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ニンジャスレイヤーTRPG2版シナリオ 「ラナウェイ・トゥ・ファラウェイ・オキナワ」

この記事は、ニンジャスレイヤーTRPG2版用として作成され、ニンジャスレイヤーTRPG2版シナリオコン『ゴールデン・ヌンチャク賞』に参加するためのシナリオです。「基本のランダム作成方式」または「11/16ポイントスクラッチビルド」によって作成された直後のPC3〜5人程度向けに作られています。このシナリオをプレイする予定がある場合、以下の内容はニンジャマスターだけが目を通すようにしてください。


◆シナリオサマリー

ソウカイヤ傘下の「ダークカマ・ヤクザクラン」からの先月分の上納金が途絶えた。事情を明らかにし、きっちり取り立ててくること。
ただし、ダークカマ側には払えなくなった理由があるため、これからも継続的に上納させるにはPCたちがダークカマの抱える問題を解決する必要がある(これはダンゴウの時点では分からない情報であり、あらかじめプレイヤーに伝えておく必要はない)。

対象:作成直後のソウカイニンジャ4人前後
難易度:イージー〜ハード程度/Wasshoi!判定あり
キャラロスト:あり
余暇:標準(4スロット)

その他:このシナリオは調査やロールプレイの要素を含みます。シナリオ上予定されている戦闘は2回です。また、シナリオ内の時間を管理し、PCたちの行動があまりに後手に回るとミッション失敗に繋がります。


◆シナリオ背景

ダークカマ・ヤクザクランについての情報など、シナリオの全体的な背景情報を解説します。ニンジャマスター(以下NM)は以下の内容を軽く頭に入れておき、セッション中確認する必要があればここを参照してください。

ダークカマ・ヤクザクランはソウカイ・シンジケート台頭以前から続く昔気質のヤクザクランでしたが、比較的早期に恭順を誓ったため、規模は中小ながら悪くない条件でソウカイヤと取引をしていました。
転機が訪れたのはおよそ一年前。傭兵ニンジャ、ポイゾナスグリーンがダークカマに契約を持ち掛け、ヨロシサンの廃棄実験プラント施設と己のジツを用いて精製したドラッグをダークカマに流させるようになったのです。その新型ドラッグ「ユメミ」は質が高く、またダークカマにとってはさほどの労力をかけずに入手できるため、それまで地道にやっていたクランの経済状況は大きく上向きました。ソウカイヤはそれに気づき上納金の額を二倍に引き上げましたが、ダークカマにとっては問題ない範囲でした。
ところがポイゾナスグリーンが突如として裏切り、上納直前のカネをクランの金庫から奪って逐電したため、ソウカイヤへの金回りが滞ったのです。
現在ダークカマはクランの構成員及びクローンヤクザを総動員してポイゾナスグリーンの行方を追っています。

ポイゾナスグリーンはもっぱらヨロシサンの仕事を受ける傭兵ニンジャでした。ネンゴロであるオイラン、ハガタシ・タモコが珍しい遺伝病を発症したため、治療費を捻出する必要に駆られていました。ヨロシ系列の医療技術にアクセスするコネはあったものの、ヨロシサンプロパーではないため価格割引が受けられず、症状が重くなるにつれ傭兵仕事の稼ぎでは追いつかなくなってきました。そこでダークカマにドラッグ取引を持ち掛けたのです。
「ユメミ」の売り上げでタモコの生命維持に必要なカネは一時的に足りるようになりましたが、症例の少ない遺伝病を根本的に完治させるための新規研究を行うメリットがヨロシサンにはなく、手詰まりになったポイゾナスグリーンはイチかバチか、コネを使ってリー先生を頼りました。
リー先生はこれを受け入れ、ニンジャソウル憑依現象に伴う身体構造変化の研究の一環としてタモコにソウルを憑依させ、病気の改善を図りました。その結果、病気の進行はかろうじて止まったものの、ソウルとニューロンの決定的な不適合を起こしたタモコは記憶と人格がほぼ消失して廃人となり、弱り切った肉体も健康体には戻りませんでした。
事ここに至ってポイゾナスグリーンは全てに嫌気がさし、人形同然となってしまったタモコを連れてオキナワへの高飛びを決意します(タモコの実験結果はリー先生にとっては興味深いものではなかったので、通りいっぺんのデータを採取した後タモコの肉体は払い下げられました)。タモコの余命があとどのくらいかは分かりませんが、それまで平穏に暮らすことだけが望みです。そのためにダークカマからカネを盗み出したポイゾナスグリーンは、ソウカイヤの息のかかっていないフィクサーを探し出してオキナワ行きの密航船を手配し、出港日までタモコと息をひそめて潜伏しています。


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◆ダンゴウ

君たちがアジトで思い思いに過ごしていると、ソニックブームからIRCでミッションの連絡が入る。その後間もなくしてアジトのあるビルにヤクザベンツが横付けされ、クローンヤクザの「「センセイ、ドーゾ」」の声と共に大柄な男――まず間違いなくソニックブーム――が車から降り立つのがニンジャ聴力で聞き取れる。

ここではPCたちが既にチームアップしアジトを手に入れていることを前提にしていますが、シナリオ0「トコロザワピラー・トレーニンググラウンド」から接続する場合など、状況が異なる場合はNMが描写を適宜変更してください。

「ふうん、ここがテメェらのヤサか……サンシタにしちゃあ大層な事務所じゃねえか、誰のおかげでここに住めてると思ってるんだ、エエッ?」
(ソウカイヤ、あるいはソニックブームのおかげ、などとPCたちが返答したら)「そうだ、シンジケートのシノギは大切にしなきゃなあ。コツコツとヤクザクエストをこなしていきゃあ、いずれテメェら一人一人がカネモチ・ディストリクトに屋敷を構えられるってもんだぜ。途中でクソみたいなくたばり方しなきゃなあ」
「ヤクでラリってたってできるクソみてえに簡単な仕事を持ってきてやったぜ。絶対にしくじるんじゃねえぞ」
「ダークカマのオヤブンがアガリを納めるのをサボりやがった。テメェらが行って、耳をそろえてきっちり回収しろ。期限は3日以内だ」

ソニックブームはPCたちに以下の情報を伝えます。

◎ダークカマ・ヤクザクランは中小規模のクランながら、新型ドラッグ「ユメミ」の独自ルートを築いており、一年ほど前から羽振りがよかった。

◎オヤブンはダダヤマ・ソルギ。61歳の男性で非ニンジャ。ソンケイのある昔気質のヤクザとして知られており、サイバネインプラントはしておらず、クラン内のクローンヤクザの使用も最低限しかしていない。

◎ダークカマからの上納が滞ったことはこれまでなく、ダダヤマの性格からしても即座に裏切りとは考えづらいが、ソウカイヤとしてはナメられるわけにはいかない。必ず所定の金額を回収し、必要があればケジメさせろ。ただしやりすぎてクランが崩壊するようなことまではするな。

◎少なくともソウカイヤが把握している限り、ダークカマの構成員やヨージンボにニンジャはいない。

◎「ユメミ」は摂取すると多幸感と文字通り夢見心地のトリップ体験を得られるダウナー系のクスリで、依存性や身体への悪影響が比較的少ないため、無軌道大学生などの若年層を中心に広まっている。主に粉末状で流通している。

テンポ感を重視する場合には、上記の情報は次の「予備調査」フェイズに明らかにすることとし、ソニックブームにくだくだしく説明させずにダンゴウを切り上げても構いません。プレイグループのアトモスフィアに合わせてください。

◆時間管理

このシナリオでは1日を前半と後半に分けて扱い、それぞれで戦闘シーケンスや探索シーケンスなどの大きな行動を1回行うことができます。食事や睡眠の時間は厳密には取り扱わず、適宜確保しているものとします。プレイヤーが「PCが徹夜して何か行動する」と宣言した場合、NMはシステム的に不可能だと一律に却下しても構いませんし、1回徹夜するごとに翌日からあらゆる行動の難易度が1段階上昇するペナルティと引き換えに認めても構いません。同タイミング内での分散行動についても同様ですが、分割したパーティの一方で戦闘シーケンスが発生するような場合はその旨予め警告し、それでもパーティを分けるかどうか確認した方がよいでしょう。
PCたちがソニックブームにミッションを与えられた日を1日目とし、3日目の後半が終了した段階でポイゾナスグリーンが高飛びに成功してPCが手出しできなくなり、シナリオは終了となります。
ポイゾナスグリーンについてはまだPCの知らない情報ですので、プレイヤーには3日目の終了時点でシナリオが区切りとなることだけを伝えてください。

◇オプションルール:難易度EASY

このシナリオでは、いくつかの箇所の判定でPCたちが失敗すると、成功した場合と比べて余分な時間がかかり、最終的にシナリオ失敗に繋がります。その可能性を遠ざけ、より緩やかなアトモスフィアで遊びたいという場合は、シナリオのタイムリミットを3日後から4日後に変更し、ダンゴウのソニックブームのセリフを「期限は4日以内だ」に変更してください。


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◆予備調査

君たちはヤクザニンジャとしてダークカマ・ヤクザクランについての知識を既に持っているかもしれない。また、ハッキングなどで調査を行うこともできる。

PCたちは一人につき『調査判定』もしくは『知識判定』どちらか一方を一回行うことができます。この行動には1日目の前半の消費が必要です。
能力値は【ニューロン】を使用し、難易度はNORMALです。

