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自分の経歴とか

「会社員を辞めてなぜ刀箱師になったのか?」
最近メディア関係を周っている時などに度々聞かれるので、私の経歴を交えて書いておこうと思います。

端的に言えば「刀が好きで自分のスキルが活かせそうだった事、まだ世の中で専門でやっている人がいなかったから面白そう」が刀箱師になった理由です。

経歴
①2006 千葉工業大学 工学部に入学

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大学ではロボット作りをしていました。
ロボットと言っても、機械設計、プログラミング、配線、電気設計、などなどとても多くで構成されています。
それらのどれか一つでも欠けては動きません。
私はその中でも機械設計が特に好きだったので、設計の仕事に進みたいと考えるようになります。
作るなら色々な物を沢山作ってみたい、多くの人の目にとまる、人が触れるものを作りたいとの視点で就職活動を行うことに。


② 2010 ㈱SEGA入社

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SEGAはゲームセンターに置かれているドライブゲームやビデオゲーム、メダルゲーム、UFOキャッチャーなど幅広いジャンルの物を色々作っています。
色々な物を作りたいかつ、多くの人の目にとまる、人が触れる、自分自身の要望を全てを満たしている会社でした。
入社後はメダルゲームの開発から始まり、UFOキャッチャーなどの設計開発を行う事になります。
プライズ機では設計開発と平行してどんな製品を作りどんなタイミングで投入するかの中長期戦略も担いました。
当時バンダイナムコがプライズ機器販売でシェアNo1の座に君臨し続けていましたが、作った製品をきっかけに後続機を続けて出すことで徐々にシェアを伸ばし最終的にシェア1位を奪取するなど、なかなか体験できない貴重な経験もさせて頂きました。

③ 2017 30歳の時に育休

働き初めて8年位たったとき、子供が誕生。
これをきっかけに育児休暇を3ヶ月だけ取得する事に。
30になると仕事や人生そのものについて考える機会が増えました。
これは皆さんあるあるかもしれません。

子供との時間を増やしたい、このまま復職して定年まで勤める人生は果たして幸せなのか、という漠然とした悩みを抱く事に。
(因みに仕事は楽しく上司含めて理解ある方がとても多い優良職場だった)

その中でも仕事の一番の悩みはやりがいの部分。
もともと1人で多くの範囲を任せて貰える会社だったので、恐らく他の会社に比べるとやりがいはあったと思います。
ただ、企画書を基に作った製品は自分が仮にいなかったとしても結局似たようなものを誰かが作っていた(自分の代わりはいくらでもいる)のではないかと考えたり、
お客さん(製品を納める先のこと。例えばラウンドワンなど)の生の声や反応が直接届きません。
そんな事から自分の作ったものは誰かの役に立って喜ばれているのか?を
実感しづらく、苦労して作る割には虚しい気持ちになっていました。
ただそうは言ってもじゃあ他にやりたい事はあるのか?と聞かれると当時は特にやりたい事も無く、ただただ時間だけが過ぎます。

育児休暇も1か月を消化したある日ふと昔日本刀に興味をもっていた事を思い出し、実際に刀を手に持って見てみたいと感じるように。
そこで現代刀匠の方が行う「刀のお手入れ講座」なるものに初参加。
一気に刀の魅力に引き込まれます。

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・刀への興味は小さい頃から少しあった

少し脱線しますが、刀への興味は恐らく小さい頃からありました。
5歳くらいの時は祖父の家にある本物の刀の拵えでよくチャンバラをしたり(今思うと説教ものですが…)、小学生の頃にはデパートで行われている本物の刀の展示即売会で村正の短刀を持たせて頂いたりと刀に興味を持つきっかけは色々な所にあったと感じます。
そしてその時みた日本刀の迫力は今でも覚えています。
そんなこともあってか、高校生の時には実際にオークション(当時はビッターズ)で薙刀直しの刀が欲しいと思って、何度も入札しようとするも値段が10万円を越したり、高校生が日本刀を所持するという事を想像するとどうしても手が出せなかったりという葛藤もありました。
(因みに高校生が刀を持つことは法律上全く問題ありません)


④ 2018 刀を初めて買う

「刀のお手入れ講座」ではじめて刀を手にした事をきっかけに刀を欲しいと思う様に。
高校生の時に感じた葛藤はどこへやら、30歳にもなれば即買いに行きます。
買った時の様子は以下ご覧ください。


⑤ 2018 刀箱師として独立

刀を買った事をきっかけに、あまりに刀身が美しいので常時美術館のように飾っておきたいと思う様になります。
しかし、市販品を探してみても美術館クオリティで刀を飾れる家庭用の展示ケースが当時ありませんでした。
(というよりも市販されている刀用の展示ケース自体がほぼ無い、あったとしても異様に大きい)
そこで今までの設計開発の仕事を活かして自作を決意。
製作に当たり、育児をしながら会社に行っていては製作する時間が全く取れないので、思い切って会社を辞める事に。
その約半年後、最初の展示ケースが完成します。(画像のもの)

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そこまでの制作過程をTwitterなどに書いていたところとても嬉しい事に反響も頂き、今までエンドユーザーの声が届かなくて虚しい気持ちだったのに対して、直接声が届くのでやりがいや楽しさを感じるように。
刀が好きと言う共通の趣味の世界で繋がりながらも、刀を飾りたいと考えている人の為に自分にしかできない事をしたいと考えるようになりました。


⑥終わりに

刀箱師という仕事(刀の展示ケースだけを専門で作っている人)は恐らく今のところ世界で私1人だと思います。
今までも刀のケースは製作されていた事はありますが、例えば刀剣商が材料加工メーカーなどに依頼して製作してもらったとかが殆どだと思います。
例えば木材加工会社に依頼してケースを作ってもらおうとした場合ネックが2つあります。

1つ目は、加工メーカーの担当者に当たる人は大抵刀について知らないのでまず刀について説明をしないといけない事、つまり「刀のどこを魅力的に見せるケースにしたいのかの話がしづらい」というのがあります。

2つ目に、木材以外の材料を使う事が難しいということ。
例えば、アクリルやガラス、鉄など木材以外の材料を加工する事は木材加工メーカーには出来ないので、異なる材質を組み合わせて作ろうとすると急に難易度が上がる事になります。

その点、私は自身が刀を好きなので刀のどこを見せれば良いかはまず把握していますし、ケース自体の設計も全て1人で行っています。
様々な材料(鉄、木、樹脂、棒材、ゴム、金型)を使った設計知識を前の仕事で付けてきましたし、それぞれの材料メーカーとの繋がりもあります。
なので要望に近い形を再現出来ると思っています。
部屋に合わせてオリジナルでゼロから作って欲しいという依頼も受け付けていますので、もし希望等ありましたらHPのお問い合わせからご連絡頂ければ幸いです。

刀とくらす_2_Circumo

刀をインテリアとして部屋に飾る「刀とくらす」という生活様式を浸透させる事が出来るかどうかはこれからの私の挑戦になりますが、刀を飾る生活は実際とても素晴らしいので多くの方にこの魅力を伝えられればと考えています。(寝る前に部屋を真っ暗にしてケースの明かりだけ点けるともうその日の疲れが飛ぶくらいに最高っです…)
そして1人でも多くの人が実際の刀に興味を持つきっかけを作れれば嬉しく思います。
製作している展示ケースについては以下をご覧ください。

刀剣ワールドさんのブログ「刀ブロ」でもご紹介頂いています。


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それでは皆様良き御刀ライフを~!

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