a maze of luvとわたくし

「a maze of luv」を始めて意識したのは
あまのせきやの、あまのさんが参加している女性3人ユニット・Chocolate Lilyのライブだった気がする。

あまのせきやの時はもちろん作者のあまのさんが歌うのだが、
チョコリリバージョンではボーカルのnorikoさんが歌われて、趣も全く違う。
しかしとにかく私は思った。

この曲、すごい好きだ!

それからすぐに、チョコリリバージョンのアメイズが
ピーターバラカン氏のラジオ番組で選曲されて、
すごいすごい!と喜び(ファンなら当然)
その後、チョコリリだけでなくあませきでも耳にするたびに
目を閉じ、じっくりと聴き入り、
私の中のアメイズの国を少しずつ造っていった。

どういう経緯だったかはともかくとして、
あませきと
自分が参加しているユニット・西瓜糖壺がコラボするようになり、
まさかのアメイズもまたコラボでやろうという話になったとき、
私は自分は完全に、「役得!」というファン気分でいたので
今回はお手伝い要員だと勝手に思っていたが、
そんな素人甘ちゃん気分は西瓜ボスに一蹴され、
私は小さくてコロンとした楽器を手にし、
ど真ん中に居座ってアメイズの国の住人となることとなった。

*
最初に、西瓜ボスが作ったトラックを耳にしたときに
メロトロンの独特の音色がアメイズにピッタリ合っていて
大地と木と風だけのアメイズ国に、人がやってきた感覚があった。

録音・撮影の当日、
あませきとボスは音を鳴らしながらあーでもないこーでもないと
よりよい音を探っていってる。
みんなとにかく、一音一音と真剣に向き合っている。
すごい(当たり前なんだろうけれど)。
私は新人ローディか何かが「僕、修行中っすからせめて邪魔しないようにしなきゃな」みたいな気持ちで
じんわりと汗をかきながら
正直、いつ・どう鳴らせばいいのかわからないコロ楽器を持て余していた。


コロ楽器は全て私のタイミングと感覚で瞬間的に入れることになる。
何度か試してみるが「やりすぎ」たり、タイミングが合わなかったりで
なかなかうまくいかない、というか、何が正解かわからない。
誰かに「これでいいんですか?」と聞きたいが、できるわけがない。
みんなそれぞれの持ち場で最高のものを出すために試行錯誤しているのだ。

どうしたらいいんだ・・・。
ああ、私は楽器も弾けないし音楽経験もなさすぎる・・・。
情けない、情けない、なんでここにいるんだ・・・・。

そんな弱気な気持ちを
後ろから聞こえてくるあませきのギターと前からきこえてくるボスのメロトロンが優しく包みこむ。

そうだ、ここは私の大事なアメイズの国だ。
ここをどうしたいか自分で決めるのだ。

*

そうしてできた
あまのせきやと西瓜糖壺の「a maze of luv」

私はもうすでに何十回も聴いてしまっている。
あまのさんのカウントがあってギターとメロトロンが鳴ると
私はこの国の広い野原の大きな木を目の前に立っている。

*
風をうけながら
失ったもの、あきらめたことに思いを馳せ
無力な自分にそっと寄り添う。
雨が降る。
私は泣くが、草たちはおいしそうに水を飲んでいる。
ねぇ、私は悲しいのになぜあんたたちは真っ直ぐに生きているんだ?と叫ぶ。
でも、この国は格別に夕陽が美しい。
悲しみも切なさも美しい。
大地に寝転がりいつの間にか星が瞬きはじめた。
泣くことと笑うことに違いはあるのだろうか。
私は、この国を、ここにいる自分を、
愛しているのだと、思う。

*

どうぞ、聴いてみてください。
そして、それぞれの大地に触れてみてください。

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