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#1 働く意味とは... ~高所得は邪魔?~


 仕事について深く考えたことはあるという人はどのくらいの割合がいるのだろうか。今では多くの若者は考えていると思っているが、昔は転職という言葉がない時で就職したらその会社で40年間ずっと働くのが当たり前だった。言い換えると人生は仕事であるといっているようなものである。一般的な経済学では基本的に手間をかけずに多くのお金を手に入れ、多くの満足感を味わえばよいと考える。要するに仕事の労働市場は需要供給曲線の一部であると考えるが、仕事に意味があり、生きがいを感じているのであれば、人はなぜ働きたいのか考えるべきである。そこで実験を基に考えてみよう。

 今回紹介するのは高いモチベーションと報酬は関連性があるかである。始めにインドの農村部で行った実験である。これは金銭的報酬が成績や実績を上げる手段としてどれだけ有効か調べた実験である。インドの農村部で大学生5人に協力してもらい、6つのゲームに挑戦させた。
① つめこみパズル……5つのピースを正方形の枠に収める空間パズル。最後の一ピースが難しく全部入れるのは不可能である。
② サイモン……1990年代に流行った電子記憶ゲームで順番でボタンを覚えて一個ずつ増えていく。
③ ラストスリー……ランダムの数字が次々と現れ、突然止まった時の最後の3つを入力するゲーム。
④ ラビリンス……二つのレバーを操作してゲーム盤の傾きを変え、迷路の中小さな球を転がしていくゲーム。
⑤ ダートボール……ダーツに似たゲームでマジックテープのついたボールを投げてそり中心に近づけるゲーム。
⑥ ロールアップ……二本の棒をはさみのように動かして転がすゲーム。テレビ番組のTOREの鉄球の試練みたいなものである。

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 これらのゲームを実験協力者に行った。この実験の前にサイコロを振ってもらって報酬の差をつけた。サイコロの目が1か2の場合、1ゲーム最大4ルピー(約10セント)で6つのゲームで最大報酬は24ルピーである。サイコロの目が3か4の場合、1ゲーム最大40ルピー(約1ドル)で6つのゲームの最大報酬は240ルピーである。サイコロの目が5か6の場合、1ゲーム最大400ルピー(10ドル)で6ゲームの最大報酬は2400ルピーである。ちなみにインド人一か月の一人当たりの平均出資金は500ピルである。

 ゲームの出来栄えの判定(評価)は三段階に分かれていて、優が一番で次に良で最後に不可と分かれている。なんか大学の成績みたい。ちなみにこのインドの農村部の月に使うお金は500ピル(11ドル)であるので、240ピルをもらえることは驚くほど凄いことになると言える。


 以上より多くの人にこの実験をやってもらった。結果は、図のようになった。

この図でも明らかであるが、一番稼ぐチャンスが多かった人が一番稼ぐ割合が少なかったと言える。これは人は利益の喜びより損失の痛みを強く感じ、損失回避の傾向から高額のボーナスの人は緊張してうまく結果の残せなかったと言える。ここで疑問が生じる。先ほど述べたような損失回避の傾向と高所得を稼ぐ可能性がある人は仕事の生産性が下がることは同値であるだろうか。ここからは次の章で語りたいと思う。

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