ホメオパシーとは? そして忘れ去られたいくつもの死亡事件

※2019年3月にWezzyに寄稿した記事(https://wezz-y.com/archives/64041 https://wezz-y.com/archives/64198)をnote用にまとめ直して転載します。

 「ホメオパシー」については、名前くらいは聞いた事があるけれども、実際にどういうもので、どんな問題があるのかまでは詳しく知らない人も多いのではないでしょうか。10年ほど前になりますが、ホメオパシーによる「K2シロップ事件」などの死亡事件が次々と発覚して社会問題となりました。最近では、社会全体として当時の記憶が薄らいできている様です。そこで本記事では、ホメオパシーの歴史や基礎知識などのおさらいから始めます。

【ホメオパシーとは】

 ホメオパシー(同種療法)は約200年前にドイツ人の医師であるサミュエル・ハーネマンによって提唱された民間療法です。

 「あらゆる病気・障害を治せる」としているホメオパシーの理論は、患者と同じ症状を引き起こすと考える物質を「薬効成分」として、それを何度も水で希釈して振とうすることで(具体的には、100 倍希釈して振とうする作業を10数回から30回程度繰り返す)薬=レメディを作ることができるというもので、希釈度が高いほど効果があるとされています。希釈した水を砂糖玉に染みこませたレメディが主流です。

 ホメオパシーのレメディを作製する「希釈&振とう」のイメージ図は以下の通りです(分子を丸印で描いていますが、見やすさを重視して丸の個数は不正確です)。

ホメオパシー1

 ホメオパシーが考案された約200年前は、医学が未発達な状況で、手術はとても危険であり、治療法として鴻血や強い下剤、毒物(水銀、ヒ素など)を大量に投与するなどという、現在ではとても考えられない荒っぽいことが医療行為とされていた時代でした。そうした中で、ホメオパシーは安全な治療法としてヨーロッパ諸国や米国に広まり、その後世界各地に広められていきました。

 考案された当時は、まだ物質を構成する「分子」の存在は知られていませんでしたので、創始者ハーネマンは希釈を繰り返してもごく微量の有効成分が残っており、それによる効果があると考えていました。ハーネマンの死後、科学研究が進んだ事により物質が分子でできている事が解き明かされ、ホメオパシーの希釈方法だと元物質が1分子も残っていない(すなわち、ただの水である)ことが判明しました。薬効成分が残っていないので原理的に考えても効果を出す事はあり得ませんし、実際にプラセボ(偽薬)効果以上の治療効果も無いことが多数の臨床試験を解析した結果によっても明らかにされています(後述)。

 元物質が1分子も残っていないと判明してからは、ホメオパシーに効果がある理由として「水には物質の記憶がずっと残っている」という説明が加えられました。しかし、水分子の運動はとても速くて「水の記憶」はたった0.000000009秒しか保てません。「物質の記憶がずっと残る」のがもし本当であれば、水は地球を広範囲に循環(蒸発→雲→雨)して様々な物質と接触し、さらに大自然の力(海流、風、地震など)によって「振とう」されているので「世界中の無数の種類の物質が記憶されている」ことになります。したがって水には、特定物質を入れてレメディを作成する前に、様々な物質の記憶が残されていることになります。特定物質だけを記憶させたレメディを作るのは困難になりますが、こうした矛盾は無視されています。

 ごく微量に残存している物質が治療効果をもたらすと考えたハーネマン考案のホメオパシーは科学的に棄却されたのです。しかし、ホメオパシーを治療法として諦めきれなかった人達が継承していき、現在ではその理論は科学的な裏付けを欠いた「呪術」の様な体系となり、色々な流派に分かれています。日本に本格的に導入されたのは約20年前からです。それ以前から海外では治療効果のないホメオパシーに頼ったことによる健康被害が問題となっていました。欧米諸国では民間療法としてホメオパシーが定着していたことから規制が難しく、英国ではNHS(国民保健サービス)が2017年にようやくホメオパシーを保険適用の対象から除外する決定をしました。

NHS to ban homeopathy and herbal medicine, as ‘misuse of resources’

