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成木鐔⑯ 刀匠鐔(鎌透)

今回紹介するのは昭和54年(己未)に作られた古刀匠鐔を写した鎌透かしの板鐔。成木氏は昭和53年から自家製鋼による鐔作りを開始している。
箱は無いが銘の形はこの時期のものと一致しているし、まず成木氏が製作した鐔で間違いないと感じる。
縦104㎜、横103㎜、厚み2㎜(耳、切羽台共)と大型。

有本幸夫氏という人からの求めにより製作されたと彫られている
美濃住と切るのは珍しい。成木氏は岐阜県の方なので別に変ではない。
厚みは2㎜と薄く、大型であったり耳が立っていない事から古刀匠鐔をモチーフにしていると考えられる


こちらは常に見る成木鐔とは鍛が明らかに異質で、一言で言えば泥を乾燥させたような肌をしている。
爪ではじくとカンカンと音がするがこれは薄い鐔で透かしの有る為だろう。
他の甲冑師写しの成木鐔も同様の音がする。(参考までに分厚い成木鐔を爪ではじくとキーンと非常に心地の良い高い音がする)

土が乾燥したような肌をしておりあまり良い鉄味とは思えない

鐔製作の初めの頃(昭和50年以前)は成木氏は洋鉄などを使って鐔製作していたと本に記載があったが、成木氏は昭和53年から自家製鋼による鐔作りをしている事から、昭和54年のこの鐔はそうした自家製鋼により出来た鋼を使い鍛錬している可能性が高いように感じる。
しかし鉄質もザラザラしており手入れして良くなるタイプの物でもなく、個人的にはあまり出来の良い作とは思えない。
しかしこうした肌合いのものはそれはそれで味があると言えばそういう見方も出来るかもしれない。

いずれにしてもこうした成木鐔は一桁万円台で買える安い部類の成木鐔に感じる。年期も入っており研究用に買ってみたのであるが資料としては良い気がしている。


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成木一成氏については以下にまとめています。

↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

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