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失敗ばかりの1日だったけど

朝はやはり起きれなかった。
いつものようにすべてにグズグズしていた結果、銀行にも間に合わなかった。
閉まってしまった銀行を後にして、トボトボ帰る丼池筋。カウンターしかないカレー屋さんの店先で足を停めた。みかんとアボカドが一袋100円で売られていたのだ。6袋買った。地下鉄に乗って帰らないといけないのにほんとにバカ。重いのは平気だったんだけれど、遅い昼を食べに入った定食屋さんで、頼んだ蕎麦をひっくり返した。みかんを入れた袋が引っかかって。。。

70歳手前ぐらいの「お姉さん」が、飛んできて甲斐甲斐しく拭いてくれた。こぼした机の上と床はきれいなった。私が自分の粗相に呆然としている間、這いつくばって結構長いこと拭いていた。

私はスカートにまともにこぼしたので、その日は帰るまでずっと出汁臭かった。お姉さんたちは店長らしい禿げた50がらみのおやじさんに、「こんな折だから、あんたとあんたは明日は来なくていいから。」と言われたいた。

一連のことに平謝りに謝って、しゅんとしながらうどん(もう蕎麦はないのでうどんで)を食べようとすると、前に座っていた若い奴が激しく咳き込み、ひとしきり咳をした後、仕上げにでかいくしゃみをした。マスクなしで。殺意を感じるところだが、そういう自分はもう脇へやって「赦す」練習をしようと思った。

それから、妊婦かと思ったけど、よく見れば50代後半と見える縦横の比率が同じに見える、キューブ状の体型をした、長い痛んだ茶髪の「お姉さん」が入ってきた。
お姉さんは、「カツ丼」を卵ダブルでね、とオーダーした。(やっぱりな。)(よせばいいのに。)などど思う私をよそに、プカ〜と一服ついた。心から幸せそうに。
強烈な臭気はタバコヘイトな私にまたも殺意を抱かせたが、思いとどまった。
タバコを吸う人にほんとうに幸せな人はいないんじゃないかな。
それはそれとして、これも赦す練習にしよう。これぐらいのことでよかっじゃないか。ほんとうに人を憎むような事例じゃなくて。天変地異とかでもなくて。
ムカつくと言うとなら、店に入った途端蕎麦をぶっちゃかす私はどうなのよ。お店のお姉さんは優しいな。きっと優しくすることで、怒りを他の感情に転換したのだろう。

うどんとセットになった肉とじ定食はボリュームありすぎて、少し残してしまった。これで690円のところ、3時過ぎたので100円引きとのこと。安い!まあその安さに魅かれてお店に入ったのだが、これではあまりに申し訳ない。お会計時に千円札を出して、ご迷惑をおかけして申し訳ないのでお釣りは要りませんと言ったが、お姉さんは「それより火傷しなくて良かった、また来てくれたらいいのよ。また。」と受け取らなかった。「また」は来ないと思うし、お姉さんは多分そう言うだろうと思っていたけれど、どうしようもない。
チャキチャキしていて親切で一生懸命なお姉さんと、昭和のドラマに出てきそうな定食屋さんをあとにして、重いミカンを下げて家路についた。

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