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『ざつ旅』3巻を読もう

石坂ケンタ作。サブタイトルの『That’s Journey』が最高にオシャレ。
創作に行き詰まった駆け出しマンガ家、鈴ヶ森さんが、勢い余って雑な一人旅に出かけ、なんだかゆるい旅にはまってしまう、というお話。何しろ行き先はツイッターアンケートで決めるほどの雑っぷり。でもこのゆるさに親近感を覚えてしまい、読んだら旅に出たくなる。というか、旅のハードルがグンと下がる。

家を離れて出かければ、それは旅なのだ。

また、旅は決して答え合わせのために行くものではないことも教えてくれる。

鈴ヶ森さんは、綿密な計画や細かな下調べなどはしないで、気の向くままに家を離れて知らない土地を歩く。最初は1人から始まった旅も、徐々に友人たちと共にすることも増え、様々なかたちでの旅を満喫するようになる。地理にも歴史にもグルメにも疎いけれど、だからこその新鮮なドキドキやワクワクを素直に感じることができる。道中での女子たちのゆるゆるな会話もまた魅力的。旅先ってテンション上がって口元もゆるむよねって感じで。

細かな解説があるわけではないけれど、自然と行ってみたいなと思わせてくれる、不思議な魅力のある作品。


ここからは、僕の勝手な思い入れ。作者のことは前作の頃から応援していて、今回のヒットは何だか妙に嬉しくて。ざつ旅を読んでいると、鈴ヶ森さんたちの漫画への思いや取り組み方が語られることがあるんだけど、それはそのまま作者の心の声に思える。この人がどんな風に創作と向き合っているのかがよく分かるし、その姿勢がとても真摯に感じられて、ますます好きになってしまった。




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