 日本では、1900年代末にホメオパス(ホメオパシー指導者)養成学校・レメディ等の販売会社・ホメオパシー関連の学協会などの設立が続いてビジネス化が進みました。ホメオパシー関連本やホメオパシーを好意的に取り上げる雑誌記事が増え、集客性があると見込んでホメオパシーを診療に取り入れる医療関係者も増えていきました。西欧貴族やセレブが愛用していると宣伝されて高値で売られているレメディは、「水」を浸み込ませた砂糖玉なので原価は安く、文字通り「甘くておいしい」商売でしょう。

 それから10年ほど経った頃に、日本でもホメオパシーによる被害が相次いで報告されました。ホメオパシーによる死亡事件が話題となった平成22(2010)年には、事態を憂慮した日本学術会議から「ホメオパシー」についての会長談話が出されています。

           平成22(2010)年8月24日 日本学術会議会長談話
                   (冒頭と最後の部分から引用) 
 米国では1910年のフレクスナー報告に基づいて黎明期にあった西欧医学を基本に据え、科学的な事実を重視する医療改革を行う中で医学教育からホメオパシーを排除し、現在の質の高い医療が実現しました。
 こうした過去の歴史を知ってか知らずか、最近の日本ではこれまでほとんど表に出ることがなかったホメオパシーが医療関係者の間で急速に広がり、ホメオパシー施療者養成学校までができています。このことに対して強い戸惑いを感じざるを得ません。
(途中略)
 最後にもう一度申しますが、ホメオパシーの治療効果は科学的に明確に否定されています。それを「効果がある」と称して治療に使用することは厳に慎むべき行為です。このことを多くの方にぜひご理解いただきたいと思います。

ホメオパシー宣伝本の例
(平成22(2010)年8月24日 日本学術会議配布資料より)

ホメオパシー2

「高価」なレメディの販売
(平成22(2010)年8月24日 日本学術会議配布資料より)

ホメオパシー3

【ホメオパシーに薬効はない】

 ホメオパシーを推進する側は「効果が確認された論文が多数ある」と宣伝しています。一方で、ホメオパシーの効果を否定した論文も多数あります。では、この様にバラバラの結果をどう総合判断したら良いのでしょうか?

 過去の様々な臨床試験の結果を総合判定する方法があります。

 まず、過去の色々な臨床試験のデータを集めます(この中には、ホメオパシー推進側のデータも平等に入っています) 。その中から実験方法等に不備があり、結果が疑わしいものを省いていきます。この選別条件は公平になるようにあらかじめ決められており、選別の途中で恣意的な操作は入りません。どの臨床データも平等に扱われます。そうして残った信頼できそうな臨床データについて結果を比較検討していきます。この様な、多数の実験データから総合判定する方法を「メタ解析」と言います。

 ホメオパシーに関して、最も有名なメタ解析の報告が2005年にランセット誌に掲載されたシャンらの論文です。このメタ解析は110件のホメオパシーのレメディを用いた臨床試験データと、比較として110件の従来の薬を用いた臨床試験データを集めて行われ、実験条件がきちんとしている臨床試験ほどレメディには「効果無し」という結果が出されているのが明らかとなりました。総合的にレメディには「プラセボ(偽薬)以上の効果無し」と判定されました。ホメオパシー側はこの不利な結果を受けて、「たった1報の論文だけでは否定できない」と反論していますが、その1報の内容には膨大な数の臨床データが含まれているのです。さらに、2015年にはオーストラリアの国立保健医療研究委員会(NHMRC)が176件の個別の臨床試験を含む57件の系統的レビューを精査しましたが、やはりホメオパシーがプラセボ(偽薬)より効果があることを示したものはありませんでした。

 プラセボ(偽薬)効果というのは、偽薬(本物の薬に似せたもの)を与えた時に現れる主に暗示による効果です。投薬された安心感や医師や施術者への信頼などの心理作用によって症状が改善すると考えられています。

 こうしたメタ解析についての詳しい説明はサイモン・シン&エツァート・エルンスト著『代替医療のトリック』(文庫版題名:『代替医療解剖』)(新潮社)に書かれています。この本には、ホメオパシー側のよくありがちな批判に対する反論も述べられています。著者の1人であるエルンスト教授は、代替医療の研究をしている専門家です。

