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> 一 六月の雨とエセ関西弁
ポールは柴犬だった。 「でもそうは見えないね」と僕が言うと、ポールは怒って 「失礼な奴…
ヒロと再会したのはポールと出会ってから十日ばかりたったある日のことだった。 その日も…
ポールはとても用心深かった。初めて僕に話しかけてから、次に口を開くまで実に二週間を要し…
四年ぶりの再会以来、僕とヒロはちょくちょく会うようになった。会うといってもどこかに遊び…
僕とポールはいつも最初に会ったのと同じ公園で話した。僕はたいてい彼に食べ物を持っていっ…
結局僕はヒロにポールのことを話した。彼が関西弁を話す老いた柴犬だということ。その無愛想な態度。突然彼がいなくなってしまったこと。そして僕が何となく彼を好きだということ。 ヒロは僕が話している間ずっと僕の右斜め後ろの壁を見ていた。 「信じられる?」僕は彼女に尋ねた。 「私はあなたを知ってるから、信じるわ」 そう言いながら彼女はグラスに残っていたビールを飲み干した。 「でも」まだ壁に目をやりながら、ヒロは続けた。 「きっと、彼がいなくなったのはあなたを元の世界へ
一月後にポールはあの公園に戻ってきた。彼は全身傷だらけで、疲れ果てているように見えた。…
「まず最初に言っとくけど」とヒロは切り出した。 「世の中には答えのない質問や解決策のない…
夜の公園で僕がソウタイセイリロンについて話すと、ポールは下を向いて悲しそうに笑った。 …
僕は、ヒロにポールの言葉をそのまま伝えた。でも、彼女は表情ひとつ変えなかったし、何も言…
「ライフワーク?」 「うん」 「そんなたいそうなものはないわ」 「そっか…」 でもポー…
それで、僕はヒロに自分の見た夢の話をした。 > 一三 僕とポール
だから、僕はポールに自分の見た夢の話をしたんだ。 > 一四 ヒロの分析 ~僕の望み~