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コムジョの尺八歴史探訪📖

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尺八の歴史をマニアックに探究中✐ 虚無僧の実態を探ります!
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2023年2月の記事一覧

創始伝説「虚鐸伝記」を読み解く 其の三☆寄竹登場!

さて、前回は法燈国師(心地覚心)が中国、宋に行き、張伯の子孫、張参と仲良くなり、虚鐸を教えてもらい日本に帰国した。というところまでやりました。   まさに、日中(日宋)友情物語。   そして今回は、寄竹の登場です! 寄竹とは法燈国師の弟子。   京都明暗寺の開祖で、虚竹のこと。 虚霊山明暗寺発行の『虚霊山明暗寺』に記載された、明暗寺安牌並びに法系世代に拠ると、虚竹は開祖となっています。 心地覚心も学心となっているし、虚竹も寄竹と『虚鐸伝記』では名前は変えられ

虚無僧創始伝説「虚鐸伝記」を読み解く!其のニ☆学心と張参の友情物語

前回は、唐代の普化禅師の振る鐸の音に感銘を受けた張伯が、自分で作った竹の笛にその鐸の音を写し、16代の孫の張参までそれが伝承されたという、奇跡的なお話でした。 そしてそれから、およそ600年後の宋の時代。 由良興国寺の開山となった学心こと法燈国師が、建長元年(1249)の春に入宋し、張伯の16代目の孫、張参に出会うところから始まります。 法燈円明国師 とは? 鎌倉時代の臨済宗の僧で、普化宗の本山的な存在とされている臨済宗興国寺の開山。 色んな名前で呼ばれているのは

さらに詳しく!調布の虚無僧寺☆大光山三照院安楽寺について

「吹破る竹の音寒し 安楽寺 如月」 これは、虚無僧寺安楽寺の本尊、阿弥陀如来像の厨子の左扉に書かれていた句。阿弥陀如来像は1994年まで調布の大正寺本堂左側に現存していたと記録がある。 安楽寺については高橋空山が1937年(昭和12年)発行の『三曲』に「調査書」を投稿し、その後、1972年発行の山下彌十郎著「虚無僧 普化宗鈴法寺の研究」(多摩郷土研究の会)、1993年小川春夫氏の調査書と続いている。 その資料を元に、かつての虚無僧寺・安楽寺の詳細をここにまとめたいと思う。