 ホメオパシーが「効果あった」と感じるのは、プラセボ(偽薬)効果によることが分かっています。ストレスが溜まると胃が痛くなるなど、心と体の状態は強く結びついています。プラセボ効果は、無意識の自己暗示などによって症状が軽くなるものですが、特に痛みなどには効果的であることが知られています。

 また、自然治癒していく過程で、具合が悪い時にレメディを飲み、その後に症状が和らいだら、「レメディを飲んだら治った」と勘違いしてしまうでしょう。その場合は、レメディを飲まなくても同様に症状が消えたのですが、本人には「効いた」と思えてしまうのです。こうした「レメディを飲んだ」→「良くなった」という体験を何度か繰り返すことで、「ホメオパシーは効果がある」という思いを強くしていきます。

 自然治癒が難しいケースでは、どうでしょうか?

 レメディを飲み続けても症状が良くならなければ、さっさと見切りをつけてしまう様に思えます。しかし、ホメオパスは「体内からの毒出し効果よる好転反応(一時的な悪化)であり、そのまま続けないとこれまでの費用・我慢・努力が無駄になる」と、悪化を我慢させてホメオパシーを継続させます。レメディやホメオパスの相談料は高額ですから、それまでの投資をドブに捨てる決断をするのは大変ですし、ホメオパスを信じて続けようと決心する人達も少なくないと思います。実際、治療効果のないホメオパシーに傾倒してしまったことで悲劇的な事件も起きています。

【ホメオパシーによる諸問題】

 ホメオパシーは効果のない治療法ですが、前述の通り、個人が趣味で行う限りは放置しておいても大した影響はないと考える人もいるかもしれません。ここでまず問題になるのが、ホメオパシーは感染症も予防できると宣伝されており、必要なワクチンの代わりにレメディを飲んで安心してしまう人達がいることです。

 ホメオパシーの流派によっては、ワクチンを接種すると、ホメオパシーで体質改善してきた努力が台無しになってしまうと脅して、ワクチンを拒否するように仕向けます。本人たちは本当に効くと思っているのですが、実際には予防効果がないので、重い感染症に罹ってしまったり、後遺症が残ってしまったりします。特に問題なのは、感染症は他の人に病原菌やウイルスを広めてしまうことです。本人たちが感染して苦しむだけではなく、社会的な問題となってきます。

 次に問題なのが、ホメオパシーで子どもの病気を治療しようとする親です。ホメオパシーには効果があると思っているので、単純な「医療ネグレクト」ではありませんが、結果的に病気の子を無治療同然の状態にしてしまいます。海外では、子どもをホメオパシーで治療しようとして死亡させたことで両親が有罪になっている事例がいくつかあります。

オーストラリアの事例:皮膚病の子をホメオパシーで治療して死亡させた両親に有罪判決(2009年)

 日本でも、効果のないホメオパシーが広められたことで、それに治療を頼ったことによる死亡事件が相次いで起きてしまいました。新聞で報道された有名なケースとして「K2シロップ事件」があります。ホメオパシーの効果を信じてしまった助産師が、本来赤ちゃんに与えることになっている「K2シロップ」(頭蓋内出血を予防する効果がある)を与えず、親に無断でホメオパシーのレメディをその代わりに与えていました。その結果、その赤ちゃんは頭蓋内出血を起こして死亡してしまいました。

乳児死亡事件
(平成22(2010)年8月24日 日本学術会議配布資料より)

ホメオパシー4

相次いで発覚した事件
(平成22(2010)年8月24日 日本学術会議配布資料より)

ホメオパシー5

 さいたま市の生後6カ月の男児は、体重5千グラム前後の低体重のまま、アトピー性皮膚炎が悪化して亡くなりました(病状等は前述のオーストラリアの死亡事例とよく似ています)。この男児の両親は助産師からホメオパシーを勧められて、病院での治療を拒否していました。これらは氷山の一角であり、実はもっと多くの犠牲者がいる可能性があります。

