第9回「刀屋さん見学会」レポ
早いものでもう12月ですね。
刀屋さんに向かう途中、街はもうクリスマスでした。
日比谷公園では毎年恒例のクリスマスマーケットがやっています。
見学会の会場となる帝国ホテルでも毎年恒例のスイーツアート展をやっていました。凝ったかわいらしいケーキが地下のアーケード街に並んでいます。
そしてお店に到着。
①見学会の様子
(※参加者の方の撮影&掲載許可を頂いています。)
まずはお店の方から正面に飾ってある刀について説明頂きました。
国儔は堀川国広の門人で師である国広の代作を行ったり、大阪新刀の祖として有名な和泉守国貞(井上真改の父)や河内守国助の指導にもあたった名工です。精美な地鉄に明るく冴えた刃が特徴的でした。
そして左側には吉岡一文字。
吉岡一文字は鎌倉末期の備前伝の一派。福岡一文字は刃の焼きが高くて華やかさがあり吉岡一文字は比較的おとなしい、というイメージがありましたが、最近では吉岡一文字でも焼きの高い華やかな作も見つかっているようです。
映りも見やすいですが、うねるような地景は見ていてとても楽しめました。
・姿の見方
次に実際に刀を持ち、姿の見方のレクチャーがありました。
刀は手に持つと反り具合などがより分かり易くなります。
姿を見るためにはなるべく手を前に押し出して視線と刀を遠ざけると事で見やすくなると教えて頂き、早速皆さん実践!
皆さんとても美しいです。
持つ時に刀を上に上げ過ぎると、全体の姿が見え辛くなってしまうので、少し腕を下げると姿が捉えやすくなるなどのワンポイントアドバイスも頂きました。
・刃文と地鉄の鑑賞
全員が一通り刀の持ち方を学んだ後は、刃文や地鉄の鑑賞に移ります。
店内の照明を落としていざ刃文鑑賞。
明るい時には気が付き難かった刃中の細かな働きなどに気が付けましたか?
手に持って好きな角度で光を当てて鑑賞出来るのは、美術館では出来ない事で見え方もまるで違うので感動します。
・刀の健全度チェックポイント
その後は、刀のどこを見たら健全か分かるかについて説明下さいました。
刀の健全度は値段にも大きく影響を及ぼすところであり、その刀がどの位健全であるのかを知って置く事は買う上でも非常に大事です。
(ネームバリューだけで高くなっている刀も結構ありますので…)
細かい説明は参加者特典として、要所要所の写真だけ載せておきます。
この感覚を頭に入れ込んでおくと、研ぎ減っている刀を見た時に分かり易いのでお勧めです。
ただどうしても時代毎の健全性という物があるので、そこは認識しておきたい所です。例えば100年前の刀は健全な物が多いですが、鎌倉時代のものにこの健全性を求めるのはなかなか酷というものです。
この後も刀が次々と出てきて、ひっきりなしに鑑賞されていました。
途中私も鑑賞させて頂く事に…!
結局毎度の事ながら私だけ15時頃帰ることになりましたが、他の方はまだ楽しんでらっしゃるようでした。
沢山見られて想像以上に疲れているかと思いますので今日はゆっくり休まれてくださいね!
②鑑賞刀一部紹介
今回もとても有難い事に重要刀剣はじめ沢山ご用意頂きました(中には長光も…!)
ここで鑑賞した内の2振を簡単に紹介します。
・元重
大摺上げ無銘の元重極めの太刀です。
切先が大きく、豪壮な体配から南北朝期の特徴が見て取れます。
刃には足や葉といった働きが多く見られ、帽子が尖って返っています。
地沸が細かに良くついており、匂口は柔らかいです。
樋(刀身の溝の部分)と刃文の間には乱れ映りがよく立っています。
個人的には青江にも似ているような印象を頂きました。
まさに名刀。
・古京物
古京物は三条や五条あたりの時代の京物を指します。
この太刀は大摺上げ無銘で銘が無いのですが、打ちのけや二重刃が諸所にかかるところから、田野邉先生の鞘書きで三条と極められています。
この太刀はかなり疲れて(研ぎ減っている)地の荒れている箇所も多々見られるのですが、古い時代を感じさせる雰囲気があります。
刀の多くはこのような状態の物が多く、健全で疵の無い刀も良いですが、こういった時代の流れを感じさせる状態の物も許容出来るとまた面白さが一つ加わるような気もします。
という事で第9回刀屋さん見学会のレポでした!
次回刀屋さん見学会は来年になりますが、日程が決まり次第また私のTwitterにて募集を掛けさせて頂きます。
刀屋さんに行きたいけど入る勇気のない方、刀の正しい知識を付けたい方、などなどご参加をお待ちしております。
興味ある方はフォローしておいてください。
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それでは皆様良き御刀ライフを~!
↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)
「刀とくらす。」をコンセプトに刀を飾る展示ケースを製作販売してます。