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ギラついてる寧波阪急百貨店に行ってきた。

基本普段EC案件の仕事をしていて、プライベートでもタオバオやネットスーパーである盒马や叮咚を使っている自分としては、百貨店のようなオフラインの典型みたいなところには行かないことが多い。スーパーですらいかない。

ただ、一つ気になっている百貨店があった。

紆余曲折を経て今年4月寧波に開業した阪急百貨店が売上好調らしい。そもそも、海外初の阪急百貨店で、しかも北京・上海・広州といった「北上広」を飛び越えて、何故地方都市の一つである浙江省の寧波を選んだのか、色々気になっていた。

そこで、今回実際に行ってみて色々視察を行ってみることしたのである。

寧波阪急を紹介する前に、寧波という街がどういったところなのか、少し調べてみた。

寧波ってどれ程の規模の街なの?

宁波是国家历史文化名城,公元前2000多年的夏代,宁波的名称为“鄞”,春秋时为越国境地,秦时属会稽郡的鄞、鄮、句章三县,唐时称明州。唐长庆元年(821年),明州州治迁到三江口并筑内城,标志着宁波建城之始。明洪武十四年(1381年),取“海定则波宁”之义改称宁波

寧波の歴史は意外に長い。遡れば「夏」王朝時代から既に存在している。また「呉越同舟」で有名な越の国の国境地でもあった。司馬遷の「史記」が好きな方はこの説明だけでぴんと来るだろう。寧波という名前になったのは明の洪武帝時代だという。

では、経済的な面で見てみよう。

2019年8月,中国海关总署主办的《中国海关》杂志公布了2018年“中国外贸百强城市”排名,宁波排名第8。 [107] 2020年6月,经中央依法治国委入选为第一批全国法治政府建设示范地区和项目名单 [4] ;7月29日,入选2019年重新确认国家卫生城市(区)名单。 [5] 2020年,宁波市实现地区生产总值12408.7亿元

2018年に貿易統計において寧波は全国で8位に入り、2019年にはクリーンで綺麗な街に認定されいてる。GDPでは2020年に12,408億元を達成。

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これを見ると上海から近い位置にある外資が多い無錫をうち破ってGDPで全国12位の順位を勝ち取っている。これは中々にすごいことである。

无锡市作为全国民族工业和乡镇工业的摇篮城市,整个城市基础工业基础非常完善,整体的工业实力也是非常不错的一座城市,而至于多年跟随之后的宁波市GDP之所有能反超无锡市主要在于宁波的占地面积和人口数量都比无锡大了许多,在城市扩展发展上具有一定的优势并且人口红利也决定了宁波的崛起,并且宁波在行政级别上属于副省级市,而无锡市只是一座普通的地级市,因此在某些资源分配上宁波具有非常大的优势。

このサイトで何故新一線都市である無錫が、寧波にGDPで抜かれたのかについて簡単に彼ら目線で書かれている。なるほど、面積が大きく人口が多い上、浙江省で省都杭州に次ぐ重要都市に指定されているからだと。

では、寧波はそもそもどのような産業を基幹として、このGDPをたたき出したのだろうか。

この統計を見ると第二次産業と第三次産業が9割以上を占めている(まあ今時どこの都市もこんな感じだとは思う)。要は工業とサービス業が基幹産業である。工業は化学工業、アパレル(縫製工場等)、車・船舶関係等様々あり、幅広い。港を持ち保税区もあることから貿易は非常に盛んである。タオバオの越境EC商品は上海に住んでいる我々からすると、上海(外高橋)か寧波から発送されることが殆どである。

では、百貨店が乱立するようなこの寧波という都市において、人々の収入はどのようなレベルなのだろうか。

全年全市实现社会消费品零售总额4238.3亿元

一年の総消費金額が4,238億元…日本円にすると6兆円程か。すごいな…

全年全市居民人均可支配收入59952元,同比名义增长5.2%,扣除价格因素实际增长3.2%,与经济增长基本同步。按常住地分,城镇居民人均可支配收入68008元,名义增长4.8%,实际增长2.8%;农村居民人均可支配收入39132元,名义增长6.8%,实际增长4.8%。从收入来源看,工资性收入人均34860元,增长3.0%;经营净收入人均11237元,增长6.4%;财产净收入人均6048元,增长4.6%;转移净收入人均7807元,增长14.8%。城乡居民人均收入比值为1.74,比上年缩小0.03。全市居民人均生活消费支出34455元,同比增长1.5%。按常住地分,城镇居民人均生活消费支出38702元,增长1.1%;农村居民人均生活消费支出23481元,增长3.0%。

