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中国安全保障レポート2021についての考察②

第2章 中国のサイバー戦略

今回は第2章から、前回と同じくサマリーを記載しながら考えていく。
その前に、前回の第1章を公開した後に、江崎道朗氏もちゃんねるくららで動画をアップしており、大変参考になった。

本題へ。第2章は情報化戦争に移り行く中で、中国がどのような認識や戦略を持ってサイバー戦力を整えているのかという点。

習近平政権が情報化戦争においてサイバー空間が重要な役割を担うとの認識。

サイバー空間とは、インターネットに代表されるように、コンピューターやネットワークによって構築された仮想的空間
仮想空間といってもなかなかイメージしづらいが、実際に2000年代東欧のカラー革命、中東のアラブの春、ロシアのクリミア併合などの際にSNSを介した世論形成や紛争時の電磁サイバー攻撃、心理戦などの重要性が論じられている。それらの経緯を基に中国がサイバー能力の向上に至っている。そこて軍改革の一環として2015年末に戦略支援部隊が新設されている。戦略支援部隊は軍ではなく部隊とされており、主な部局と役割は以下の表のようになっている。

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戦略支援部隊は宇宙・サイバー・電磁波領域における作戦を担う人員の配備、装備調達、訓練を通じて軍事能力の向上を図り、戦闘力を提供するフォース・プロバイダーとしての役割を担う。さらに大学などの教育機関や研究機関を管理しており専門人材の育成も担っている。このように人民解放軍の作戦、戦略立案など幅広く重要な役目を担っている部隊だと考えられる。

近年、中国の軍や情報機関、または代理機関が関与したと見られる事案も増えている。しかし、サイバー攻撃は秘匿性の高さ故に、攻撃源を特定することが難しい。

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少し身近な例として、自分自身の体験を記載。ちょうど1ヶ月ほど前に、某フリーメールのアカウントに海外からのログイン警告が出ており、調べてみると、ロシアと中国からのログイン履歴が。すぐにパスワードを変えたが、その不正ログインの直後から大手ECサイトを装ったメールで、クレジットカードの登録を促すメールが何通か来ていた。これもサイバー攻撃だと思うが、相手がロシアと中国というところが、また余計にリアルで怖い。私は実生活では必ず中国製のアプリは入れないようにしている。

下記の記事などもサイバー戦による世論形成の良い例ではないだろうか。これは粗いロジックだが…


中国のサイバー戦力の課題

戦略として重視していると言っても、勿論課題も多い。ここはおそらく実務的には鍵になるのでは?
①専門人材の不足
70万〜140万人という圧倒的な人材不足
②切り札の開発
人工知能AIなど新技術を活用
③サイバー技術の国産化
サイバーセキュリティや関連ソフトウェアは圧倒的に米国企業

これらを見ると近年の日本の法整備やニュースなどから繋がって見えてくるものも有る。例を挙げると外国為替及び外国貿易法特定秘密保護法などの法整備。最近では日本学術会議からの中国千人計画への加担疑惑など。

日本国内で起きていることが、何の意味を成すのか。よく調べて考えてみるのも大事なこと。





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