 犠牲者の1人である国立市の43歳の女性は、体調を崩してホメオパスから治療の指示を受けていましたが、ホメオパスは重篤な状態であるのを見抜けず「好転反応(一時的な悪化)だから大丈夫」だと説明していました。女性は「病院へ行くとショック死する」「西洋医療(現代の標準医療)を受けなければ死なない」と思い込んでおり、病院で診てもらう機会を失っていました。この件では、女性とホメオパスが交わしていたメールでのやりとりが残されています。女性が救急搬送される3日前に、ホメオパスは苦痛を訴える(がんが進行し末期状態であった)彼女に対して、「明日のコンサート、本当行きたいと思ったら行けるからね。」と指示し、気力の問題だとしていました。

 ホメオパス(先生)に縋る女性が送った最後のメールです。

「レメディどれもききません。痛すぎます。たすけてください。」
「心臓、止まりそうな痛さです。先生お願いですから来てください。」

 その後、女性は心肺停止となり救急搬送され、それから11日後に亡くなりました。この女性とホメオパスとのやりとりを読み、医学知識のない人がホメオパスの資格を得て医者の真似事をしている怖さを心底感じました。

 病気の多くは自然治癒していきますので、ホメオパシーを使っていてもなんとか乗り切れてしまうことも多いと思います。しかし、自然治癒が難しい病気だとホメオパシーではどうにもなりません。ホメオパシーで対処できる病気なのかどうか、医学の専門教育を受けていないホメオパスには分かりません。ホメオパスは、それまで経験してきた(時間がかかっても)自然治癒する病気の時と同様な指導を続けてしまうので、国立市の女性のような悲劇が起きてしまいます。

【ホメオパシーが広がる背景】

 ホメオパシーを選ぶのは、医薬品の使用に慎重な人たちです。ホメオパシーの宣伝文句は、「服薬を減らせる」「自然な療法」等が典型的です。

 助産師にホメオパシーが広まったのは、妊婦には薬を避ける傾向にあることが理由として大きいと考えられます。薬に頼らずになんとかしたい妊婦のニーズに応えられるので、助産師との親和性が高くなります。「K2シロップ事件」が起きた当時、日本助産師会にはK2シロップの代わりにレメディを与える行為を推奨していた助産師が理事として加わっていました。そうした中で赤ちゃんの死亡事件が起きたのです。助産師経由でホメオパシーが広まると、小さい子を持つ親がホメオパシーに傾倒していくケースも増えていきます。ホメオパシーの思想に感化された親が子どもに病院での治療を受けさせなかったり、ワクチン接種を拒否したりするようになり、「医療ネグレクト」同然となっていきます。前述のアトピー皮膚炎が悪化して亡くなった生後6か月の男児の両親も、このケースでした。

 一連の死亡事件の後、日本助産師会は平成22(2010)年8月26日に、次の声明を出しました。

日本助産師会は、山口県で乳児がビタミンK欠乏性出血症により死亡した事例を受け、ホメオパシーのレメディはK2シロップに代わりうるものではないと警告し、全会員に対して、科学的な根拠に基づいた医療を実践するよう、8月10日に勧告を出しておりますが、一昨日出されました日本学術会議の談話を重く受けとめ、会員に対し、助産業務としてホメオパシーを使用しないよう徹底いたします。

 私はホメオパスが実際にどんな風に「診断」をするのか知りたくて、ホメオパスによる「相談」に申し込んでみた事があります。いくつかの死亡事件を起こした団体に所属するホメオパスでしたので、やや警戒して行きましたが、おしゃれな服を着た細身のきれいな人でした。素敵な調度品で飾られた相談室の中でQuantum Xrroid-SCIOという「波動機器」の一種を使って診断が行われました。

(参考)NATROMのブログ:ホメオパシージャパンが販売する波動機器 クォンタム・ゼイロイド

 ホメオパスは、その機械のプログラムに従って私の体調について質問していき、他に日常の悩みはないか等と親身な感じで聞いてきました。私からもそのホメオパスに色々と質問してみました。どこまで本当か分かりませんが、その人の夫は大手銀行に勤めており転勤族で、お子さんがアトピー性皮膚炎になりステロイドに代わる治療法を探していて、ホメオパシーを知ったそうです。この優しい雰囲気のホメオパスに憧れて、自分もホメオパスを目指そうとする人達がいるのだろうな、と思える感じの人でした。