◆ダークカマ・ヤクザクランについての事前調査:【難易度:NORMAL】

最も適した知識スキル(+2):ソウカイヤ(ソウカイヤ傘下のクランの知識)、ドラッグ(「ユメミ」の流通についての知識)
次に適した知識スキル(+1〜2):犯罪、ヤクザの流儀など
◆判定失敗時のペナルティ:
◎特になし。単に時間を浪費してしまっただけ。

◆判定成功時に得られる情報:
◎ダークカマ事務所の状況を掴む。
現在、事務所にオヤブンのダダヤマとグレーターヤクザのタケ・シバシ、他数人のレッサーヤクザがいることが分かる。クランの人員が出払っているためセキュリティは極めて薄く、次の探索シーケンスではスクエアマップを使用せず、PCたちニンジャ数人がその気になれば簡単に制圧できることが分かる。
また、ダンゴウで書かれている情報がソニックブームから与えられていない場合、それらをすべて知ることができる。

◆【6】成功時の追加情報:
◎上記に加え、これまでクローンヤクザをほとんど使っていなかったダークカマ・ヤクザクランがここ数日で3ダースのクローンヤクザをリースして何かを探させていることが分かる。

◆【6,6】成功時の追加情報:
◎上記に加え、ダークカマが探しているのがポイゾナスグリーンという名前のニンジャであること分かり、ソウカイネットを参照することでポイゾナスグリーンの簡単なプロフィールが分かる。「ヨロシサンに雇われている傭兵ニンジャで、何らかのドク・ジツを使う」ことがソウカイネットに記録されている。ポイゾナスグリーンがソウカイヤとトラブルになった記録はない。
ヨロシサンにポイゾナスグリーンの身元を問い合わせてもこれ以上の情報は得られない。
また、「即応ダイス」が+1される。

上記の情報以外でも、プレイヤーが知りたがっていることで、調べれば分かりそうだとNMが判断したことは積極的に教えてあげましょう(判定に成功している場合)。プレイヤーたちが十分納得し、ミッションに取り掛かる踏ん切りがついたら次のシーケンス「ダークカマ・ヤクザクラン事務所」に移ります。


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◆ダークマ・ヤクザクラン事務所(探索シーケンス)

ダークカマ・ヤクザクランはネオサイタマの下町、ブブジマ・ストリートに事務所兼オヤブンの邸宅を構えている。門前で通行人に睨みを利かせていたレッサーヤクザの若者は、来訪した君たちの目的と所属を聞くと顔を青ざめさせ慌てながらも応接室へと君たちを通し、「しょ、少々お待ちを!」と言い残して事務所の奥へと消えた。応接室には豪勢なソファとローテーブルのセットが置かれ、四隅には黄金ダルマ、年代物の甲冑、見事なタイガーが描かれた金ビヨンボなどが飾られており、ローテーブルの上のクリスタルの灰皿も高級品であることが一目で分かる。
やがて、急遽デリバリーされたのであろうオイランたちがサケを携えて君たちを接待しに現れ、その後少し経ってから(サケが回り君たちがオイラン接待で気を良くする頃合いを計っていたのだろう)、和装を着た白髪交じりの小柄な男が、派手なヤクザスーツの男を伴って部屋に入ってくる。和装の男、ダダヤマは君たちの向かい側のソファに腰を下ろした。ヤクザスーツのタケは立ったまま油断なくダダヤマの後方に控えている。
「ドーモ、ソウカイヤ=サン。ダークカマのダダヤマです」
「急なお越しだったもんで、お待たせすることになっちまってドーモスミマセン。サケやオイランはご満足いただけましたか? お望みならドンドン追加しますぜ」
「ソウカイヤの皆さんがお越しになった理由は、このダダヤマ、言われずとも分かっておりやす。実を言えばシノギにちっとばかしトラブルがありましてね、現金が用意できていなかったんですが、こいつらを売っぱらって当面のカネを作ることにしやした(と言いながら応接室のインテリアを指し示す)。ご安心くだせえ、明日中にはカネを用意しますんで! 無論ケジメもいたします!」
「このワシのソンケイにかけて、ソウカイヤ=サンに納めるべきカネを自分のフトコロに入れちゃあいませんぜ。この事務所を家探ししてもらってもいい」

ダダヤマとタケはソウカイニンジャの存在を知っており、PCたちのニンジャ存在感だけでNRSを起こすことはありません。
ダダヤマはサンシタとはいえ上部組織の構成員であり、何よりニンジャであるPCたちに対して、なるべく下手に出て機嫌を損ねないように対応します。とりあえず上納金を用意することで一ヶ月分の時間を稼いで、その間にポイゾナスグリーンを探し出すつもりです。また、この件にソウカイヤの介入を招くと今後の取引での弱みになるため、「シノギのトラブル」については自分から話そうとはしません。

一方、グレーターヤクザのタケはニンジャであるPCたちにもおじけずにヤクザスラングを発し、オヤブンやクランのソンケイが著しく侮辱されたと感じたら即座にチャカガンを発砲します。
そのような状況になった場合、まずPCたち全員が【ニューロン】(難易度:HARD)で判定し、成功したPCはニンジャ第六感を働かせタケがチャカガンを完全に抜く前に対応できるようになります。判定なしで取り押さえたり、スリケンやジツで攻撃しても構いません。タケを生かしたまま銃撃を止めるか、殺してしまうかはPCたちの任意です。【ニューロン】判定にPC全員が失敗した場合、もっともソンケイを傷つけたとNMが判断したPCに対し射撃が行われ(射撃判定は自動的に成功したものとします)、PCは通常通り回避判定を行います。その後、タケを生かすか殺すかは【ニューロン】判定に成功した場合と同じくPCたちに任されます。
生かしたまま取り押さえられた場合、ダダヤマは「ナッシデンテメッコラー!」とタケを一喝した後PCたちにドゲザし、自分とタケがケジメするのでどうか命だけは許してやって欲しいと懇願します。PCたちにタケが殺された場合、信頼する部下を殺された無念さを歯を食いしばってこらえ、「スンマセンデス……子分の不始末は親の責任、この件、ケジメさせていただきます」と言ってその場で即座にケジメを行います。

このシーケンスでダダヤマやタケ、あるいは他のレッサーヤクザに過度の拷問や惨たらしい殺戮などを行ったとNMが判断したら、それを実行したPCたちに【DKK】を1〜2点与えてください。

◆ダークカマ・ヤクザクランのグレーターヤクザ、タケ・シバシ(種別:モータル)
カラテ    3  体力   2
ニューロン  2  精神力  2
ワザマエ   3  脚力   2
ジツ     –  万札   2
攻撃/射撃/機先/電脳  3/3/2/2
◇装備や特記事項
 ヒートカタナ: テック近接武器、ダメージ2(1+火炎1)
 チャカガン: 銃器、連射1、ダメージ1

「シノギのトラブル」についてダダヤマから聞き出そうとする場合、【ワザマエ】による交渉判定(難易度:NORMAL)が必要です。

◆ダダヤマから秘密を聞き出す交渉:【難易度:NORMAL】

最も適した交渉スキル(+2):威圧、超然
次に適した交渉スキル(+1):欺き、駆け引き、誘惑など
最も適した知識スキル(+2):ヤクザの流儀
次に適した知識スキル(+1〜2):ソウカイヤ、ドラッグ、犯罪、伝統的アート(応接室のインテリアについて称賛する)など

また、応接室を出て事務所を家探しするとUNIXを見つけることができるので、【ニューロン】によるハッキング判定(難易度:NORMAL)に成功することでも同じ情報が手に入ります。

◆判定失敗時のペナルティ:
◎特になし。

◆判定成功時に得られる情報:
◎「シナリオ背景」内の情報で、ダダヤマが知っていることを伝えられる。
「傭兵ニンジャのポイゾナスグリーンと組んで『ユメミ』を作っていた」、「ポイゾナスグリーンの知っていたヨロシサンの廃棄実験プラント施設で『ユメミ』の製造を秘密裏に行っていた」、「ダークカマ側が原材料の大部分を入手しプラントに運び込んでいるが、製造にはポイゾナスグリーンの用意した少量の材料とジツが必要である」、「上納する予定だったカネはおそらくポイゾナスグリーンが持ち逃げしており(身内を調査したが容疑者が見つからなかったため)、現在追っ手をかけていること」、「廃棄プラントの場所」などです。

ダダヤマが情報を伏せていることにプレイヤーが気づかず、追加の調査を行わない展開も考えられます。実際にカネが用意されるかは未確認ですが、ダダヤマが最初にPCに明かす情報を全て信じるならミッションは表面上完了していますから、さほど不自然な行動ではありません。PCがダダヤマに突っ込んだ調査を行わない場合、PCは最終的にはソニックブームへの報告を行うでしょうから、ソニックブームの言動でPCを誘導してください。

「ガキの使いじゃネッゾコラー! ダークカマきっちりカタに嵌めて、二度とナメたマネさせんようにしろッコラー!」
「相手の言い訳いちいち聞いてたらヤクザのシノギは立ちいかねえぞ。弱み見つけたらとことん食いつきやがれ。トラブルとやらの責任追及して、オトシマエつけさせろや」

