いつか終わる、

子供がブランコで揺られはじめて45分。
私は公園のとなりの広い芝生の上をぐるぐる回っていた。散歩道もあるけれど、散歩道はすれ違いざまに挨拶するべきか?という永遠の謎が解けない私には歩けない。私のひきこもりの一因でもある対人恐怖はどこにいても私の行動に影響を及ぼす。
外出したい気持ちがあってもドアを開けた瞬間ご近所さんと出会ったらどうすればよいのかわからない。出かけなきゃ出会うことはない、止めとこ。みたいなことがよくある。
ランニングが出来ていた頃は不眠だということもあり朝3時にいったり、ゴミを捨てたりしていた。こどもを送迎する際は、ドアの覗き窓からお向いさんが居ないか確認し、出会いませんようにと祈りドアを開けた。
なんとかしたくて様々な心理学の本を読んだハズだ。ハズというのは何一つ改善していないし、憶えていないからだ。まあ、本をしっかり読めるのも安定している時だし、躁で買い漁ってうつで積読する。ということを繰り返している。
結局、双極性障害でうつ状態では人と会うのも億劫になるんだな、というシンプルに理解した。

 最近は死の恐怖に取りつかれていて、それは体重が減ったのが原因だけど、昔から一キロ減るだけでパニックになるような恐怖を感じる。どうすればこのパニックに近い恐怖から逃れられるのか?ユーチューブで検索すると<大愚和尚の一問一答>というチャンネルが出てきたので観てみた。

同じように死の恐怖に怯えている人が救いを求め、それに和尚さんが答えていた。うつだったこともあり内容は頭に入ってこなかったが話すトーンが心地良かった。聞き流しているうちにパニックは収まった。もしかしたら、理屈で納得するなんてことを求めていないのかもしれない。

 永遠とも思える45分。ブランコは止まらない。飛行機雲を見つけ嬉しそうだ。止まらないブランコを眺め、いつかこの笑顔にも終わりが来るのだ、と虚しさに支配され始めたとき、ふと思った。いつか終わる。つまり、今は終わらないと。だから今は安心してこの笑顔を見ていろと。そう思ったら死ぬことや終わることを考えて今を虚しく感じてのがもったいないと思えた。昨日の夜の大愚和尚さまの聞き流しの効果だろうか、急に躁状態になったのか分からないが、今だけがあるのだと思った。昔聴いた歌でずーっと違和感として覚えている歌詞がある「今だけが生きてる時間、なにのなぜ待っているのだ」それがいまやっと分かる気がした。
さっそく子供を喜ばせるべく、ラーメンを食べに行った。
飛行機雲を見つけたときと同じ笑顔を見せてくれた。



 

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