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中国人は日本人が喋る「訛った」中国語への評価が厳し過ぎないか?

普段中国上海で生活していてよく思うのだが、見た目が同じような感じの日本人であったり、韓国人に対して、中国人が求める中国語の要求レベルが高いような気がしてならない。

これが、見た目で明らかに分かる欧米人とかだと、欧米訛り丸出しでも「中国語上手ですね〜」とか褒めることが多いのに、何故か我々に対する風当たりが強い気がする。

「他的中文好」「你中文讲得不错」とか、この手の言い方はお前ら正直ほめてねーだろと思ってしまう。この手のフレーズは相手の顔を見ながら聞いていると真実がもろに見えてしまう。

日本人が、程度の差はあれ、外国人が喋る日本語については、一生懸命聞いて理解しようとすることが多いかと思うが、発音や声調が少しでも違うと聴き取れなくなる中国語においては、すぐに「あああああ〜!?」と中国人からの鬼のようなフィードバックが返ってくる。これで喋るのが怖くなって留学中中国語上手くならない人達を何人も見てきた。

日本語の場合、多少発音が訛っていても、発音自体が難しくない言語なので、大抵は何とか聞き取れるが、中国語は声調が違えば全く違う意味や言葉になってしまうので、ここらについてはまあ仕方のない部分もある。

それにしても、我々の「中国語」への風当たりは強すぎるような気がしてならない。日本人客が多い、日本料理屋や居酒屋だと店員さん達は皆慣れているので、下手な中国語でも普通に聞き取れている。

そうか、慣れなのか。(もちろん、その人との力関係もあるだろう。その場合は、聴いてて分からなくても分かったふりをすることが多い)つまりは、その外人丸出しの訛りを聞いたことがない中国人にとっては、それは気持ちの悪い違和感だらけの中国語だということなのだ。いや、そもそも中国語だと思われていないのかもしれない。くまてつさんのNOTEで面白い話が書かれていた。

“ある日本人がスピーチをしたそうです。 スピーチが終わった後、それを聞いていた中国人が友人に「いやぁ、日本語はやっぱり難しいですね。さっぱりわかりませんでした」と言いました。 でもその人が話していたのは中国語でしたので、友人はなんて答えていいかわからなかったと言ってました。”

これはほぼ笑い話に思われてしまうかもしれないが、私もこのような場面を目の当たりにしたことがあるので、笑えない。もちろん、聞いてる中国人側が「この人は日本語を喋っている」という意味不明なバイアスにかかっているのもあるが、実際問題「日本語訛りが過ぎる」中国語の為、その人にとっては中国語に聞こえなかったのであろう。

一つ、私の会社の駐在員とNS(ナショナルスタッフ、つまりここでは中国籍スタッフのことを指す)との会話をご紹介しよう。

日本人駐在員「私は10年中国に駐在でいたので、中国語も問題なく喋れるのですが、日本に帰ってからは英語ばかり使ってたので、今後はあなたと英語でコミュニケーションを取ろうと思います。但是你可以和我说中文」
上海人NS「你中文讲得非常一般,听不太懂,很吃力,我们还是讲英文吧」(あなたの中国語正直駄目ですね、何言ってるか分からないし、聴いてて疲れる、英語で喋りましょう)

隣で聞いていた私は思わずコーヒーを噴いた。あまりにストレートな反応だったからだ。そこまで言うかと。しかも、英語の方が上手だからという日本人駐在員よりもヨーロッパ生活が長かったそのNSの方が英語が遥かにうまいというこの皮肉……


最後に、私のエピソードも一つお伝えしておこう。上海に赴任して間もなく、とある他部署のところに座らせてもらっていたのだが、横に座っていた上海人の若いねーちゃん(眼鏡っ子、お姫様ファッション、正直見た目は下の中)が、私の方を度々チラ見して、イライラしている様子を見せていた。一体何事かと思って、「どしたん?話きこか?」と聞いてみた。返ってきた回答に私は悶絶してしまった。

「あの、言いにくいんですけど、ちょっと耐えられないのでやっぱり言わせてもらいます。あなたの(中国語の)喋りなんですけど台湾訛り(台腔)酷すぎませんか?私聴いてて耐えられないんです!」と。

私は思わずあんぐりと口を開けたまま唖然としてしまった。正気に戻るのに5秒ほど要したが、いや、お前が言うなと、お前かて上海語訛りばりばりやないか、と。

要は、日本語訛り丸出しの中国語と一緒で、彼女からすれば必要以上に「台湾訛り」の中国語が気持ち悪かったのである。もちろん、彼女の台湾に対する嫌悪感が元からあったのも多分に影響しているかもしれない。でも、そこまで言わんでもええやろ!と心の中で叫んだものだ。

※普段、何も意識しないで喋ると台湾訛りの喋り方をする。普段上海人といると上海人っぽい喋り方になる。それ以外の地域だと台湾訛りで喋ってしまう。自分でもよく分からないが、多分その訛りが喋る時に一番楽だからだと思っている。東北訛りみたいに必要以上に舌を巻くのが好きではない。(本来の中国標準語にはなかった音だから、という理由もある)

人間というものは、普段から慣れ親しんでいるものを良いと思う傾向があり、常にバイアスがかかった状態で生きている。母親の手料理が美味しいと思うのも、それが食べ慣れた味だからなのだという。

上海人のNSの話は極端な例ではあるけれども、一部で変な訛りを毛嫌いする人がいるのも事実である。頼むから、日本人駐在員は「服务员」だけ発音うまい状態から抜け出してくれ。あなたの中国語通じてるんじゃなくて、相手があなたに寄り添って努力して理解してくれている賜物なんだから。。。

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