PCたちがダダヤマからポイゾナスグリーンの情報を得たら、その直後にダークカマのレッサーヤクザからダダヤマのIRC端末に緊急連絡が入ります。PCたちがダダヤマをずっと問い詰め続けている場合などは、タケ、あるいは部屋の外に待機していたその他のレッサーヤクザが通信を繋ぐなどして、状況を切り替えていってください。

「オヤブン、例のプラントに警備ロボがうろついてます! ニンジャのヤロウが隠してやがったに違えねえ、早く応援を(BRATATATATA!)アバーッ!?」

上記の会話はニンジャ聴力によってPCたち全員が聞き取れます。
PCたちがダダヤマへの尋問をある程度平和的に行っていた場合(ダダヤマのメンツを傷付けたり物理的な拷問を行ったりしていなかった場合)、ダダヤマは警備ロボ(モーターヤブ)の排除とプラントの捜索をPCたちに依頼してきます。

「クソッタレ、こうなっちゃ四の五の言っていられねえ。ソウカイヤ=サン、恥を忍んでお頼み申し上げます。精製施設に行ってクランのもんを手助けしてやっちゃくれませんか。今すぐ向かえばまだ生き残りがいるかも知れねえ……。センセイ方、ドーゾヨロシクオネガイシマス」

ダダヤマへの尋問が平和的でなかった場合、そのような「積極的」なPCたちは情報を得れば自分から動くかと思いますが、ダークカマ事務所の家探しなどに夢中になっている場合などはソニックブームから連絡を入れて動かしてください。応接室のインテリアなどのダークカマの資産は上納金に変換すべきものなので、PCたちが勝手に手を付けることはソウカイヤ的にも許されません。また、ダダヤマはそれらを正式なヤクザオークションにかけて売却するつもりなので、そうしたコネを持たないサンシタであるPCたちが勝手に売り払おうとしても大幅に足元を見られた金額にしかならないことを伝えてもいいでしょう。

このシーケンスでの一連の行動が終了すると、半日分の時間が経過します。
PCたちが自発的にダダヤマへの聞き込みを行わずソニックブームに指示されて行った場合は、ダークカマ事務所にもう一度戻るなどの手間の分さらに半日分の時間を経過させてください(レッサーヤクザからのIRC通信も半日後のタイミングで発生します)。もしダークカマ事務所から直接ソニックブームにIRCで指示を仰ごうとしたとしても、その時ソニックブームは別の仕事で忙しく対応できなかったためにPCたちは一旦アジトかトコロザワ・ピラーに戻った、などとしてください。

◇オプションルール:シナリオ短時間化

セッションがオンラインで行われるなどの理由で、シナリオの所要時間を短くしたい場合、ダークカマ・レッサーヤクザはプラント施設から連絡したのではなく直接ポイゾナスグリーンの痕跡を発見して報告した(直後に反撃スリケン殺された)という形にすることで、以下の「◆ヨロシサン廃棄実験プラント施設」及び「◆バー『クロフネ』」のシーケンスを省略して直接「◆ネオサイタマ第13埠頭」に移っても構いません。
その場合、シナリオのタイムリミットを3日後から2日後に変更し、ダンゴウのソニックブームのセリフを「期限は2日以内だ」に変更してください(難易度EASYの場合は「3日以内」)。


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◆ヨロシサン廃棄実験プラント施設(戦闘シーケンス)

「ユメミ」の精製が行われていた廃棄実験プラント施設はネオサイタマの工業地区、アヤセ・ディストリクトの一画にあった。何らかの実験事故を起こし稼働停止されてから数年経っているはずだが、周囲の空気には未だに何か奇妙な化学臭が漂っている。色褪せたヨロシサンのエンブレムが残る強化コンクリート壁には、所々に「外して保持」の警告テープと錠付きチェーンで封鎖された通用門や物資搬入用巨大ゲートが見える。君たちはその中から目標の「は―3」号ゲートを見つけ出すと、事前に聞いていた通り秘密のパスコード「4643893」を入力し侵入を果たした。敷地内にはいくつもの棟が取り壊されずに残っている(恐らく当初は再稼働予定があったのだろう)が、その中の一つが目的地だ。

これまでのシーケンスをすべて経由した場合、このシーケンスは2日目の前半に当たるはずです(事前調査を行わなかった場合は半日早く、ダークカマ事務所の調査で一旦帰った場合は半日遅くなります)。

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シナリオマップ1

プラント施設のマップ情報は以下のとおりです。ダークカマ・レッサーヤクザがIRCに遺したデータにより、事前調査の必要なくPCたちはこれらの情報をすべて手に入れているということにしても構いませんし、大雑把な間取りだけのマップを効果しても構いません。スプレッドシートにはどちらも用意してあります。

初期配置:
2体のモーターヤブは、PCたちが配置する前から18マスの間隔を保ちつつ反時計回りで移動し続けています。PCたちは2体のモーターヤブの位置が「モーターヤブ巡回エリア」上の任意の配置になるまで待ってから初期配置地点にエントリーできます。

①メインプラント

君たちがエアシャワー前室を抜けると、天井の白いLED照明が自動で点灯し、プラント内部を照らす。ブウウンという鈍いかすかな音を立てる巨大な化学装置がいくつもの配管やコードで接続されており、その周囲を守るようにガションガションと二足歩行駆動音を鳴らしてモーターヤブが巡回している。また、壁際にはもはや使われていないと思われる雑多な資材やコンテナが積み上げられている。
ダークカマのレッサーヤクザはモーターヤブにやられて全滅しており、生存者は残されていない。
モーターヤブ・リペア甲/乙:
これら2体のモーターヤブは、施設に故障状態で放置されていたものを、ポイゾナスグリーンがダークカマの手を借りず独自の伝手で修理し動かせるようにしていたものです。追っ手の目を引き付け数を減らす囮としてポイゾナスグリーンがIRC遠隔起動させました。
前述の通り同じ距離を保ちながら「モーターヤブ巡回エリア」のマスを反時計回りに移動し続けていますが、PCが「移動フェイズ」で甲/乙どちらか一方とでも視線の通るマスに侵入した直後の「攻撃フェイズ」からPCへの攻撃行動を開始します。片方のヤブとPCとの視線が通って攻撃態勢に移った時点で、もう片方のヤブもどの地点にいたとしても同様に攻撃態勢になります。甲は遠距離攻撃手段を失っているので可能な限りPCへと近づいてショック・サスマタで攻撃しようとします。
初期マップ上に示された位置に甲、乙がいる場合、甲は背を向けており乙は障害物の向こう側にいるので前室から出た状態のPCたちには視線が通っていません。
◆モーターヤブ・リペア甲 (種別:戦闘兵器)
カラテ    6  体力  10
ニューロン  2  精神力  –
ワザマエ   5  脚力   2
ジツ     –  万札   5
攻撃/射撃/機先/電脳  6/5/2/2
							
◇装備や特記事項
 ショック・サスマタ: テック近接武器、ダメージ2(1+電磁1)
 
『◉移動スタイル:跳躍移動』:
  3マス以内の好きな地点へと、カンガルーめいた跳躍によって移動する。
  飛行装置を持っているわけではないが、ルール上は『飛行移動』をそのまま使用する。
◆モーターヤブ・リペア乙 (種別:戦闘兵器)
カラテ    4  体力  10
ニューロン  2  精神力  –
ワザマエ   6  脚力   2
ジツ     –  万札   5
攻撃/射撃/機先/電脳  4/6/2/2
							
◇装備や特記事項
 ガトリングガン・アーム: 銃器、連射6、ダメージ1、チェーンターゲット、射撃難易度:NORMAL
  (全ターゲットが互いに隣接している場合のみマルチターゲット扱いにできる)

 『●射撃スタイル:銃弾の雨1』:
  通常の射撃(連射6)かこの射撃スタイルか、どちらか片方をターンごとに選択する。
  このスタイルは、視線が通っている3x3の範囲に対して自動的に1ダメージを与える(回避:HARD)
レッサーヤクザ死体のランダムトレジャー判定
 出目1〜3: 【万札】1
 出目4〜6: チャカガン
ドラム缶のランダムトレジャー判定
 出目1: ドク・ジツ・ボム
 出目2〜3: 濃縮バリキドリンク
 出目4〜5: 濃縮ザゼンドリンク
 出目6: パルス・グレネード
ドク・ジツ・ボム:
ポイゾナスグリーンが残していったブービートラップが容赦なくPCを襲う! これを開けてしまったPCには爆発噴出する毒液が降かかり、PCが回避に失敗すると毒属性ダメージ2を受けます。この回避判定は通常の攻撃に対するものと同じとみなし、同一ターンの残り回避ダイスを消費します。もちろん判定を行わず回避ダイスを消費しないことを選択しても構いません。

②倉庫管理室

右側の壁には監視モニタが埋め込まれ、机の上に設置された複数のUNIXがモニタと接続されている。モニタには奥の資材置き場の映像が映されており、巨大な白い生物がゆっくりと這っているのが目を引く。

青色のマスはハッキング可能なUNIXデッキであり、このマス上で【ニューロン】によるハッキング判定に成功した場合(難易度:HARD)、③資材置き場の「資材棚」のランダムトレジャー判定のダイス目を±1することができるようになります(最低1、最大6)。
ハッキングに失敗した場合、UNIXが爆発しハッキングを試みたPCは即座に【体力】を1失います。そのマスの端末は使用不能になりますが、1マスにつき1台の端末が存在するので最大3回判定に挑戦することができます。
②倉庫管理室と③資材置き場の間の小部屋には、シナリオ上意味を持つオブジェクトは存在しません。

