品の自転車にまたがり、彼は行った。
しばらくして戻ってきた。
見せてというと、そこには真っ赤なテントウムシが書いてあった。
「ちょうどね、自転車にテントウムシが止まったの!
だからすごく、描きたくなっちゃった。
だからテントウムシにした!」
彼らしいなあ、と思った。
きっと私がそばにいたら、桜を描くんじゃなかったの?って突っ込んじゃったかもしれない。そしたら、彼はテントウムシを描かなかったかも。
どんな風に描いたんだろうなあ。
机もないところで、始めて一人で探しに行って。
ちゃんと探して、返ってきた。
プリントにちゃんと、捕まえてきた。
***
かわいい子には旅をさせよ、と昔はよく言ったものだけど。
なかなか怪しいこのご時世、一人でどこかに向かわせるもの親として勇気はいるんだけどさ。今日は良かったなぁ、と思った。
かわいい子には、旅をさせよぅ。
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