不平を言う朝鮮人は「タコ部屋」送り

 如何とするとも矯正の実なく不平不満の者は如何に〔いま働いている〕鉱山は他に比し優遇し居るかを体得せしむる意味に於て鉱山の附帯事業の請負者の「タコ」部屋に収容するも一方法てある但し之は最悪の場合に於て行ふものにして妄に行ふへからさるものてある。「タコ」部屋収容は坑内就労を嫌悪する者に対しては著効ある様てある。

(出典:株式会社住友本社鴻之舞鉱業所「半島労務員統理綱要」1941年1月)

●解説
 「タコ部屋」とは、労働者を厳重に監禁して恐怖支配のもとで働かせる現場で、反抗的な態度をとれば半殺しの目にあう。当時でも非合法の奴隷労働であり、発覚すれば、経営者は刑法上の処罰対象となる。それでも、いつまでも「不平不満」を言うような朝鮮人労働者は「タコ部屋」に送り込んでおとなしくさせろ、というのである。
 上記の資料は、住友財閥系の鉱山に動員された朝鮮人に関する、会社側の管理マニュアルである。連れてきた朝鮮人をどう指導するかを説いている。「低級民族」の朝鮮人を、アジアの指導者たる日本人が「忍耐を以て彼らを立派なる皇国臣民の一員」に引き上げてやるのだ、という趣旨説明から始まり、具体的な訓練の方法を説明している。
 別の部分では、訓練してもいうことを聞かず「思想行動者、暴動者」と見なされた朝鮮人に対しては、「特別訓練」を実施せよ、ということも書かれており、その中でも「タコ部屋」に送るという方法が記されている。