大学入試について思うこと
つい先程のツイートです:
入試の採点って本当に大変なんです!誰が入試の採点をしているのか?というのは、一応秘密にすることになっています。しかし、数学の教員は毎年ほとんど全員採点には駆り出されます(それどころか、他学部などからの助っ人も頼むくらい)ので、数学の大学教員ならみんな毎年入試の採点をしているなどということは、事実上はよく知られた事実だと思います。
数学の問題は、だいたいどこの大学も(少なくとも私が経験した4つの大学では)記述式の問題を出します。大学教授を辞めて一私人になった身として、少し軽やかに言わせてもらうと、いまだに記述式にこだわっているという点も、私には考え直すべき(見直すべき)重大なポイントであるように思います。このあたりにも、現今の大学入試のあり方の問題点が見え隠れしていると思われるからです(いろいろなメディアで発言しているのでご存知の人も多いと思いますが、私はそもそも大学入試はなくしたほうがいいという考えです)。この点は、この記事の後半で議論します。
私が京都大学で採点した最後の年に、Yahoo知恵袋に試験会場から投稿するという新手のカンニング事件がありました。その事件を報道する人気ニュース番組のキャスターが「数学なら答えは一通りに決まってしまうから、カンニングがあったかどうかは判断しにくいでしょうね」と言っていたのが、私には今でも強く印象に残っています。なるほど!そういう認識なんだ、と私はつくづく思いました。一般の人々が数学に対して抱いている幻想の一つが垣間見えた、と思ったものです。
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