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「揃い踏み 細川の名刀たち」展を見て

永青文庫で開催中2023/5/7まで開催している「揃い踏み 細川の名刀たち」展を見てきました。

目白駅から車で5~6分
なんとも立派な木が。

閲覧には事前予約が必要ですが、予約の時間より少しだけ早めに付いたので近場をさっと散策。

左に行くと物販が行われている建物があり、右に行くと肥後細川庭園に繋がる石門がある
細川庭園に続く丸い石門。
どうやら細川家ゆかりの地である熊本妙解寺から運ばれたもののようです。


時間になったのでいざ入場。
以下が今回展示を行っている旧細川侯爵家の家政所(事務所)。
昭和初期に建設された比較的新しい建物ですが、とても趣のある館内にて展示を楽しめました。(館内は撮影不可)

①展示を見て

・生駒光忠

古備前風の光忠とはまた違う光忠。
地鉄が非常に詰み精美で新刀のような様相を見せているが、丁子刃の匂口がとても柔らかく冴え冴えしており覇気に満ちている。
映りは淡く見て取れた。
大摺上げで光徳による金象嵌が茎にある。

・守家

むしろこちらの守家の方が個人的には一見して光忠と思うような作で、蛙子丁子の刃文が目立つ太刀であった。名刀も名刀。
こういう作があるから守家と光忠の差が良く分からない。
身幅や反りの違いなのであろうか。

・古今伝授の太刀

今回一番ぐっと来た豊後国行平による作。
刃長80㎝、反り2.8cmと平安末期頃に見られる細身で腰反りの優美な姿に5cmほどの大きな焼き落としが見られ、梵字と倶利伽羅龍の刀身彫が区付近にある。
刃文は小沸の付いた直刃を基調に飛び焼きなどが随所に見られて、地沸も付いて良く錬られた肌をしている。沸映りのようなものも見て取れる。
何と言っても非常に健体なのが素晴らしい。


・包丁正宗

肌立ち、刃は非常に沸づいて一見して相州伝と見て取れるもの。
水影のような映りが見て取れたが、だいぶ薄くなっていたので疲れ映りかもしれないと感じた。
これだけ減って尚地と刃が冴えている事に無垢鍛えの良さが感じられる。

・鐔

又七や彦三、金家など数多くの名品を抱える細川家。
書籍にも多く載っている名品が一同に介しているので興奮。
しかしライトが当たっておらずまた展示ケースの都合上鐔まで距離があるので鉄色が良く分からないのが残念。
しかし又七にしてもカサついているような鉄の物は一切なく、全て黒くねっとりとしている。
重要文化財の破扇図鐔はじめ、布目象嵌がはがれかかった様子を意図的に作り出している事に詫び寂の心を感じる。
そして何と言っても衝撃的だったのが、彦三の「八木瓜九曜透唐草文鐔」。
ただの丸い透かしがある鐔としか思っていなかったが、よく見ると表面に唐草の文様がヌメっと描かれている。この手法は太刀師鐔などで見た事があったような気がするが、彦三の作にもある事に衝撃を受けた。
金家作は掟通りというべきか全てがとても薄い。
ケースの側面から見ると鉄色が良く見えたがやはり黒々と艶のある色味をしている。

・刀装具

鐔以外の目貫や小柄、縁頭なども後藤家の物をはじめ、奈良利寿や安親、横谷宗珉など実に多くの物が展示されていた。
目貫はやはり裏側も見てみたくなってしまいますね。
裏も見える目貫の展示ケースもいつか将来的に作りたいです。
安親の茶杓筒図小柄は小柄を茶杓筒に見立てている面白いモチーフのもので、板を2枚合わせ表側のみ水の雫のように削る事で味わい深くなっている
面白い物。

②終わりに

平日という事もあってか大混雑などはしておらず比較的鑑賞はしやすかったですが、途中から急に混雑してきて古今伝授の太刀や歌仙兼定など刀剣乱舞に登場する刀はとりわけ人が多くいました。
刀のライティングはとても良く刃文や地鉄が非常に見やすかったです。
鐔は残念ながらあまり良く見る事が出来なかったので、もう少し明るい環境で見れると嬉しく思いました。
とは言えこれだけの名品が並ぶと見応えが凄いものですね。

会場ではスタンプラリーもあるそうで、全て集めるとノベルティが貰えるとの事。
興味ある方はトライされてみても良いかもしれません!

物販コーナーでカタログを1冊購入しました。刀身は押形も掲載されているのが有難いです。
細川庭園などは今回ゆっくり見れなかったのでまた是非行ってみたいと思います。


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それでは皆様良き御刀ライフを~!

↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

「刀とくらす。」をコンセプトに刀を飾る展示ケースを製作販売してます。

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