③資材置き場

巨大なバイオ白ワニがこの部屋の主めいて堂々と中央に鎮座している。「AAAAGGGGHR!!」どこからか迷いこんだのであろうこの危険生物は、エントリーしてきた君たちを餌と見なして襲い掛かってくる!
この部屋はプラントの他の場所と比べると比較的良好な状態で物資が残されており、バイオ白ワニを排除すれば使えるものが探せるかもしれない。
資材棚:資材棚は6マス一つながりの巨大なトレジャーボックスと見なし、隣接したマスで「その他の行動」を行うことでもトレジャー判定を行うことができます。通常通りボックス(資材棚)の上のマスでもトレジャー判定は行えますが、高さがあるため他の障害物と同様、乗り降りするには連続側転移動が必要となります。
この棚は大きいため、2回トレジャー判定を試みることができます(PC1人につき2回ではなく、パーティ全体で2回)。
また、この棚から有用なものを見つけ出すには専門的な表示ラベルを読み取ったりしなければならないので、バイオ白ワニが生きて部屋の中にいる間は【ニューロン】判定(難易度:HARD)に成功しないとトレジャー判定を試みることができません(この【ニューロン】判定は「瞬時行動」として行えます)。バイオ白ワニがいる場合でも、ドラム缶のトレジャー判定にはこの【ニューロン】判定は必要ありません。バイオ白ワニがいなくなれば、通常通り「その他の行動」を消費するだけでトレジャー判定を試みることができます。
資材棚のランダムトレジャー判定
 出目1: ZBRアドレナリン注射器
 出目2: トロ粉末
 出目3: ヨロシ・アンタイ・ポイズンアンプルx1
 出目4: ヨロシ・アンタイ・ポイズンアンプルx2
 出目5: ヨロシ・アンタイ・ポイズンアンプルx3
 出目6: ヨロシ・デコンタミネイター(火炎放射器) ※棚に1つしかないため、2回目の判定で6の出目が出た場合は他の出目が出るまで振りなおす。
ヨロシ・アンタイ・ポイズンアンプル:
攻撃フェイズに「その他の行動」を消費することで、その戦闘中にのみ有効な「毒属性ダメージ軽減1」を得られる。「種別:使い切り、ドラッグ」 売値は【万札:3】

④搬入室

プラント部からの扉は壊れているのか、開いたままになっている。奥には大きなシャッターがあり、外部から車両で入れるようになっている。
錆びついたドラム缶や、重量物搬送用のパレットなどが雑然と積まれている。壁には「素早く安全を」の標語が書かれたショドーがある。

シャッターを開ければこのマップから脱出することができます。シャッターの開閉操作は屋内からしかできないため、ここを最初のエントリーポイントとすることはできません。
余談ですが、これまでの取引ではダークカマのヤクザたちはここまで原材料を運び込み、この場で精製品やカネを受け渡ししていたため、奥にモーターヤブがいることなどを知らずにいました。

⑤休憩室

大きな共用チャブが中央にある部屋。壁際にはオカキやマッチャ、バリキドリンクなどのベンダーが残されているが、もう稼働してはいない。
「安全第一」「納期厳守」「レクリエーション」などのショドーがされた張り紙がある。

この部屋には意味のあるオブジェクトは存在しません。

⑥電算室

元々は机と一体となったプラント制御用の大型UNIXが何基も設置されている部屋だったが、それらはすべてモーターヤブのガトリングガン銃弾によって無残に破壊されている。しかし、モーターヤブの戦闘AIによる破壊は粗く、注意深く捜索を行った者や無線LANにてプラントのシステムにアクセスした者は、この部屋の壁に埋め込まれている直結LANアクセスポイントがいまだ機能を残していることに気づけるだろう。

UNIX破壊跡:ポイゾナスグリーンが施設の制御のために使用していたUNIXであり、ここを通じて2機のモーターヤブを起動させたポイントでもあります。端末はポイゾナスグリーンの指示によって既にモーターヤブが破壊していますが、メインサーバーは別の箇所に存在するため機能しており、ここをアクセスポイントとしてハッキングを行うことで、ポイゾナスグリーンがどこからこのプラント施設にアクセスしてきたか探知することができます。
このマスに位置するPCが「攻撃フェイズ」で「その他の行動」を行い、【ニューロン】(難易度:U-HARD)に成功すると以下の情報が得られます。「集中状態」による難易度−1は有効です。失敗しても再挑戦可能ですが、一度失敗する毎に難易度が1段階上昇します。この難易度上昇は、判定に挑戦するPCが変わってもリセットされず、UH4以上に上昇します。
失敗し続けるといずれPCたちには成功不可能になってしまいます。そうなった場合、このマップで情報を得る手段は他にありませんので、NMはソニックブームやダダヤマを通じて撤退を促してください。
◆判定失敗時のペナルティ:
◎難易度上昇+1(重複あり、永続)

◆判定成功時に得られる情報:
◎ポイゾナスグリーンがおよそ半日前、ネオサイタマ市内のUNIXからプラント施設にアクセスしてきたことが判明する。その地点には「クロフネ」という名前のバーが存在している。

電算室で情報を手に入れるか、諦めてPCたちが撤退すればこのシーケンスは終了です。半日分の時間が経過します。
PCたちが自力でのIRC追跡に失敗した場合、撤退後にダイダロスの支援を得ることで上記の判定成功時の情報を得ることができる。ただし、半日分余計な時間がかかってしまいます。


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◆バー「クロフネ」(探索シーケンス)

飲食店などが軒を連ねる賑やかな繁華街、トムコロ・ストリートの外れにバー「クロフネ」はある。ビル同士に挟まれた細い路地にバーの入り口があり、その前には屈強なバウンサーが二人立っている。彼らの掛けたサイバーサングラスには「営業時間外」「帰るのが身のため」「積極的正当防衛する」などの威圧的な文言がスクロール表示されている。

バウンサー二人はどちらもモータルであり、PCたちは無理矢理押し通ることもできますし、脅したり言いくるめたりして(比較的)平和に通してもらうこともできます。
押し通ろうとする場合、【カラテ】か【ワザマエ】による難易度:NORMALの判定を行う必要があります。失敗した場合、思わぬ反撃により1点のダメージを受けますが、その後バウンサーを無力化できます。このダメージは、ムテキ・アティチュードなどのダメージ軽減手段をPCが持っていたとしても必ず受けてしまいます。成功した場合、何事もなく無力化できます。この判定をバウンサー1人につき1回、計2回行わせてください。同じPCが連続して行っても、別々のPCが同時に行っても構いません。
バウンサーを無力化するのみならず惨たらしく殺すなどした場合、それを行ったPCたちに【DKK】を1〜2点与えてください。
バウンサーと交渉して通ろうとする場合、【ワザマエ】による交渉判定(難易度:HARD)が必要です。この判定は代表のPC1人が1回のみ行えます。

◆営業時間外のバー店内に通してもらう交渉:【難易度:HARD】

最も適した交渉スキル(+2):威圧、誘惑
次に適した交渉スキル(+1):欺き、超然など
最も適した知識スキル(+2):ストリートの流儀
次に適した知識スキル(+1):セキュリティ、犯罪など

成功した場合、PCたちがどのような方向性で交渉したのかによって反応は異なりますが、ひとまずバウンサーたちはPCたちを入店させることを受け入れます。失敗した場合、判定したPCはニンジャにも屈さぬバウンサーたちの職務意識に衝撃を受け、【精神力】ダメージを1点受けます。また、それ以上交渉は通じなくなるので押し通るしかなくなります。

この後の展開は、タイムテーブルによってわずかに変化します。このシーケンスが行われているのが2日目後半以前か、3日目前半以降かによって2パターンに分かれます。オプションルールを採用している場合は、それぞれ1日前後させてください。

◇2日目後半以前

金属製の扉を開けると、すぐ目の前は行き止まりで、横方向に下っていく階段がある。バウンサーによれば、地下1階がバーの店舗なのだそうだ。シックな木製の扉を開けると、バーテン服を着崩したスキンヘッドの黒人の男が、バーカウンターの向こうから君たちに警戒の眼差しを向けてくる。
「オイオイ、何モンだ、アンタら? ヨージンボたちはどうした?」
君たちの所属を聞くと、男は一瞬心底厄介そうな表情を浮かべたが、すぐにあらたまった顔つきでアイサツをした。
「ドーモ、ソウカイヤ=サン。店主のクロフネです。確かにウチはバーの傍ら手配師めいたこともやってるが、何より中立がモットー。アンタらに睨まれるようなことは実際しちゃいないはずだぜ」
「ポイゾナスグリーン=サンか……確かにウチのクライアントだった。しかし、顧客の情報を売るのはな……アンタらとコトを構えたいわけじゃないが、客のネタを横流しするような店って評判が立っちまったら、どこの後ろ盾もないウチみたいな中小はあっと言う間に商売上がったりなんでね……」
(と言いながら、伺うような視線をPCたちに向ける)

