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浮遊要塞種子島 #1200文字のスペースオペラ

 ざぶん、ざっぱーん。
 つ、ついに種子島が浮いたッ!
 およそ1500年前、一人の南蛮人により種子島は鉄砲伝来のグラウンドゼロとなった!
 そして極天文3012年、空から降り立つ一匹の異星人により種子島はオーバーテクノロジーを手に入れた!

「種子島卿!種子島卿〜っ!」

 羽織姿のギロンデが管制室を走る。この男こそ島を浮かせた異星人だ。
「核ユニット問題なし、ワープホールも開けまさぁ!」

 ギロンデの複眼がきらりと光る。「さっさと死にかけたホシからおさらばしやしょう!」

「ならぬ」
 腕組みを崩さず、種子島時堯33世は告げた。
「で、ですが」
「卿の言葉が分からぬかっ」ぴしゃりと合成音声を飛ばしたのはガンスミス国友。先の大戦でデーモンの酸液を頭から被って生き残った傑物だ。

「種子島卿はぬしの無念を晴らそうとしておられるのだ。憎きデーモンが地球の9割を滅ぼして数年。ぬしもわしらも生まれた星は違えど、デーモンを憎む気持ちは同じ。ここで勝負をつけようぞ!」

「国友殿……!」
ギロンデと国友は固く握手を交わす。同時に島が大きく揺さぶられる!鳴り響くビープ音!

「岩壁センサーにデーモン反応続々!被害足軽級!」
「電磁パルス起動します!」
「ヒナワレーザー充填完了!」

 対応に追われる管制室。種子島浮上に気づかぬデーモンではない。群体はすでに浮遊要塞を取り囲み、電撃のような速度で攻撃を始めていた。

「撃てい」
 種子島卿の発射命令が下る。島に敷設された5000門のヒナワレーザーから熱線が放たれる!!墜落するデーモン!

「む、なんだアレは」

 ああ、見よ!散り散りだったデーモンが次々と空を覆う!悪鬼は翼を折りたたみ互いに重なってゆく。

「やや!デーモン達が集まっている……?」
「アッ!種子島卿あれはッ!!」

 ギロンデが指すディスプレイに釘付けとなった。それもその筈、映し出されているのは巨大な悪鬼の顔面だった!

我はデーモンを束ねしもの……星ごと食ろうてくれる!

 巨顔は口を開くと、無数の光弾を放った。絨毯爆撃が如き猛攻はたちまち種子島の砲門を焼き尽くす。
「被害大名級!ヒナワレーザー60%損壊!」
「バカな……!デーモンに知性はないはず!」
「一体何が!」
 混乱が管制室を駆け巡る。ああここまでか、デーモンの首魁を前に種子島は沈むと思われたその時!

「おちつけい!!」
 種子島卿の鋼の声がこだました。
「いまだ切り札は残っておる。国友!ギロンデ!」
「「応!!」」

 国友とギロンデはスイッチを同時に押すと、轟々と響く爆発音!種子島の山が吹き飛んでいる!デーモンの仕業か?否、切り札は隠されていたのだ。

超超遠距離対応砲【TOKITAKA】

「はなてい!」
 高粒子弾が巨顔にめり込み、爆ぜた。鼻梁は崩れ、海に沈んでゆく……。

うらめしや…うらめしや…

「種子島卿、ついにやりましたな!」
「まだだ。救うべくはお主の星じゃ。」
「卿の言う通りじゃ!ガハハ!」

国友の哄笑が管制室に響き渡った。
(おしまい)【1198文字】


こちらは#1200文字のスペースオペラ に応募しています


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