スタンダールの「赤と黒」を読んでも何もわからなかった話
私は唐突に思った。やはりスタンダールの「赤と黒」でも読まねばなるまいと。
これまで私はいっぱしの読書家を自負してきたくせに、名作と呼ばれる作品を難解だと言って遠ざけてきた。「赤と黒」は教科書にも載るような名著なのだから一読の価値はあるに違いない。そう思ったのはいつものように図書館で物色をしていて、片隅に古ぼけた世界名作全集を見つけたからであった。
しかしその全集はあまりにも古ぼけていて私は1、2ページ読み進めたところで一抹の不安を覚えた。私の経験上