クロフネはプロフェッショナルの矜持として、客であるポイゾナスグリーンの情報をPCたちに流すことを本心では良しとしていませんが、現実問題としてソウカイヤに本気で逆らうことも不可能だと考えています。一方で、自分で述べたように、ヤクザの圧力に屈したという噂が広まればソウカイヤに楯突いて潰されるのと同じくらい商売上の危機になりえます。なので、PCたちがこの裏取引を誰にも明かさないと約束すること、そしてその約束を違えないという信頼感を見せることを言外に求めています。
PCたちがスムーズにロールプレイでのやり取りをできているのならば問題ありませんが、クロフネの意図を上手く掴めていないようならば上記の内容についてNMが伝えてください(PCたちのニンジャ直感力によって理解したのです)。その後、【ワザマエ】による交渉判定(難易度:HARD)を行わせてください。PCたちの交渉が見事だとNMが判断した場合(NMによる解説を受ける前に自発的にソンケイを示そうとしたなど)、難易度をNORMALとしても構いません。

◆クロフネとの裏取引:【難易度:HARD】

最も適した交渉スキル(+2):共感、駆け引き
次に適した交渉スキル(+1):誘惑、超然など
最も適した知識スキル(+2):ストリートの流儀、ヤクザの流儀
次に適した知識スキル(+1):ソウカイヤ、犯罪など

成功した場合、クロフネは一度奥に引っ込んで紙袋に包んだ酒瓶を持ってきます。「これはバーのオーナーとしてのお近づきのプレゼントだ。もしかしたら帳簿みたいなもんが間違って入っているかもしれんが、サケやツマミの材料のつまらん取引さ……気にせず消去してくれ」と言ってPCたちに渡します。袋を開けるとテキーラの瓶に情報素子が貼り付けてあります。
失敗した場合、「やはりアンタたちに情報は渡せないな。すまないが帰ってくれ」と言ってきます。こうなった場合、ソニックブームかダダヤマのソンケイの威を借りれば成功したのと同じ対応を得られます。実際にソニックブームやダダヤマを「クロフネ」に連れてくる必要はありませんが、彼らにクロフネと話をつけてくれるよう段取りをまとめるのに半日余分な時間がかかります。PCたちがこの方法を思いつかない場合、ソニックブームやダダヤマの台詞を通じて促してあげてください。
あるいは、交渉に失敗したPCたちがもっと直接的な暴力に訴えるかもしれません。クロフネは重サイバネなどではない一般モータルであり、PCたちがカラテで制圧することは判定の必要なしに可能です。その上で、店内のUNIXをハッキングする必要があります(【ニューロン】判定、難易度:U-HARD)。拷問などではクロフネは口を割りません(行ったPCたちに【DKK】1点付与)。この判定はPC1人につき1回行うことができ、失敗すると再挑戦はできません。全員が失敗した場合、ダイダロスの協力を得ることで判定成功時と同じ情報を入手することができますが、半日余分な時間がかかります。
いずれかの方法で情報素子を入手するか、ハッキングでUNIXのセキュリティを破れば、以下の情報が分かります。

◆クロフネの知るポイゾナスグリーンについての情報

◎ネンゴロであるオイラン(恐らくモータル)とオキナワに高飛びしようとしている。

◎そのための密航船をクロフネが手配した。出航予定は3日目後半終了時である(オプションルール非使用時)。場所はネオサイタマ第13埠頭。

◎オイランは何か重病を患っていて、そのためにここ最近カネを多く必要としていたらしい。

クロフネとのやり取りが終わり、PCたちが階段を上がっていくと、クローンヤクザを引き連れたスーツ姿のサラリマンとすれ違います。サラリマンはPCたちが特に何もしなければそのまま「クロフネ」に入っていきます。PCたちが話しかけたりすれば、「ドーモ」とオジギをして名刺を取り出します。名刺には「ヨロシ・サポート・サービス社 フィールドサポート課 ワドノ・ジンザ」と記されています。

「ドーモ、ヨロシ・サポート・サービスのワドノです。ご存じないでしょうが、本社の方々のスムーズな研究開発のためのサポートを担う……まあ要するに雑用係のようなカイシャですな」
「ヨロシサンと関係のあったニンジャの行方を調べておりまして」

ワドノはヨロシサンのプラント施設の不正使用(廃棄されてはいますが記録上は現在もヨロシサンの資産です)の件でポイゾナスグリーンを追っています。PCが情報を伝えれば感謝はしますが、予定通りクロフネからの事情聴取も行う方針を変更はしません。このワドノの調査は成功し(クロフネがPCたちに殺されていたとしても、店のUNIXのハッキングや物理帳簿の調査で突き止めます)、ヨロシサンは第13埠頭にバイオニンジャを送り込む決定を下します。

◆ヨロシ・サポート・サービス社サラリマン、ワドノ・ジンザ (種別:モータル)
カラテ    3  体力   5
ニューロン  5  精神力  5
ワザマエ   4  脚力   3
ジツ     –  万札   5
攻撃/射撃/機先/電脳  3/4/6/7
		
◇装備や特記事項
 ▶︎生体LAN端子LV1、▷ファイアウォール
 
 LAN直結型ハンドガン: テック銃器、1ダメージ、連射2、射撃難易度:NORMAL
 集中状態のみ『●射撃スタイル:論理トリガ』:【ニューロン】で『射撃判定』。『マルチターゲット』『時間差』獲得。

◇3日目前半以降

3日目前半以降に「クロフネ」を訪れた場合、PCたちが店に入るとワドノがクロフネとのやり取りを終えて出てくるところに鉢合わせます。ヨロシサンの介入がPCたちに先んじていることを示す描写です。
ワドノやクロフネのPCたちに対する対応は変わりません。ワドノは既にクロフネからポイゾナスグリーンの情報を得ているので、ワドノに対して交渉判定を行うことでもPCたちが情報を知ることができます(【ワザマエ】判定、難易度:U-HARD)。

◆ワドノ・ジンザとの情報取引:【難易度:U-HARD】

最も適した交渉スキル(+2):理路整然、駆け引き
次に適した交渉スキル(+1):卑屈、超然など
最も適した知識スキル(+2):サラリマンの流儀、バイオ系メガコーポ
次に適した知識スキル(+1):ソウカイヤ(ソウカイヤとヨロシサンのつながりを示す)など

ネオサイタマ第13埠頭につながる情報をPCたちが手に入れればこのシーケンスを終了させてください。このシーケンスでの一連の行動が終了すると、半日分の時間が経過します(判定成功のためにNPCの手助けを得た場合にはさらに半日かかります)。


◆タイムテーブルの余裕

PCたちの行動が順調に進むと、3日目後半の密航船出航時間(オプションルール非使用時)まで時間が残ることになります。その場合、半日分の行動1回毎に「休息ポイント」を設け、以下のオプションのどれかを得ることができます(「何もしない」ことはできますが、自分のオプション獲得権利を他のPCに譲ることはできません)。

◎【体力】の半分(端数切り上げ)を回復する。

【精神力】の半分(端数切り上げ)を回復する。

◎使用済みの「1シナリオ1回のみ」のスキルやアイテムの効果を回復する。

また、使える【万札】があるならアイテムの購入を認めてもよいでしょう。その場合「ヨロシ・アンタイ・ポイズンアンプル」の購入を認めるかどうかはNMに任されます。このシナリオで購入できることにすると、次回以降も同様に購入できる方が自然になってしまうためです。
アイテムの購入にも半日分の行動を消費します。複数のアイテムをまとめて同時に購入しても構いません。


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◆ネオサイタマ第13埠頭(戦闘シーケンス)

君たちの目的地はネオサイタマ第13埠頭の一角の倉庫。港湾地域の中でも外れに位置し、周囲の治安レベルも相応に低い。登記上はフナドイヤ・マリントランスポート社のものとなっているが、実際にはフナドイヤ社は実体のないペーパーカンパニーであり、クロフネが手配した密輸船業者が一時的に荷物――人も含む――を保管しておく場所である。情報では、現在内部には密輸業者の社員やクローンヤクザの他は、ポイゾナスグリーンとタモコしかいない状態にあるはずだ。


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シナリオマップ2

マップの詳細は以下の通りです。
PC以外に最初から配置されているのはポイゾナスグリーン(「ポ」マス)、クローンヤクザ(「C1」から「C7」)、事務員、タモコだけです。PCたちにはNPCの配置されていないマップを公開してください。
PCたちの初期配置地点は2ヵ所です。一方に固まっても分散してもどちらでも構いません。

①倉庫室

この場所で起こるイベントは時間経過によって展開が変わります。ただし、参照するのはこのシーケンス自体がいつかではなく、「◆バー『クロフネ』」のシーケンスでヨロシサン勢力にPCたちが先んじていたかどうかです。クロフネと面会した後ワドノと会っていたなら、このシーケンスでもヨロシサンより先にポイゾナスグリーンと接触し、重要な交渉を持ちかけられます。バー「クロフネ」からワドノが出てくる方がPCたちとクロフネの面会より早かったら、ヨロシサンニンジャがPCたちより先にエントリーしています。

