見出し画像

マルシェへ出店で劇的ビフォーアフター!? 変化を遂げた5人の高校生たちの話

私は現在、大学に通うかたわら、「子どもの居場所」のスタッフとしてさまざまな事情を抱える子どもたちのサポートをしています。
今回は、地域のマルシェに出店した高校生5人の変化・成長と、それを通して確信した「地域」と関わることの素晴らしさについてお話ししたいと思います。

――――――――――――――――

きっかけは、私たちスタッフが高校生のグループ5人に「広場で開催されるマルシェに皆で参加してみない?」と声をかけたことでした。
高校生の1人はすぐに「やりたい!」と手を挙げてくれたのですが、他の4人は「別に協力してもいいけど……」というテンション。最初は前向きとはいえない雰囲気でした。

それでも皆でブレストして「手作り大学いもの配布」をすることに決定。ところが、進行や役割分担など具体的な話になると、また「そんなに面倒ならやりたくないかも」とネガティブな意見が続々。

皆、やる気がないわけではなく、「やったことがないしやり方も知らないから、うまくやる自信がない」と尻込みしているようでした。その後も「本当にやるの?できるの?」というあいまいな雰囲気がずっと続いていたんです。

ところが、マルシェの2カ月前、マルシェを主催する自治会長さんが大学いもの試食に来てくれたときから、彼らの空気がガラッと変わりました。

自治会長さんの試食のフィードバックを、皆真剣に聞き、自治会長さんが帰った後には、どう改善するか活発に相談し始めたんです。今まであまり意見を言わなかった子も「年配者が食べやすいひと口大にしよう」など積極的に意見を出すように。いい意味で議論が白熱していました。

そして、それ以上に驚かされたのがマルシェ当日でした。高校生5人全員が「子どもの居場所」では見せたことがない一面を見せながら、見事に大学芋の店を仕切っていたんです。

たとえば、後輩の面倒など見たことがなかった子が、マルシェでは小中学生の相手をとても上手にやって楽しませてあげていたり、いつもは人見知りで無口な男子が、地域の大人に積極的に話しかけ、イベントの片づけの手伝いまでしていたり。
思わず「そんなこともできる人だったの!?」と驚かされることの連続でした(笑)

自分たちが考えたものを、見ず知らずの大人たちとやりとりしながら提供するというのは、決して簡単ではありません。それをしっかりやり切れたことで、「自分たちも意外にできる」という感覚を得たようで、それ以降は普段の様子にも変化が現れました。

以前は、何か頼み事をしても、尻込みしたりやりたくない雰囲気を出したりする子が多かったのですが、マルシェ後には「どうやったらできるか」を前向きに話すようになったんです。たった1回の出店なのに、皆すごく成長したと感じました。

実は私自身、高校生のときに地域の大人たちと接したことで成長できた経験があります。当時の私は学校にも家にも居場所を見つけられず、たまたま先輩に誘われて市役所が主宰する地域のまちづくりサークルに入ったんです。

その活動を通して、地域の多くの大人と出会いました。「こういう大人になりたい」と思う人もいれば、逆に「こういう大人にはなりたくない」と思った人もいました。その経験すべてがその後の人生で大きな力になりましたし、自分が目指す方向を見つけるきっかけにもなりました。

「子どもの居場所」は子どもたちが安心できる場所ですが、そこで出会える大人は限られています。ときには地域に出て多くの大人と話し、新しいことを知ることが、これからの彼らの生活をより豊かにしていくヒントになると思います。

これからも、地域に出るおもしろさを伝えつつ、新しい体験に出会える場を中高生たちに提供していきたい。地域に出る魅力を知っている自分だからこそ、それができるのではないかと感じています。

今回のコラム担当:浅野暖斗(あさの・はると)/「子どもの居場所」学生スタッフ

栃木県栃木市出身。高校生が主体となり「まちづくり」をテーマに活動を行う団体に所属し、高校時代から同級生や地域の大人とともにさまざまな活動に取り組む。「誰に対してまちづくりがしたいのか?」と悩んでいた時にユースワークと出会い、大学1年生3月ごろからインターンとしてアダチベースでの活動を始める。現在アダチベースでは、高校生のキャリア支援や高校生クラスなどを担当している。

最後まで読んでいただきありがとうございます!Webマガジンはこちら▼