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刀の沼、刀装具の沼

さてどうしたものか。
刀の沼も恐ろしいが。
刀装具の沼も恐ろしい。

刀は1振1振高いので、刀を買うのは銀行口座にロケットランチャーを撃ち込むようなイメージなのだが、刀装具は刀に比べると1つ1つが安いので、マシンガンで銀行口座を撃ち抜くようなイメージだろうか。

刀はあらかじめ大きな金銭ダメージを想定して覚悟を持って購入出来る気がするのだが、刀装具はあれもこれもと買っているうちに気が付けば塵積で致命傷を負っているような、そんな危険を孕んでいる気がする。

物欲とは恐ろしい。
いや、物欲があるだけ幸せなのかもしれない。
買って終わりではないのだ。
刀同様に静かな部屋で時代を経た物と会話を楽しむ事が出来るのだ。
それは買わないと体験出来ない。

しかし、しかしそれにしても…だ。

刀装具のジャンルの広さは一体なんなんだ…?
どこの誰かが刀装具を5000点近く集めたというのを見て、それは行きすぎだろ~、と思ったが今なら気持ちが分からなくもない。

刀にもジャンルは沢山ある。
まずは時代。
現代刀、新々刀、新刀、古刀(室町、南北朝、鎌倉、平安以前)。
流派の違いもある。例えば京の堀川派、三品派、埋忠派。
古刀であれば美濃伝、相州伝、大和伝、備前伝、山城伝。その他九州地方や
北陸の方。
同じ備前でも古備前や一文字派、長船派などこちらも枚挙に暇がない。
そして極めつけは長さによる違いもある。太刀、刀、脇差、短刀など。
途方もないし終わりがない。

さて、刀装具の方であるがこちらはもっとジャンルが広い。
時代で言えばほぼほぼ室町以降の物しかないわけであるが。
鉄鐔では古刀匠鐔、古甲冑鐔、信家、金家、赤坂鐔、肥後鐔、京透かし鐔などなど。
後藤家の家彫。
家彫以外の町彫と言われる金工作などもはや数が多すぎて数えられない。
刀装具に描かれるテーマも様々。
文様から動物、幻獣、文字、花や植物、中国故事などなど。
材質も鉄、真鍮、山銅、赤銅、金、銀、四分一、七宝焼…
彫り方も高彫や片切彫など様々。
そして何より刀装具は鐔だけにあらず。
目貫や縁頭、小柄、笄など部品も多すぎる。

もう、どうすればいいのか。
仮に本当に気に入った物を各ジャンルで1つだけ選んでも、5つ位買う事になる。
それに加え、きっとお金が貯まりより良い物が買える事になったら刀同様に刀装具もそれぞれを少しづつグレードアップしていきたいと思う人も多いだろう。
まさにエンドレス。
そして買えそうな時に限って欲しい物が出てくるのだ。
いや、買える時だからこそ買えそうな物の中から無意識に欲しいと錯覚しているのかもしれない。
物欲を抑えつつ、本当に欲しい物なのか?を何度も何度も考えそれでも欲しければ買う位でないとお金がいくらあっても足りない世界なのだ。
1つ対策出来る事と言えば、例えば鉄鐔だけ集めるなどジャンルを細かく絞る事だろうか。
しかし出来ればより多くの人の作に触れたいし良さを理解したい。
そうして物を見る眼が養われる事でもっと刀の世界を楽しめるようになるかもしれない。


つまり何が言いたいかと言うと。
誰か1兆円ください。


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それでは皆様良き御刀ライフを~!

↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

「刀とくらす。」をコンセプトに刀を飾る展示ケースを製作販売してます。


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