◇ヨロシサンよりも先行した場合

君たちが侵入した倉庫室の中央では、碧緑色の装束のニンジャがアグラしている。追っ手の襲来に備えてザゼンしていたのであろうそのニンジャのコンセントレーションの高まりは、視覚的に感じられるほどだ。
碧緑装束のニンジャは君たちの風貌や雰囲気から正体を察したのであろう、先手を取ってアイサツしてくる。
「来たか……。ソウカイヤのニンジャだな? ドーモ、初めまして。ポイゾナスグリーンです」
君たちのアイサツが終わると、ポイゾナスグリーンは君たちを試すような目つきで己の懐を指で示した。
「ここに【万札】50がある。お前たちに渡せる最大限のカネだ。残りは既にオキナワの医療リゾート施設に振り込んでしまっているからな。これで、どうか俺たちを見逃してくれないか?」
「ソウカイヤのニンジャとして、ヤクザとして、お前たちにも求めるものがあるだろう!? カネか、力か、名誉か? 俺が欲しいのはたった一人の女なんだ!」

この提案をPCたちが拒否すると、ポイゾナスグリーンとの戦闘になります。

「そうか、やはり組織の中で生きるようなニンジャには分かりえないことか。ならば、カラテだ」
◎戦闘2ターン目で終了しなかった場合、3ターン目のターン開始フェイズにヨロシサンのニンジャ2人とワドノがエントリーしてきます。場所は「ア1」「ス1」「ワ1」のマスです(PCたちの初期配置マスとは異なりますが、テレポートなどで突然出現したわけではなく、PCたちが気づいたのがその地点だったということです)。それまでは「ア1」「ス1」「ワ1」「ア2」「ス2」「ワ2」どのマスにも配置されていません。

◎ヨロシサン勢力はポイゾナスグリーンを気絶させて確保することを目的としています。タモコを爆発四散させることをためらいはしません。

◎アシュラスクウィラはポイゾナスグリーンやPCたちに近接攻撃を仕掛け、スカイテラーは主に倉庫室二階の空中マスから射撃攻撃を行います。ワドノは戦闘が始まった時点で離れるように移動し積極的にはイクサに関わろうとしませんが、PCたちに攻撃された場合は銃で反撃してきます。

◎ポイゾナスグリーンの【体力】が2以下になると、危機をニンジャ第六感で察知したタモコがポイゾナスグリーンを助けようとコンテナから出てきてしまいます。その後はエネミーデータ記載の方針のとおりに動きます。

◎「アシュラスクウィラかスカイテラーどちらかの【体力】が5以下、かつもう一方の【体力】が9以下」の状態か、「『攻撃フェイズ』の『その他の行動』でワドノに対して交渉判定(【難易度:U-HARD】)を行い成功させた」のどちらかの条件を満たすとヨロシサン勢力はポイゾナスグリーンを諦め撤退します。
◆ワドノに撤退を促す:【難易度:U-HARD】

最も適した交渉スキル(+2):理路整然、超然
次に適した交渉スキル(+1):駆け引き、威圧など
最も適した知識スキル(+2):
ヤクザの流儀(ナメられたら徹底的に報復する覚悟を示す)、サラリマンの流儀(損得を示す)
次に適した知識スキル(+1):ソウカイヤ、バイオ系メガコーポなど

※その他、NMが戦況を判断し、-2(PC側劣勢)〜+2(PC側優勢)

もしPCたちがポイゾナスグリーンの提案を受け入れた場合は以下のようになります。

「本当か! 心から感謝する……!」
「もう少しすれば船が来る予定だ。俺たちが乗り込んだらカネを渡そう。さっきも言ったように俺にはこのカネを惜しむ理由がない。取引はきちんとするさ」

PCたちからすれば、ポイゾナスグリーンを叩きのめせばポイゾナスグリーンの身柄と【万札】が両方手に入りますから、提案を受け入れたふりをしてポイゾナスグリーンを欺こうとするような方針はわざわざ立てないかと思いますが、ポイゾナスグリーンにも警戒心はありますので、基本的には上記のように「自分たちが密航船に乗り込んでから、陸上にいるかゴムボートに乗っているかのPCたちにカネが入ったバッグを投げ渡す」というプランを提案します。なお、ポイゾナスグリーンの提示した【万札】50は、元々はダークカマの上納金の一部であるため、PCたちに所有権はありません(ソウカイヤ所属である限り)。ボスエネミーデータの【万札】10はポイゾナスグリーンを倒せばPCたちの【万札】プールに入ります。

その後、船が来る前にエントリーしてきたヨロシサン勢力との戦闘になります。お互い敵対するNPC同士をNM1人で制御するのは負担が大きいので、ポイゾナスグリーンはPCたちが希望する行動を取らせても構いません。その場合でも、PCたちの意見が割れてなかなか収集がつかなかったり、あまりにもポイゾナスグリーンにとって自殺的な行動を取らせようとしたりした時には、いつでもNMは行動制御権を取り戻すことができます。また、タモコに危害が及ぶような行動は絶対に行いません。

それぞれの行動方針は変わりませんが、ヨロシサンの撤退条件は以下に変わります。

◎「アシュラスクウィラかスカイテラーどちらかの【体力】が2以下、かつもう一方の【体力】が8以下」の状態になるか、ワドノへの交渉判定(条件は上と同じ)に成功する。

◇ヨロシサンよりも遅れた場合

ワドノ「ドーモ、ポイゾナスグリーン=サン。貴方にはヨロシサン保有施設の不正利用の疑いがかけられています。大人しく従えば社内法廷での公正なる審判が約束されておりますが、抵抗するならばこの場での殺害許可も下りています。素直に身柄を拘束された方が身のためですよ」
アシュラスクウィラ
「ヒヒィーッ! 裏切り者とヤクザの反ヨロシ存在をまとめて始末して愛社重点! そしてカイシャからの特別ボーナス重点よぉー!」

PCたちが「倉庫室」に接近すると、上記のようなやり取りが聞こえてきます。ポイゾナスグリーンは拒否し、PCのうち誰か1名が「倉庫室」内のマスに侵入したターンでポイゾナスグリーンとヨロシサン勢力の戦闘が開始されます。PCたちがヨロシサン勢力に敵対するならば、ポイゾナスグリーンは積極的にPCたちと共闘し、ヨロシサン勢力撤退後に改めて逃亡見逃しの取引をPCたちに提案します。一方ヨロシサン勢力は、PCたちがポイゾナスグリーンの方に攻勢をかけても自分たちの味方だとは見なさず、PC・ポイゾナスグリーン両方を排除しようとします。
ヨロシサン勢力の撤退条件は以下の通りです。

◎「アシュラスクウィラかスカイテラーどちらかの【体力】が2以下、かつもう一方の【体力】が8以下」の状態になるか、ワドノへの交渉判定(条件は上と同じ)に成功する。


◆ポイゾナスグリーン (種別:ニンジャ)

カラテ    6  体力   8
ニューロン  5  精神力  8
ワザマエ   4  脚力   3/N
ジツ     3  万札   10
攻撃/射撃/機先/電脳  6/4/5/5
回避/精密/側転/発動  6/4/4/8
◇装備や特記事項
 『◉頑強なる肉体』『◉挑発』『◉特殊な狂戦士化3』、『◉フーリンカザン構築』
 『☆カナシバリ・ジツLV1-3』、『★ドク・スリケン』、『★マインドブラスト・ジツ』

 『◉特殊な狂戦士化3』
 通常の狂戦士化と異なりダメージを受けても発動しないが、タモコが爆発四散した場合即座に戦闘終了まで『近接攻撃ダイス』数が+3され、各ターンに得られる『回避ダイス』数が-3される。

 『◉フーリンカザン構築』
 ポイゾナスグリーンは「倉庫室」に簡易ドージョーを築きザゼンを重ねることで、フーリンカザンを作り上げている。
 ポイゾナスグリーンがマップ上の「倉庫室」の内側のマスにいる間、ジツ発動判定のダイスが+1される。
クグツ・ドク・ジツ:
ポイゾナスグリーンの持つユニーク・ジツ「クグツ・ドク・ジツ」は「★マインドブラスト・ジツ」として表現されます。本来は特別に調合した薬物を対象に摂取させることで文字通り意のままに操るジツですが、このシナリオでは戦闘中、しかも主にニンジャ相手にしか使われないためです。
使用すると、シャウトとともにポイゾナスグリーンの周囲に薬物効果を持つ芳香が漂い始めます。本来の「★マインドブラスト・ジツ」は苦痛を与えるようなイメージですが、このジツを食らったPCは多幸感に包まれてぼんやりした状態になります。これは描写の読み替えであって、実際には肉体と精神にダメージを受けているのは変わりません。毒物の効果によってそのダメージを認識できていないのです(もちろんPLはデータ上のダメージが分かります)。

デスハイク:
イクサ中にポイゾナスグリーンの【体力】がマイナスになった場合、「海遥か/夢見て掴めぬ/幻な」のデスハイクを遺し、タモコがまだ生存している場合「タモコ、サヨナラ!」と名前を呼びながら爆発四散します。
◆ハガタシ・タモコ (種別:ニンジャ)
カラテ    3  体力   3
ニューロン  1  精神力  1
ワザマエ   1  脚力   2
ジツ     0  万札   0
攻撃/射撃/機先/電脳  1/1/1/1
回避/精密/側転/発動  1/1/-/1
◇装備や特記事項
 『◉病み果てた肉体』『◉消滅した人格』

