頭蓋プロセス2

1: 頭蓋骨を描く

アーティストが頭蓋骨を学び、描く際のポイントを解説していく。ここでは、骨の部位名称を解説するのではなく、大きな形、中くらいの形、小さな形の順に描き進め、最後に外形に影響する構造名などを解説していく。

1-1: 頭蓋骨の枠を描く

頭蓋骨の比率は、ここでは以下のように設定した。
  縦=7(正確には7.5)、奥行き=6(6.5)、幅=5(5.5)
このプロポーションは、美術解剖学でしばしばモデルとされる白人種に近い。プロポーションは人種や年齢、性差によって大きく変わるため、あくまで目安として用いるか、自分で作って良い。例えば、頭蓋骨の幅は顔の奥行きの、90%から80%程度である。90%に近づけば丸顔、80%に近づけば面長になる(今回は85%)。ガイドを用いて無理が生じる場合は、フリーハンドの線など感覚的な形態処理で良い。

1-2: ベースの形状を描く

高さを3等分にする水平線を引く。3等分線の下方の2列をさらに2等分にする。顎の傾斜を描くための斜線を引く。

頭蓋骨のベースとなる形状を描く。このベース形状は、全身を描く際のクイックスケッチなどにも応用できる。

さらにこの段階で意識しておきたいことは、目鼻口などが含まれる「顔面頭蓋(がんめんとうがい)」と、脳を収める容器である「脳頭蓋(のうとうがい)」のボリュームである。赤:顔面頭蓋、青:脳頭蓋。

脳頭蓋と顔面頭蓋は、解剖学的には骨の結合部によって分けられている。しかし、この区分に基づくと、例えば、眉毛など眼窩の上方は脳頭蓋に含まれるため、顔の見た目の印象と異なる。したがって美術解剖学では両者を骨の接合部ではなく見た目で分ける方が良いだろう。

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