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【1問1答】会社に「コストセンター」は存在しない

コストセンターってなんですか?

コストセンターは、収益を産まない部門を指す用語です。
逆に、収益を生む部門はプロフィットセンターと呼ばれます。

収益を産まない部門がコストセンターなら、会社にコストセンターは存在しますよね?

収益を直接産まない部門をコストセンターと呼ぶのであれば、会社にコストセンターは存在することになります。
しかし、間接的に収益を産むことに寄与している部門もプロフィットセンターに含めると、あらゆる組織は(理論的には)収益を産むことに貢献しているはずなので、会社にコストセンターは存在しない、ということになります。

それって、ただ定義をずらしているだけで、意味がある議論ではないのではないでしょうか?

はい、たしかに定義をずらすことで、すべての部門をプロフィットセンターに該当させているだけではあります。
しかし、プロフィットセンター/コストセンターという切り分けは、会計(多分、管理会計)のための区分に過ぎないはずなのに、部門運営にも影響を及ぼしてしまっている様子が見受けられるので、コストセンターに対して、あなた方はコストセンターではない、ということに一定の意義はあると思っています。

プロフィットセンター/コストセンターという切り分けが部門運営に影響を及ぼしている具体例を教えてください

予算策定の際や、部門目標を設定する際に、コストセンターに区分される部門は収益に着目しません。
逆に、プロフィットセンターに区分される部門は収益率が目標を達成している限りにおいて、コストの管理については寛容になる傾向にあります。
そもそも、当然ながら、プロフィットセンター内にもコスト要因は存在しています。それがたまたま別組織に切り出されたからといって、コストの取り扱いが変わるのはおかしいよね、というのが本稿のポイントです。

会社にコストセンターがないことを前提にすると、具体的な意思決定にどのような変化がもたらされますか

コストパフォーマンスに応じてコストの要否を判断するようになることが期待されます。
こう書くと当たり前のことのように見えますが、実のところ、コストセンターにおいては昨対比がコストの要否の判断に大きく影響していることが少なくないのが実情です。(実務上、連続性・予測可能性の観点からは昨対比も重要であることは間違いないのですが、それに引きずられすぎていることを問題視しています)
間接部門を「コストセンター」と位置づけないことで、そのコストで何を得るのか、それはコストに見合った利得なのか、そして、コストを支出した結果、実際にそれを得られたのかを正面から問えるようになるのではないかと考えています。

その考え方によると、コンプラ教育などのロングスパンでの取り組みの優先度が下がりませんか

「何を得られるのか」が明確ではないロングスパンの取り組みについては、コストパフォーマンスを測定することが難しいので、必要性を説明しにくくなるのは間違いありません。
しかし、リスクアセスメントを経ることで、その必要性を説明することは十分可能ですし、そもそもこれまで必要性の有無を調査せずにロングスパンの取り組みをしていたのだとすると、それは出口の方向がわからない状態で暗闇でさまようようなもので、やる意味が本当にあったのか疑問です。

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