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成木鐔⑰道歌鐔(信家写)

今回紹介する鐔は無鑑査鐔工、成木一成氏により平成4年に作られた信家写の道歌鐔。
刀連全国大会の天位賞で送られた鐔と箱書きがあります。

「摸一成之」とあります。写にはこのように書かれた物が多い印象。

この本歌は以下になります。

「信家鐔 付・中村覚太夫信家鐔集」より

表裏それぞれ並べて見ます。
櫃孔は後世開けられたものと思われるので、写の方は製作当初の形を再現するためか櫃孔は開けられていません。

字を比較すると分かりますが、「佛」の字など8画目の伸ばしが極端に短かったりします。
成木鐔の場合、よく見ると字などそっくり写しているわけではない物が多い印象です。
字の配置やサイズなども比較的適当です。
成木氏なりのバランスを模索していたのかもしれません。


この鐔は平成作でいわゆる成木氏の作風が確立した頃の作と見られ、トロンとした艶やかな地鉄をしている。
この平成頃の鉄は錆びづらい印象。

耳には亀甲紋がデザインされている。

平成作との事でこの鐔もやはり鍛え割れが耳に出ている。
昭和頃の作には耳に鍛え割れが出た作はあまり見ない気がするが、平成頃の作になると多く見る気がする。
これは現時点では仮説なので今後も枚数を見ていきたい。

横方向に入った鍛え割れ

以下は昭和頃の作と思われる信家写と並べた写真。

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