ソニーはEVで何を目指すのか

ソニーグループとホンダは5日、EV(電気自動車)の第一弾となる試作車を米ラスベガスのCES(技術見本市)で披露しました。新型EV「AFEELA(アフィーラ)」がそれです。
 
しかし、クルマそのものを売る気はない。ではソニーは一体、何を売ろうとしているのか。
 
「AFEELA」のフロントガラスの幅いっぱいに広がるデジタルディスプレー。そこに、好きな動画やコンテンツを自在に表示することができる。さながら「走るエンタテインメント空間」です。
 
ソニーはここで、新たな顧客体験をつくり、新しい課金システムをビジネスにする構想を持っています。基盤となるのが、ゲーム機プレイステーション向けのアカウント制オンラインサービス「プレイステーションネットワーク(PSN)」です。
 
直近のソニーは、モノを売って終わりではなく、関連したサービスや周辺機器で継続的に収益を上げるリカーリングビジネスに力を入れていますが、PSNの1億6000万人の顧客基盤をEVに活用すれば、安定的な収益を狙えます。

もう一つ、注目したいのが半導体です。
 
EVには高性能半導体が搭載され、自動運転や先進運転支援システム、5G移動通信システムに対応しています。購入後もインターネット経由でソフトウエアを更新し、性能を高めるOTA(オーバー・ジ・エア)と呼ばれる技術も搭載されています。
ここに、ソニーの商機があります。ソニーは、スマホのカメラや車載センサーに使われるCMOS画像センサーで世界首位です。次世代EVにソニーのセンサー技術をどう活用していくか。EVはソニーの半導体事業の躍進のカギを握っています。
 
ソニーはいま、EVのパートナー企業から多くを学ぼうとしています。「エンタメ」ばかりに注目が集まりますが、それだけではない。最新技術で何ができるのか。
 
ソニーにとってEVは壮大な実験場です。新しいモビリティのコンセプトを打ち出そうとしているとみていいでしょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?