 『◉病み果てた肉体』
 ・近接攻撃ダイス、回避ダイスをそれぞれ-2。「連続側転」不可。

 『◉消滅した人格』
 ・ニンジャネームを持たず、アイサツ行動不可。
 ・ポイゾナスグリーンを爆発四散させたキャラに接近して近接攻撃する以外の自発的行動をとれない。
  目標がマップ上からいなくなった場合、自分に攻撃してきた相手に対して近接攻撃をする以外の自発的行動をとれない。
 ・【カルマ:善】の重要NPCとして扱う。タモコを死亡させたキャラは【DKK】+2D3(ミネウチで気絶させた場合は獲得しない)。
タモコの外見:
かつては華やかな美しさであったのだろう容貌は、不健康な青白さと浮かべている虚ろな表情で見る者に不安感を抱かせるものになっている。細く弱った髪は短く切りそろえられ、治療や介護が日常の生活をうかがわせる。ハネムーンめいた出航に合わせてか、オイラン衣装を思わせるきらびやかな衣装をまとっているが、本人の状態と不釣り合いな印象は誤魔化しようもなく漂っている。
反応:
ポイゾナスグリーンが危機に陥ったとき以外では積極的な行動を起こさず、何をされてもされるがままです。ポイゾナスグリーンが爆発四散すると離れた箇所にいてもそれを察知し涙を一筋こぼします。その後タモコ自身も爆発四散する直前には、どこか満足げな表情を浮かべます。ポイゾナスグリーンが生存している状況でタモコが爆発四散する場合、「アナタ……サヨナラ!」の言葉だけを遺します。
◆アシュラスクウィラ (種別:ニンジャ/バイオニンジャ)
カラテ    7  体力   10
ニューロン  3  精神力  4
ワザマエ   5  脚力   5/N
ジツ     0  万札   15
攻撃/射撃/機先/電脳  7/5/3/3
回避/精密/側転/発動  7/5/5/3
◇装備や特記事項
 ▲▲戦闘用バイオサイバネLV1 :装備枠1スロット消費の「バイオ武器LV1」を獲得
  ・バイオ武器lV1: ダメージ2
 △△ロブスターアーム
  ・「バイオ武器」を用いた『近接攻撃』時、『集中状態』ならば【6,5】で『サツバツ!』を発生させる。
 ▲▲戦闘用バイオトルソー
  ・【脚力】+1、【体力】+3
 △△生体毒分泌
   ・「バイオ武器」を用いた『近接攻撃』時、出目【4,4】でつねに『毒属性ダメージ+1』を得る。
   ・『毒属性ダメージ』への『ダメージ軽減1』を持つ。

 『●連続攻撃2』、『◉ツジギリ』『◉バイオニンジャ化』、「◉狂戦士化2』、『◉忠誠心:ヨロシサン』
アシュラスクウィラ:
ハサミの付いた六本腕を持つ恐るべき異形のバイオニンジャで、眼柄の先端の真っ黒な眼球で360°を見渡します。バイオニンジャらしくヨロシサンへの忠誠心や攻撃性が高く粗暴ですが、(闇社会のルールなども含めた)一般常識には欠けています。PCたちやポイゾナスグリーンに対する威圧、挑発などは主にこのニンジャが発します。
「ヒッヒィー! 貴様ら非ヨロシ存在が劣等生物であることは明白よォー! なぜなら俺様の腕は貴様らの3倍、ヨロシサンの偉大さを加えれば計100倍だからなァー!」
◆スカイテラー (種別:ニンジャ/重サイバネ/バイオニンジャ)
カラテ    4  体力   10
ニューロン  4  精神力  5
ワザマエ   6  脚力   5/N
ジツ     0  万札   15
攻撃/射撃/機先/電脳  6/8/5/6
回避/精密/側転/発動  8/6/6/4
◇装備や特記事項
 ▶︎生体LAN端子LV1
   ・【ニューロン】判定でダイス+2個、イニシアチブ+1
 ▶︎▶︎テッコLV2
   ・【カラテ】判定でダイス+2個、回避ダイス+2個
   ▷▷スナイパースリケン・カタパルト:  武器スロット1個を占有
   ・射撃時は「銃器(小銃:スナイパー)」、敵による回避時は「スリケン/ユミ」とみなされる
   ・連射1、ダメージD3、射撃難易度:HARD、回避難易度:HARD
   ・射撃時【6,6,6】でサツバツ発生、弾き飛ばし距離はダメージ値と同じ
 ▶︎サイバネアイLV1:
   ・【ワザマエ】判定でダイス+2個
 
 ▲▲▲▲戦闘用バイオトルソーLV2
  ・【脚力】+2、【体力】+6
 △△△大型バイオ飛行翼
  ・『飛行移動(脚力x2マス)』を得る。

 『◉シャープシューター』、『◉重サイバネ化』、『◉バイオニンジャ化』、『◉忠誠心:ヨロシサン』
スカイテラー:
シャーテック出身のニンジャで、ヨロシサン入社後に狙撃時の高度優位性を得るためにバイオ翼を移植しています。寡黙な性格で、他のキャラクターと積極的に会話しようとはしません。
「所定位置に付いた……攻撃を開始する……」「お前はもう俺のスリケン射程からは逃れられん……」
ワドノ・ジンザ:
プロフィールは名刺の通りで偽装してはいません。計算高く冷静であり、PCたちと利害交渉が通じます。このミッションにおけるバイオニンジャ2名の指揮権を有しています。ポイゾナスグリーンにかけられた罪状は極めて重いというわけではなく(廃棄プラント施設に残された機密情報はせいぜいがマイナー・シャガイ級であり、しかもそこへのアクセスはされていないことが確認されています)、バイオニンジャ2名の戦闘データ取得という側面が大きいため、バイオニンジャが爆発四散するような事態になれば大きな失点だと考えます。
(PCに対し)「ソウカイヤの方々は、ヤクザであると同時にビジネスマンでもあると思っていたのですがね。なかなかどうして話が通じなさそうで、困ったことです」
(バイオニンジャに対し)「貴方がたは社の大切な財産です。私よりも貴重な、ね。無駄に失うわけにはまいりません」

ポイゾナスグリーン、アシュラスクウィラ、スカイテラーは「ボス級の敵」として扱います。タモコ、ワドノは非ボス級の敵です。

◇Wasshoi!判定

タモコが爆発四散した場合、【DKK】獲得値が最低の2点だったとしてもWasshoi!判定が行われます。成功した場合、「サンシタどもの醜い争い、私にとっては実に好都合。『漁師がカチグミ』のコトワザどおり、私がまとめてアノヨへと送ってやろう」の台詞と共にエントリーします。

②オフィスルーム

ここではフナドイヤ社のダミー社員が3人働いています。彼らは犯罪組織の一員ではありますが、末端の非戦闘員であり、ニンジャの襲撃によってNRSを発症して行動不能になっているため、【カルマ:善】のNPCと見なし【DKK】の発生要因となります。
クローンヤクザはPCたちが部屋に侵入するとチャカガンで攻撃してきます。部屋への侵入がなければ、防衛のためにこの部屋から動こうとはしません。
右上の金庫はランダムトレジャーボックスです。
右下のUNIXのハッキング(【ニューロン】判定、難易度:HARD)に成功すると、建屋内のNPC(ポイゾナスグリーンとクローンヤクザすべて)とコンテナ内のランダムトレジャーの配置マスが判明します。重要なのは、タモコがこの建屋内にはいないということが分かることです。

◆クローンヤクザ(Y-12型) (種別:モータル/バイオ生物/クローンヤクザ)	
カラテ    2  体力   1
ニューロン  1  精神力  1
ワザマエ   3  脚力   2
ジツ     –  万札   1
攻撃/射撃/機先/電脳  2/3/1/1
◇装備や特記事項
 チャカガン: 銃器、連射1、ダメージ1
金庫のランダムトレジャー判定
出目:1~3 ウイルス入りフロッピー
出目:4~5 タカハシ・マスターツールキット
出目:6 フナドイヤ社取引帳簿(【万札】10相当)

③会議室、男子WC、女子WC

ここにはシナリオ上意味のあるものはありません。

④休憩室

ここのクローンヤクザもオフィスルームと同様はPCたちが部屋に侵入するとチャカガンで攻撃してきます。部屋への侵入がなければ、防衛のためにこの部屋から動こうとはしません。右下のマネキネコ置物はランダムトレジャーボックスです。

マネキネコ置物のランダムトレジャー判定
出目:1~2 電脳ザゼン素子
出目:3~4 ZBRアドレナリン注射器
出目:5~6 トロ粉末

⑤階段&キャットウォーク

分かりやすいようにマップのマスには色が塗られていますが、他の室内や廊下のマスと同じ扱い(ごく普通に移動できる)です。
「キャットウォーク」からは階下の「倉庫室」のマスに視線が通りますが、自分が立っているマスの真下の列には視線は通りません。
「キャットウォーク」と「倉庫室」のマスは互いに「高度差2」として扱います。行き来するためには「連続側転」か、「攻撃フェイズ」の「その他の行動」で「【カラテ】判定 難易度:HARD」が必要で、1マスの移動に2マス分の移動距離消費が必要です。

⑥吹き抜け

吹き抜けのマスは空中ですので、「飛行移動」を持たないキャラクターは侵入できません。「吹き抜け」のマスに配置されているキャラクターは、「倉庫室」のすべてのマスに視線が通ります。「吹き抜け」のマスと、上下左右が同じ「倉庫室」のマスとの行き来は2マス分の移動距離消費が必要です。