市内の市民で可処分所得が68,000元(約1.15百万円)、平均生活費等支出額が34,455元(585,735円)。これだけだと分かりにくいので、他都市と比べると、可処分所得上海が40,357元、北京が38,183元、広州元、深圳37,026元。(浙江省全体でみると30,000元程)

なんと、上海を抑えて(もちろん、上海全体の数字なので個々の区となると寧波よりも可処分所得が多いところは間違いなくある)この数字である。これは驚きだ。要は、老板がたくさんいてお金持ちが多いという統計数字と言えよう

ここらへんのデータを基に、また今後の発展の余地を考えて阪急がここに百貨店を開こうと考えたのは、なるほどなと思える。(実際の所は、関係者から詳しく聞いたわけではないが)

寧波阪急百貨店へ実際に行ってみた

阪急百貨店のオープンへの道程や開店当時の様子等は下記NOTEが詳しいです。上田さん、貴重な情報をご提供頂きありがとうございます。

また、寧波阪急が今までの百貨店と何が違うのかという点については、下記記事に詳しい。


私は、寧波駅から地下鉄2号線→1号線と乗り継いで「海晏北路」で下車、F出口が阪急の地下1階へと繋がっており、そこから突入した。

入った先は地下一階のフードコート(美食広場)になっており、上海では見たことがない店舗が多数入っていた。また、各お店の席も座り心地がよいようなものを多数採用しており、フードコートが非常に重要視される中国のモールや百貨店において、よく研究してるなと思った。

今回私は昼ごはんに「凪らーめん」をチョイスした。上海には同じ豚骨ラーメンの「一幸舎」があるが、こちらと食べ比べしたかったのである。

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普通にうまかった。豚骨ラーメンに厳しい私だが、普通に合格点をあげれるレベルだ。そもそも、「北上広」、深セン以外の都市でこのレベルのラーメンを食べれること自体が衝撃的である。上海金橋のララポートでも出店が予定されているようだが、中国でここしかないラーメンは非常に希少価値がある。

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中国初のがんこ寿司もあった。我々関西人にはなじみが深いが、近年は中国旅行客が好んでいく店というイメージだった。お昼の定食は上海の日本料理屋と比べると20%程高いイメージ。

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安定のダイソー。百貨店という家賃の高いところでやっていけるのか…

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これも上海にはないスーパー「イズミヤ」。スーパー自体はアピタと比べるとかなり小さく、商品ラインナップも日本食品が特別多いというわけではなく、品数少なく値段が高い。これは、阪急の当面のライバル店「和义大道购物中心」(地下鉄1号線「東門口」出てすぐ)に入っている高級スーパー「OLE」と比べると少し見劣りする。

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北海道小樽のルタオがあったのには驚いた。インバウンドが今後厳しいことを見越して海外店舗展開を決めたのかもしれない。ソフトクリームとロールケーキぐらいしかなかったが、阪急の本気をこの店で感じた気がした。

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コンビやMIKIHOUSEの店舗もあった。MIKIHOUSEの場合軽々しく実店舗を出さないので、これまた阪急の本気度が伝わってくる。

飲食店で見ると各ジャンルの日本料理屋を網羅している感じで、韓国やタイ料理等多国籍料理、中国当地で人気のレストランもしっかり押さえている(ミシュラン級)あたり、この市場をよく研究したことがうかがえる。

また、フードコートには快適さを追求したような椅子やテーブルが多く並べられており、道の至る所にも休憩できるよう様々なタイプのソファーを置いていた。道も広く、歩いていて向かいから来る人達とぎりぎりですれ違うというような体験もなく、非常に居心地の良い百貨店という印象

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実は、阪急訪問後、地元で有名な百貨店も数軒回ってきた。寧波で長い歴史を誇る天一広場とその地下2階にも渡る超絶長い「美食広場」も見てきた。寧波の中心地とも言える地下鉄「東門口」から「鼓楼」駅にかけての場所に数えきれないほどの百貨店やモールが乱立している。

ローカルの百貨店やモールが、「ただ買い物をするところ」もしくは「ただ食事をするところ」という両極端な場所であった為、どうも悪いところにしか目がいかなかった。それだけ、阪急がよく考えて店づくりしたことが逆に際立った感じである。

ロケーション的にも、今後政府機能が阪急側の開発地区に移ってくるという計画もあるようで、今後消費の中心が阪急側に変わる可能性もあることを考えると、今後の発展の余地は大いにありそうだ。

当初計画では3年以内に年商30億元という目標を掲げていたそうだが、今年度でもしかしたら達成するかもしれない。それだけ勢いがあるということか。いち関西人として寧波阪急百貨店の今後の発展を切に願うばかりである。


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