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日本全国縦横無尽 第1部と第2部のあいだ

第1部と第2部のあいだ。
舞台上にはらはらと咲いた真っ赤な“冬の花”を回収する時間。
出会った人たちについて書きとめておきたい。



1.いつまでも乙女な話


とある会場。
隣には70代くらいの老婦人がおふたり。
あちこちのコンサートに行かれているようで、誰々の時はどのあたりの席だったとか、誰々の時はどうだったとか、開演前の会話からワクワク感が伝わってくる。
始まると、失礼ながら年齢をまったく感じさせないほどの良いノリ。さすが歴戦の猛者。立ち上がって腕を振り上げ、表情もキラキラして、それはそれは楽しんでおられた。

第1部と第2部のあいだ、
「屈んだり、後ろ向いちゃったりして、お顔がよく見えないのよね~」
とキャッキャされていて、思わず目でお返事をして意気投合しました。


2.あなたへ


とある会場。
私の隣には、お父さんとその向こうに高校生くらいのお嬢さん。コンサートの間、お父さんが紙切れを手に持っているのが見えた。ずーっと持っている。チケットの半券かな?というくらいの大きさ。にしても、どうしてずっと持ってるのかな。

第1部と第2部のあいだ、
ふとお父さんの手元を見たら、その紙切れは奥様と思しき方の遺影だった。きっと代理でいらしたのだろう。
間違いなく、届いたと思う。


3.立ち上がった青年の話


とある会場。
前も後ろもカップルだったんだけど、隣はボッチ参戦の青年。1部は座って静聴していたのが、2部から立ち上がって、おそるおそるって感じで手拍子しだしたの胸熱だった。

「参戦」って言葉は好きじゃない、戦いに行くわけじゃないし、というご意見も見かけるけど、私は抵抗なく使ってた。そりゃもちろん戦うわけじゃない。演者と戦うわけじゃない。

いや、そうか、ライヴコンサァトに参加するというのは、観客の一員となってその空間を共に作り上げることで、演者の戦いを助太刀するようなものかも。

だからこれからも「参戦」と言い続けたい、そう感じた古都の桜の宵。
あの青年、間違いなく一緒に戦ってた。
そして、自分の中の何かと戦って、勝ったから立ち上がれたんだと思う。


4.飛行機がこわくなかった話


ここからは幕間の出来事ではないけれど、お付き合いください。

ギター名人遭遇の詳細。
とある会場への旅。
浜松町から羽田空港に向かうモノレール。乗るのはかなり久しぶりだった。
こんなに高いところを走るんだっけ?しかもけっこう揺れる。こわい・・・。
少しの前の公演のMCで、飛行機が揺れてこわかったけど、隣で名越さんが寝ていたので恐怖感をしのぐことができた、というようなことを仰っていた、とレポで読んだ。
それを思い出して、「モノレール揺れてこわい。隣で754サンに寝ててほしい」などとツイートしているうちに、空港に着いた。

羽田の待ち合いは3席並んで向かい合わせになっている。搭乗口近くは空きがなくて少し離れたところに座って、自販機で買ったパンを食べた。どこかに入りたかったけど、ピンとくるお店がなくて。
付近には、縦横無尽パーカーの方がちらほら。同じ便に搭乗するお仲間ですね。
斜め前の御仁は、縦横無尽パーカーではないな、Nハリパーカーかな?なんて思いながらお顔を見たら、上だけ太い黒縁のメガネ…、
え…、え?! ぬゎゎゎんとなんと、
ななななな…754サーーーーーン!!
静かに目を伏せ、お荷物はなく(たぶん)、トレードマークの美髪はパーカーの内側にしまっておられました。

吃驚して、あまりの至近距離に直視できずに、思わず目を逸らす。あんまりジロジロ見ちゃいかんと思って、そのまま窓の外の飛行機なんぞを眺めながら、搭乗が始まっていたこともあり慌ててパンを頬張り、その間おそらく十数秒だったと思うんだけど、再び見た時は、もう影も形もありませんでした。
夢だったのかもしれない…。


5.電車の旅、ぶつかった話


長野公演レポを読んでいたら、最終の「しなの」が鹿と衝突して遅延したというようなツイートをいくつか見かけた。それを見て思い出した。

高崎からの帰路でのこと。
乗っていた湘南新宿ラインの車内の電光掲示板に、東海道線遅延のアナウンスが流れてきた。宇都宮線(このあたり…に限ったことでもないが、いろいろな路線が相互乗り入れしていて、よくわからない)で「小動物が衝突したため遅延」との内容だった。
…小動物?!
しかも次は赤羽、というタイミング。。。
向かいに座っていた若いエビバデさんも気づいたらしく、目が合って思わず笑ってしまった。とてもほっこr…心があたたかくなった出来事でした。


おしまい。

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