⑦仮眠室

仮眠室にいるクローンヤクザ(C6,C7)は、PCたちが2階に侵入してきた場合、部屋を出てチャカガンで攻撃を行います。

⑧海

敷地外の┏型の水色マスは海です。このマスは移動困難地形であり、海のマスにいるキャラクターが他のマスに移動する際には1マスにつき2マス分の移動距離消費が必要です。また、海側から陸地側のマスに移動するためには「連続側転」か、「攻撃フェイズ」の「その他の行動」で「【カラテ】判定 難易度:NORMAL」に成功することが必要です。

⑨コンテナ

すべてのコンテナは前後方向から出入りすることができます。
タモコが自発的に出てくる上記の条件を満たす前にPCによってコンテナが開けられた場合、タモコは虚ろな表情を浮かべたままPCにも反応をしません。PCは「装備スロット2消費、所持ペナルティ:側転難易度+2」のアイテムとしてタモコを運んで連れていくことができます。

⑩警備員詰所

それぞれの初期配置地点から侵入してきたPCをクローンヤクザが迎撃してきます。


埠頭での戦闘シーケンスが終了すると、シナリオ本編も終わり評価に移ります。チェックすべき項目は以下の通りです。

◎ポイゾナスグリーンを捕らえたか? 見逃したか?
◎ポイゾナスグリーンを捕らえた場合、あくまでダークカマ・ヤクザクランに引き渡すか? あるいはソウカイヤの直接管理下に置くか?
◎ポイゾナスグリーンを捕らえていない場合、ソウカイヤに帰還するか?
◎タモコは生存しているか?


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◆評価と報酬

◇ソウカイヤへの帰還

どのような結果であったとしても、ソウカイヤへと戻った場合、ラオモトによる評価が行われます。

トコロザワ・ピラーに戻った君たちは、シンジケート首領ラオモト・カンへの謁見に使われる数十畳敷のタタミ部屋へと通される。
中央の高いタタミの上には、金髪オイランを侍らせた偉大なるラオモトの姿がある。
「ムッハハハハ! ミッション達成の報告内容は、当然グッドニュースであろうな?」

◇シナリオ結果と評価(ソウカイヤ)

成功度の基準は以下の通りです。ヨロシサンのニンジャを1体でも爆発四散させてソウカイニンジャの恐ろしさを知らしめた場合(2体とも撤退した場合には含みません)、また、出現したニンジャスレイヤーを1段階以上戦闘不能に陥れた場合には評価がそれぞれ1段階上昇します(どちらも達成していたら2段階上昇。最大A+まで)。

A:ポイゾナスグリーンとタモコを捕らえてソウカイヤの元へと連れてきた。今後は「ユメミ」のシノギをソウカイヤ管理下で行うことができる。
B:ポイゾナスグリーンとタモコを捕らえてダークカマ・ヤクザクランへと戻した。今後のダークカマの上納はスムーズに行われるだろう。
C:ポイゾナスグリーンは捕らえたが、タモコを失っており無気力状態に陥っている。「ユメミ」製造は不可能である。
D:ポイゾナスグリーンを爆発四散させてしまったか逃してしまったかして捕らえられなかった。ダークカマからの上納金の減少は不可避であり、ソウカイヤのメンツも保てなかった。

結果がAまたはBの場合はラオモトからのお褒めの言葉と札束を貰うことができますが、CまたはDだった場合はラオモトの怒りを買い激しい対応が待っています。

A+:「ムッハハハハ! アッパレ! 有用なニンジャは嫌いではないぞ!」
【万札】プール+50。全員が【名声:ソウカイヤ】+2。
A:「見事だ! これからも励め!」
【万札】プール+40。全員が【名声:ソウカイヤ】+1。
B:「若い衆ながらなかなかやる。今後の働きも期待してよさそうだな」
【万札】プール+30。全員が【名声:ソウカイヤ】+0。
C:「ブザマ! 貴様らにできるのはせいぜいケジメとカネの埋め合わせくらいよ!」
【万札】プール-20。全員が【名声:ソウカイヤ】+0。
D:「貴様らの報告をわざわざ直接聞いたのは全くの時間の無駄であったわ! ソウカイヤの面汚しどもめ!」
【万札】プール-30。全員が【名声:ソウカイヤ】-1。

※C評価やD評価で【万札】が足りない場合、全員に均等割りでふわふわローンさせてください。

ダークカマ・ヤクザクランの処遇

A評価の場合、ラオモトとの面会が終わったあとにダダヤマがPCたちに上納金の減額(元の基準へ戻す)を懇願してきます。シナリオ本編中にそのような約束を交わしてハンコでも押していない限り、しらを切ってこれまで通りのタテマエを押し通すことはできますが、その場合ダークカマ・ヤクザクランは実質的にクラン運営が不可能となり、数カ月後に自然解散するか、あるいはヤバレカバレとなってムーホンを企図するようになります。その時はザイバツやアマクダリといった反ソウカイヤ勢力と内通する火種ともなりえるでしょう。今後のシナリオに活かしてください。
PCたちがダダヤマの願いを受け入れた場合は(PCたちは功績もありますし、「ユメミ」を直接シノギする以上ダークカマの上納金を減らしてもソウカイヤ全体で見れば経済的損失はないため、PCたちが口利きすれば嘆願は認められます)ダダヤマは泣いて感激し、PCたちと五分の盃を交わしてPCたちに忠実な勢力となります。また、PCたちの奥ゆかしい振る舞いが噂となってヤクザ業界に広まり、ソンケイを身につけたPCたちは【名声:ソウカイヤ】を1点追加で獲得します。

ポイゾナスグリーンの処遇

ソウカイヤの下であってもダークカマの下であっても、ポイゾナスグリーンとタモコの二人はオキナワリゾートほどではないにせよ恵まれた環境と手厚い保護を受けられるようになります(ヨロシサンの介入などを防ぐための軟禁と表裏一体ではありますが)。しかし唯一の望みをPCたちに捻じ曲げられたことには変わりないため、ポイゾナスグリーンは不満を押し隠しています。遠からずタモコと共に再び逃亡の計画を実行するでしょう。それを阻止するためにはPCたちからの働きかけが必要です。
なお、タモコを失っている場合、ポイゾナスグリーンは完全に絶望していてどんな説得も効かず、いずれ隙を見てセプクし果てます。

◆捕らえられたポイゾナスグリーンに対する交渉判定:【難易度:U-HARD】

最も適した交渉スキル(+2):共感、超然
次に適した交渉スキル(+1):
駆け引き、誘惑(共に、タモコへの積極的な治療の提供の意志を見せる)
最も適した知識スキル(+2):ヤクザの流儀(ソンケイ)、バイオ系メガコーポ(ヨロシサンの協力を引き出せる可能性について)
次に適した知識スキル(+1〜2):宗教(死に瀕した人物やその家族を落ち着かせる)

成功した場合、ポイゾナスグリーンは現在の庇護下の生活を自分たちの終の暮らしと認め、「ユメミ」のシノギの役割を受け入れます。ソウカイヤで管理している場合立場的にもソウカイニンジャとなります。
失敗した場合は、PCたちにはポイゾナスグリーンの内面に反抗の芽が残されていることがわかりますが、それ以上できることはありません。せいぜいが監視体制を強化するくらいでしょう。今後のシナリオに活かしてください。

◇ストリートへ

PCたちがポイゾナスグリーンを捕らえられず、ソウカイヤを足抜けする決意をした場合、PCたちの所属はストリートニンジャとなります。
【DKK】値とローン残高は一度リセットされ0となります。ポイゾナスグリーンたちを積極的に見逃した場合【名声】値は現在の【名声:ソウカイヤ】の値を+1した値となり、そうでない場合は同じ値となります。ポイゾナスグリーンが提示した【万札】を受け取っていた場合は、【万札】プールが+50されます。
また、ポイゾナスグリーンたちを積極的に見逃した場合、以下の回想シーンを入れてください。

ポイゾナスグリーン「協力感謝する。しかし、お前たちもこのままではソウカイヤには戻れまい。ソウカイヤを抜けるつもりなら、俺に協力者の心当たりがある。山野で『ユメミ』に必要な薬草を集めていたときにしばしば顔を合わせていてな。アジトを知っているわけではないが、今から伝えるポイントに行けば、接触できる可能性はあるだろう」

NMは今後のシナリオの都合に合わせて、ドラゴン・ユカノフォレスト・サワタリのどちらか(あるいは両方)をポイゾナスグリーンの知人であったと設定し、PCたちと顔を合わせるシーンを行ってください。わざわざ描写をするのが面倒だったりセッションの時間が押していたりする場合は、「その場所に行ってみたら実際にそのニンジャがいた。君たちはお互いにアイサツを交わした」程度に軽く流し、次回以降のシナリオで詳しくやることにしてください。
以降、そのNPCをユウジョウ判定の対象となります(ソニックブームをはじめとしたソウカイや所属ニンジャは対象から外れます)。PCたちとユウジョウ判定対象NPCとの接触シーンが終われば、シナリオの評価は終了です。


◆余暇

以上でシナリオは全て終了です。PCたちに「余暇スロット」4つを与えてください。そして、NM・PLを問わず参加者同士でお互いのプレイを称え合い、セッションを終了しましょう。オツカレサマドスエ!


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