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筋の解説1:上肢の筋群

 全身の骨格筋の数はカウント方法によっては600を超え、美術解剖学の初学者にとって難解な理由の一つになっている。
 美術解剖学では、個別の筋を覚えていくよりも、筋をまとまり(筋群)で捉えた方が把握しやすい。また、グループ化することで最初に覚えなければならない筋の数を大幅に減らすことができる。絵を描くように、大きな形(全体)、中程度の形(筋群)、小さな形(個々の筋)の順に覚えていく方が効率が良い。そうすることで、用語が50を超える上肢の筋を、重要なボリュームを構成する9グループまで減らすことができる。
 この記事では、上肢の筋全体と筋群について解説する。筋群の範囲を覚え、大まかな形状と位置、働きについて学習していくことで、上肢の形態と構造の理解を深めていく。用語にはなるべく鉤括弧<>でルビを入れたが、用語が苦手な人は読み飛ばしても良い。

上肢の筋の範囲

胴体腕脚2

 ヒトの腕(上肢<じょうし>)に属する筋は、前方では胸や首、後方では背中の大部分を占める。上肢の範囲を初めて意識する人にとっては、想像よりも幅広く胴体(体幹<たいかん>)を覆っていると感じるだろう。腕には、肩から先の部分だけではなく、胴体をつなぐ範囲があるためである。

上肢の筋群

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 先ほど示した上肢の範囲を筋群で色分けした。筋群の分け方は、解剖学や運動学などそれぞれの学問領域や教科書によって異なるが、ここでは筋の付着部や作用によるグループ分けに加え、美術にとって重要な量塊(マッス)で分けた。以下に解説する9つの筋群を示す。
1.緑   :体幹から肩甲骨に付着する筋群(浅層)
2.水色  :体幹から肩甲骨に付着する筋群(深層)
3.黄色  :腋窩の前後を構成する筋群
4.ピンク :肩甲骨から上腕骨に付着する筋群
5.オレンジ:上腕の屈側の筋群
6.青   :上腕の伸側の筋群
7.紫   :前腕の屈側の筋群
8.赤   :前腕の伸側の筋群
9.黄緑  :手内の筋群

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筋の解説1:上肢の筋群

伊豆の美術解剖学者

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加藤公太。解剖学および美術解剖学の教員。
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