紫陽花
そろそろ祖父の一周忌である。
しとしとと雨が降るこの時期
私はカタツムリのようにじっとりと家に籠り
過ごしていた
連日の様に、お焼香をあげに来る客人を片目に
煙の立ちこめる中顔を出しては挨拶をする日々を送っていた
ある日、近親の叔母が家に立寄った
叔母は今年で還暦を迎える。真っ青なワンピースを纏い
叔父を連れ、近況報告がてら来たようだ。
まるで、紫陽花のような人だな
私はそう思いながら
煙の匂いが染み付いた洋服を衣替えしなくてはなと
洗濯機を回す
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?