 私の診断結果として、いくつか(6種類くらい)の症状の兆候があると言われました。その後、私にはそれらの症状を自覚することはありませんでしたが、もしいずれかの症状が現れたら、偶然だとしても「やはり当たった!」として信じてしまう人達はいそうです。さらにホメオパスは相談者から体調や悩みを上手に聞き出すことで、ホメオパシーなら対処できると説明をします。私はホメオパスと話をするのが目的でしたので、レメディ等は買わずに帰りましたが、せっかくだからと買って試す人は多いだろうと思います。そのうちの何割かは、前述の因果関係の誤認や暗示効果によって「レメディが効いた」と錯覚して、ホメオパシーに傾倒していくことになるのでしょう。

 医師の中には、患者の気持ちを考えずに不適切な対応をしてしまう人もいます。そうした嫌な経験があれば、優しげなホメオパスが親身に相談に乗ってくれると、そちらの方に頼りたくなります。医療関係者に対する不信感も、ホメオパシーに傾倒していく原因になっていると考えられます。

 実際に薬の副作用で体調を崩したことがあったり、治療困難な病気でなかなか症状が改善しなかったり、慢性的な病気で長期間にわたり薬を服用することが不安になっている人達もいます。そういう人達にとっては、「服薬を減らせる」「自然な療法」というホメオパシーの宣伝文句はとても魅力的です。その他、ホメオパシーは「発達障害を改善する」とも宣伝されているので、発達障害の子を持つ親は「なんとかしてやりたい」という親心から、やはり試してみたくなるでしょう。

 ホメオパシー団体は、様々な不安を利用するのが巧みです。2011年の原発事故の後は、ホメオパシーで放射能対策ができると盛んに宣伝され、「福島の土」から作ったというレメディが放射能から身を守るとして売られました。社会不安が起きると、その都度「〇〇のレメディ」が新たに販売されていきます。
※2020.4.5 追記:新型コロナウイルスが流行すると早速「サポートCorona」というレメディが売り出されて問題となっています。

(参考)NATROMのブログ:福島の土のレメディが売られるわけ

【一連の死亡事件が忘却されつつある】

 最近、またホメオパシーが広まりつつあるようです。ある地方自治体では、「生涯学習塾」の講座として「ホメオパシーセルフケア入門教室」が2018年度から開講されていました。自治体から依頼された「生涯学習塾」の運営委員会が講師を公募・審査していますが、その中にホメオパシーが紛れ込んでいたのです。2019年度の募集案内を見てこれに気付いた住民が自治体に指摘をしましたが、担当職員はホメオパシーの問題性について全く知らなかった様でした。

ホメオパシー8

 受講者は自治体が関与していることで安心して参加してしまうので、そのままホメオパシーを信じてしまう可能性が高くなります。募集案内の説明によると、受講希望者が10名以上で開講することになっているので、ホメオパシー講座も2018年度に10名以上が受講していたことになります。その自治体の担当部署に問い合わせたところ、ホメオパシー講座について批判意見がいくつか寄せられたことから、2019年度も開講するかどうか現在検討中とのことです。この自治体に限らず、講習会などにホメオパシーなどの「ニセ科学」が紛れ込まない様に、担当部署は日頃から注意を怠らないで欲しいと願います。

(追記)ここで取り上げた自治体の「ホメオパシー講座」 については、「生涯学習塾」の運営委員会で審議した結果、 2019年度以降は開講しないことが決定されました。

 ホメオパシーによる一連の死亡事件から10年ほど経ち、社会からその記憶が薄れ始めた今、再び注意喚起が必要だと思い、筆をとりました。ホメオパシーは最も基本的な「ニセ科学(医学)」なので、社会への広まり方も典型的です。他のニセ科学でも同様ですが、公的機関(行政、学校など)に関わり始めたら、注意をしていく必要があります。どうか、くれぐれもご用心下さい。

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