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貸し本棚のご紹介

こんにちは、加藤です。蜘蛛の糸をよじ登った大盗賊カンダタはどうすれば救われたのか考える毎日です。

貸し本棚の開発記を書いていこうと思っていますが、その前に貸し本棚の簡単な紹介をしておきたいです。

小説保管サービス

貸し本棚は小説投稿サイトの体を成した小説保管サービスです。投稿サイトとほとんど変わりませんが、大勢に読んでもらうための楽天のようなモール系ではなく、個人スペースを持つことができるレンタルカートのようなものです。

そのため、アクセス数の集計やランキング機能がありません。いいねボタンはありますが、いいねカウントは作者にしか届かず、読者にはどの作品が人気なのか、逆に言えばどれが不人気なのか、ということがわかりません。

拍手ボタンは任意設定で感想欄も設置できます

Web作家様にとっては、読者の反応は喉から手が出るほど欲しいものです。何の報酬もなく書き続けることができるような執筆中毒患者は数えるほどしかいないと思います。しかし、貸し本棚はいいねや感想などの報酬系をなにも提供しません。それは他のサービスで手に入ります。

J・K・ローリングはハリー・ポッターを義理の弟のカフェで執筆していました。連載作品ではないので、書き上がるまでは作品を評価してくれる人も、称賛してくれる読者もいません。しかし、作家が自分の作品に没頭しているその時間こそが、本当の創作活動であると考えます。

貸し本棚はそういった純粋な創作活動を支えるサービスとして設計されています。

執筆に没入する

執筆を開始すると本文だけが表示されます

貸し本棚のエディタは一般的な投稿サイトのエディタと同じように見えますが、文字を打つと周囲のコントロールが全て消失し、タイトルと本文だけになります。

周囲のコントロールハンドルやアイコンは気にならない、と考える方も多いと思いますが、これらの周辺表示の存在は「それを気にしない」ためのエネルギーを消費させ、執筆への没入を妨げます。

多機能エディタ

貸し本棚のエディタは多機能ですが、熟練の作家さんにとって邪魔な校正機能や自動ルビなどは実装されていません。

他方、エピソードリストを横断しながらの編集、全エピソードの検索と一括置換など、長編作品の執筆に必要な機能を備えます。
梗概は「ノート」という機能にメモ書きすることができ、アウトラインによって見出しにジャンプすることができます。長大な梗概であっても、必要な箇所を探す手間がかかりません。

「いまこういう流れで書いてるけど、この展開を大幅に変更してみたい。もとに戻せるように現状の文章を保存しておきたいな」というありがちなケースのために、版管理が提供されます。

現在の本文を版として簡単に保存でき、差分を確認できます

奇妙な機能ですが、執筆している本文をリアルタイムに別画面に反映させ、公開時の見え方を確認することができます。このライブ画面はURLを公開すれば誰でもアクセスできるので、執筆ライブを行うこともできます。

本文を記述するとこちらの画面に反映します

本棚に並べる

貸し本棚に投稿した小説を公開すると、ご自身の本棚スペースに配置されます。レイアウトがnoteに似ているように見えますが気の所為でしょう。

ご自身で作成したジャンル別に作品を並べられます

本文は横書きだけでなく縦書きにも対応しており、読者が任意に文字サイズや背景色を変更することができます。

縦書きの場合はブラウザサイズに合わせてレイアウトします

上記記事でも紹介した文字打ちという奇妙な機能があります。それ以外にもリーディングトラッカーや、任意設定の拍手ボタンが実装されています。

読書中は執筆画面同様本文のみの表示になり、それ以外の余計なコントロールは隠されます。文字通り耽読することができます。

ユースケース

貸し本棚は広く大勢に読んでもらうための集客は行っていないので、読者を増やすという目的に応えることは難しいと思います。

大きく分けて二つの使い方があると思います。ひとつは既に別の投稿サイトで公開した過去作品を集めておく場所として。もうひとつは、公開前の作品の執筆の場として。

過去作品の保管場所

貸し本棚はR18作品の投稿が可能です。本棚の上では、作家様の任意に作品を並べることができます。全年齢作品とR18作品を、レーティングを理由に差別・区別することはありません。
同じ熱量を持って書かれた作品を、同一ジャンルに正しく並べることができます。

過去作品を整理した本棚をもつことで、ご自身の作品リストとして宣伝することもできます。作家のポートフォリオとして使うことができます。

貸し本棚には小説家になろうやカクヨムのバックアップを一括で読み込む機能があります。数百話であっても一瞬で登録できます。
それ以外の投稿サイトに作品が点在している場合でも問題ありません。外部記事へのリンクを貼ることによって、作品のリンク集を作成することができます。

多くの投稿サイトは作品主義なので、作家様の手を離れた作品はカテゴリとレーティングとランキングに属してしまいますが、貸し本棚はそれらの作品を作家様の手に戻します。

公開前の執筆

公開前の作品の執筆の場としてお使いいただけます。テキストエディタやアウトラインエディタよりもWeb小説に必要な機能が揃っており、余計な機能で煩わしさを感じることはありません。優れたバックアップ機能を備えており、パソコンやスマートフォンが故障しても作品データが失われることはありません。

作品は貸し本棚のポータルや本棚に公開することもできますが、非公開にして、URLを誰かに渡すことで、特定の人だけに事前に査読してもらう使い方も可能です。

メールバックアップを設定することで、一日一回更新があった作品のバックアップファイルをメール送信します。作品データを失うことはなく、数日前のバージョンを確認することもできます。

大切な作品をより深く

貸し本棚は小説作品だけでなく、「記事」を投稿する機能があります。noteと同様のブロックエディタで様々なテーマの記事を執筆し、それらをジャンル、シリーズ、小説作品などに貼り付けることができます。

例えば、小説作品の時系列別の登場人物紹介、世界設定と歴史、執筆に関する裏話などをまとめておくことで、作品やシリーズのファンだけでなく、これから作品を読もうとしている人にとっても助けになります。

あるいはテーマ別に創作論や活動記録、思い出話、noteには書けない要レーティングな話題なども投稿し、並べることができます。

noteに記事書いてるからいらない? 大丈夫、noteの記事に直接リンクを貼ることができます。

通常の記事とリンク記事を並べられます

開発記

かなり大雑把に紹介しましたが、これ以外にも様々な機能があり、思いがけない使い方もできるサービスとなっています。

貸し本棚をより良く発展させるために、今後も開発を継続していきます。その開発に関わる技術面、デザイン、考え方などを発信していけたらと思います。

カンダタはこうすれば助かった

蜘蛛の糸を登り始めたとき、糸の末端を腰に巻き付けながら進めば、他の亡者に邪魔されることもなく、万が一手を滑らせたときのフェイルセーフになったでしょう。

誰かに邪魔をされない、障害を保全する、ということは、地獄から抜け出す条件となると考えます。あとはお釈迦様の気が変わらないことを祈るばかりです。

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