「かわいい」
ただそれだけで選んだ鐔と言っても過言でもないかもしれません。
刀屋さんで買っても2~3万円位の安鐔とは思いますが、以外と梟が夜たたずんでいる景色に入り込めるというか、趣が感じられたのでつい手が出てしまいました。
梟(ふくろう)の顔も昔のものは大体このような少しデフォルメされた可愛らしい顔をしています。
耳部は段を付けて一見凝っているように見えるのですが、以前全く同じ外形の鐔で別デザインのものを見た事があるので、型で鋳造した量産品の土台に対して地荒らしを行ったり、彫り込みそこに別で作っていた銅の梟などをはめ込んでいったのだと考えています。
ただこれはあくまで個人的な推測であり間違っているかもしれません。
ただ櫃孔や茎孔を側面から見ても特段合わせ面のような物は見つけられませんでした。
しかし鐔表面はちょっと砂っぽいというか鍛造の鉄鐔とは違う印象を受けます。面もどこなく均一です。
指ではじくと「キン-、キン-、キン-」と短く鳴ります。
古屋の窓枠などは遠目から見ると金象嵌にも見えるのですが、緑青が出ている点や、一部剥がれている部分などから銅に金鍍金していると思われます。
樹などは鉄で出来ており、後からはめ込んだというよりは鋤下げたように感じます。ただ幹の風合いなど良く出ており、この辺り意外に良く作り込まれています。
江戸時代の町中の名もなき職人がお土産品などを目的として作っていたのではないかと勝手に妄想していますが、騙そうなどという「邪」の雰囲気が一切感じられず、真面目に作ったという印象を受ける作品で見ていて気持ちが良いです。
たまにはこういう鐔も良いですね。
模造刀に付けたら意外にしっくり来たので暫くこのまま付けておこうと思います。模造刀の金具を少しづつ変えていき本物っぽくしていくのも楽しいかもしれないですね。
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↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)
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