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2023.2.18 東京都支部刀鑑賞会①

本日は今年初の東京都支部の刀鑑賞会へ参加してきました。

テーマは刀が「末古刀」、刀装具が「拵と笄について」でした。
今日は刀装具を拝見しての感想を書き、明日入札鑑定の振り返りを書こうと思います。


刀装具のテーマは「拵と笄について」

・拵

拵がテーマという事で並んだ拵は、島津家伝来の大小拵、伊達家伝来の小さ刀拵、毛利家永久家老の益田家伝来の腰刀拵など。
まず目を引くのが益田家の腰刀拵であり、黒漆を塗った柄に後藤と思われる五三桐家紋を円形に配した目貫、鞘は金の漆?にて塗られ、そこに蛟(みずち)が黒にて描かれている。
非常に珍しい構図なのだとか。
また返り角の位置、及び角度が少し上を向いていることから古い形態を示すとのこと。どうやら刀の差し方による差らしい。なるほど。

島津家と伊達家の大小拵は共に家紋がちりばめられ、伊達家の小さ刀拵に至っては返り角などにも伊達九曜紋が描かれているという凝ったもの。
両者共にかなりの格の高さを伺い知れる拵であった。

尚、大小拵の基本形式(例外もある)は大の方に小柄&笄が付き、小の方は小柄だけ。故に鐔も大の方には櫃孔が2つ開いているが、小の方は1つ穴になっている。ただ小柄笄を付けないなど例外もあるので、あくまで基本の形式。
鞘尻は大の方は平らに、小の方は丸くなっているのが基本的な大小の様式。
下げ緒(紐)の長さも決まっており、大は5尺(1.52m)、小は2.5尺(0.76m)なので拵を新しく作る際は下げ緒の長さも守るべきとの事。

(画像出展:刀剣ワールド

・笄

刀装具を勉強するにおいて侍の表道具である笄から勉強せねばならん、と解説をされていた葉山支部長は言われた事もあるとのこと。
笄は古金工の作、祐乗や古美濃、前田家に伝来した宗乗、乗真、町彫りなどの笄、三所物で言えば、祐乗の獅子の三所(特重指定)と乗真の倶利伽羅龍の三所(武田家伝来)などこちらも圧巻の名品揃いでした。

鐔は時代の上がる古い物は櫃孔が小さい事から、笄も薄いものであったと考えられるが、今回はその中でもとりわけ古い形式とされる、耳掻部が逆側に倒れ込んでいる逆耳の笄が展示されていた。
笄は赤銅地らしいが黒さは無く山銅のような色味をしている。牡丹が描かれ、うっとりのような金の色絵が掛かっており、その金がはがれかかったような様相は時代を感じさせ実に雰囲気の良い笄であった。
笄自体の高さ(厚み)はあまり無くやはり薄い。
恐らく真玄堂さんのインスタに載っていたものです。

他にも古金工作とされる笄で、凄く薄手のものがあり定規に菊がデザインされたようなものや、南無阿弥陀仏と高彫されたような作があり楽しめた。
古美濃の笄もあったがやはり彫り方が側面から見ると断崖絶壁のように垂直、やもすると少し逆にテーパーが掛かるほど彫が浮いたように見え、高い彫金技術が伺えた。
古美濃も良いですね…。


・終わりに

それにしても刀装具は毎回見ている人が少なく、それでいて超の付くほどの名品が間近で拝見出来るというパラダイス状態。
気がつけば小1時間ほど刀装具に費やしてしまった。
その分鑑賞刀など一部時間が無く見れなかったものもあるが、今は刀装具に強く興味の出ている時でもあるのでしょうがない。
という事で個人的に好きな古金工と後藤家の作が見れただけでも大きな収穫でした。
刀の入札鑑定の振り返りは明日書こうと思います。



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↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

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