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地方活性化とブルーオーシャン戦略①

先日、表題の講演会をオンラインで実施した。

地方活性化において、ブルーオーシャン戦略をとっていくということが大切だという内容である。
ブルーオーシャン戦略とは、
『競争者のいない新しい価値の市場を創造し、ユーザーに高付加価値を低コストで提供することで、利潤の最大化を実現する戦略
』である(マーケティング用語サイトより)
それではなぜ、地方活性化にこの戦略が大切なのか。


①すでに世の中は「レッドオーシャンである」ことを理解する必要がある。


地方活性化の肝は、人口減少と、既存産業の衰退をいかに食い止めるか、そしていかに新しい稼ぎ方を実践していけるかである。マーケティング的に言えば、地方都市はライフサイクルにおける「衰退期」に入っている。また、都市間で競争が頻繁に起きている。東京からのUターンIターンの奪い合い、向上やIT産業誘致の奪い合い、特産物の売り込み合戦、などである。その中で、どうやって生き残っていけるかを考えなければならない。


②現状の冷静な分析と、変えるための心構えが必要

地方活性化における「ブルーオーシャン戦略」で大切なのは、『「取り除く」「増やす」「減らす」「付け加える」という四つのセグメントに、自身が身を置く業界や他社の取り組みを当てはめ、自社の事業を再整理するツール。現状の競争要因に対して、自身がどのように変化すれば、ブルー・オーシャンを創造できるかを整理』することである。もし若い世代の移住を目指したいというのであれば、ただ「子育て世代にやさしい」「給付金」だけではならない。何かを「取り除く」作業が必要であったり、「減らす」作業も必要だ。それが、地域の古くからの繋がりを支えてきた自治会の仕組みを変えたり、消防団の負担を変えたりすることなども考えなければならない。
ブルーオーシャン戦略に大切なのは、戦略そのものを考えるだけではなく、その戦略を実践していけるだけの組織になっていくことができるか、が肝なのである。


③ 学ぶべきは、中小企業の成功例

多くの地方では、そういったブルーオーシャン戦略を実践して、新しい市場を切り開き、この世界において生き残りに数歩前進をしている企業がある。
そういう企業の取り組みを見ていると、地方活性化に役に立つアイデアがたくさん見て取れる。
例えば、大分の竹田市、あじさい工房というところでは、薬膳を基本とした農家レストランと、伝統食品などの製造販売を行っている。これだけ見ると、どこにでもあるような事例に見える。しかし、ここのメインである「酒饅頭」は地元のスーパーなどにも卸している人気商品となっている。
なぜかというと、その饅頭は、かつてはこの地域の各家庭で作られていたものであった。いわゆる「おばあちゃんの味」である。それが、作り手が高齢化したこと、核家族化が進んだことなどで廃れていった。日持ちがしないし、そもそも「饅頭」はレッドオーシャン(競合がたくさん)な商品と思われるので、企業が新しく参入してくるような商品ではない。しかし、あの味を食べたい、という地域住民のニーズは色濃く残っていた。そこに、このあじさい工房は目をつけ、製造販売を開始した。作ってすぐが美味しいので翌日にまたぐわけにはいかず、製造は早朝。しかし、子育てを終えた女性たちの雇用がこれで生まれ、多くのお店にも卸せる体制が整った。いまでは事業規模は1億円にも達するという。


今回は3回にわたって、地方活性化のアイデアとなるような取り組みを紹介していこうと思う。ただ、一番大切なのは、「古い考え方」から、行政や地域団体、企業、そして住民も脱却しないと、新しいことへの転換は生まれないのだ。

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