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旅についてのお話

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日本一周、アメリカ横断、ユーコン川下り
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レアな体験というお題で改めて自己紹介

noteで「私だけかもしれないレア体験」というタイトルでコンテストが開催されているそうな。 決して自慢ではないが、レアな体験に関しては、僕はちょっとした自信がある。過去のnoteは、僕のレアな体験を書き連ねてきた、ある意味、レア体験集なのだから。 そこでその中からいくつかを選んで、コンテストに応募しようと思ったのだが、『審査対象は2022年12月15日11:00以降に投稿された作品に限ります。』とある。 ただ、注釈として、『(それ以前に公開済みの自信作がある方は別の記事と

挫折は人生のセーフティーネットなのかもしれない

noteを始めたとき、きっといつかこの旅について書くことになるだろうと思っていた。 過去の旅についてnoteに記すたびに、次はあの旅について書こうと心の中で思うのだが、ついつい先延ばしになっていた。 別に自分の失敗について話すのが恥ずかしいわけではない。 そんなことを言えば、今までのnoteなんて、スキが欲しいために恥ずかしい身の上をさらしている痛いnoteばかりではないか。 僕がこの旅について書けなかったのは、旅を終え帰国した後、写真の整理をする気も起こらず、かとい

ユーコン川のほとりでのソロキャンプは僕に人生の水準点を示してくれた

大学3年生のとき、アラスカのユーコン川を3週間かけてカヌーで下った。 ユーコン川は、カナダの北部、ユーコン準州のホワイトホースからアラスカ州を経由し、ベーリング海に注ぐ川だ。 この旅のきっかけは、前年の夏、アメリカ横断のオートバイツーリングの途中で、カナディアンロッキーのバックパッカーズ(格安のドミトリー宿)に泊まった時のことだった。 ロサンゼルスでオートバイを購入し、ニューヨークを目指す予定だったが、せっかくだからついでにロッキー山脈をオートバイで越えてみたいと、北米

犬吠埼キャンプ場のトイレを占拠する。そして、卵がゆに涙する。

大学1年生の7月にオートバイで京都の家を出てから約一か月半。 オートバイで日本一周を一筆書きする旅は、日本海を北上し、メインイベントの北海道一周を終え、東北の海岸沿いを南下しながら、房総半島に差しかかっていた。 雨の日にはユースホステルを使うことはあるものの、資金が限られている貧乏旅行だったので、基本はキャンプ場で自炊をする生活を続けていた。 犬吠埼からの夕陽を眺めたあと、千葉の最東端、犬吠埼のキャンプ場で、近所のスーパーで買ってきた豚肉とキャベツを味噌で炒めて、ビール

夢のバトンをつなぐ

大学1年生の夏。 オートバイで日本一周のひとり旅をした。 京都の家を出発し、日本海を北上。北海道を回った後は、太平洋岸を南下。日本地図に一筆書きを描きながら、四国・九州を経由して、フェリーで沖縄へ。この旅は16歳の時からの夢だった。 旅は終盤に差し掛かっていた。 夏も終わりに近づき、沖縄に向かうフェリーの中は、思ったより人が少ない。その2等客室の大部屋には自分と同じくヘルメットを片手に、大きな荷物をかかえた旅行者。一目見て互いに長距離ライダーだと直感した。 KAWAS

あの時よりおいしいハンバーガーをまだ食べたことがない

ハリウッドのどこかという以外、店の場所も名前も覚えていない。それに、たとえ同じ店で同じハンバーガーを食べたとしてもあの時よりおいしいと感じることは決してないだろう。 なぜなら、そのハンバーガーをごちそうしてくれたWangさんとはもう二度と一緒にハンバーガーを食べることはできないから。 期待と不安が入り混じった旅の初日に、それを応援してくれる人と一緒に食べるハンバーガーは、それだけで、忘れることのない最高の味になるのは必然である。 今日は今でも鮮やかな記憶が残るその日のこ

京都の青年 ユーコン川で人生のベンチマークを見つける

カナダのユーコン準州からアラスカに流れるユーコン川の名を日本で有名にしたのは、野田知佑氏に違いない。 僕自身もユーコン川をカヌーで旅すると決めてからは、彼のエッセイをずいぶん読んだ。 そして、ユーコン川を下るときに毎日握っていたのも野田氏のパドルだ。 ユーコンの短い夏には、世界中からカヌーイストが集まってくる。 そのため、ユーコン川下りのスタート地点となるカナダのホワイトホースにあるカヌーショップには、あらゆる国の旅人がやってくる。 僕はその川べりでカヌーの側面にぽっ