猿猴捉月の鐔② 猿猴促アワビ
猿が水に映った月を掴もうとして木に登ったものの、木の枝が折れて水に落ちて死んだという故事から転じて、身のほど知らずの事をして元も子もなくす事を例えた画題、「猿猴捉月(えんこうそくげつ)」。
好きな画題の1つで1ヶ月程前にスマホケースをこのデザインに変えたのですが、可愛らしくて気に入っています。
さてこの猿猴促月を画題にした刀装具が多い事は以前①でも紹介した通りですが、気に入ったモチーフの猿猴促月鐔が出てきたので買ってみました。
縦70.3mm×横65.9mmと結構小ぶりです。
サイズから見て脇差用でしょうか。
猿が手を回すようにして月を手にしています。
しかしこの月、裏側を見ると…。
これは…
鮑(あわび)です。
鮑。
鮑をモチーフにした鐔も結構あります。
しかし今回の鐔は明らかに意図的に月(三日月)を表現していると思います。
猿が月と思って手を伸ばした物は鮑であった。
「猿猴促月」ならぬ「猿猴促鮑」。
本来は身のほど知らずの事をして元も子もなくす事を例えた画題であるが、身の程知らずの事をして意外に綺麗な物が取れてしまった。
そんなユニークな洒落が込められているように感じます。
この鐔は記内鐔でしょうか。
記内鐔については全くの無知ですので勘です。
安く買える部類の鐔ですが、こうした洒落の効いた物はなんだか心温まりますね。
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↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)