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コムジョの尺八歴史探訪📖

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尺八の歴史をマニアックに探究中✐ 虚無僧の実態を探ります!
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2023年1月の記事一覧

明暗寺系創始文献「虚鐸伝記」を読み解く!其の一

普化尺八、虚無僧尺八の始まり創設のことが書いてある文献の一つが「虚鐸伝記」(漢文)と言われている。それに注解されたのが「虚鐸伝記国字解」(日本語、かな文字に解釈した本)。 そして、この文書は1900年初頭に、偽書であるという指摘がなされ、今ではそれが通説になっています。     『虚鐸伝記国字解』の偽書の可能性は栗原広太が「尺八史孝」大正7年(1918)の中で指摘し、断定したのは中塚竹禅「琴古流尺八史観」昭和54年(1979)。 理由は、虚鐸伝記の年代の記入が無く、著

関東系虚無僧寺院☆一月寺・鈴法寺の開創縁起を読み解く!

明暗寺系列の縁起本、『虚霊山明暗寺縁起』(1735)と『虚鐸伝記』(1795)によると、法燈国師とその門下の寄竹(のち虚竹)が普化尺八の元祖となっている。 ところが、関東系虚無僧寺院、一月寺・鈴法寺縁起には、寄竹の名前は一切無い。では誰が開祖なのか?! それは江戸中期の明和年間(1764-72)に宮地一閑がまとめ、文化10年(1813)開版された『尺八筆記』に書かれている。 今回は、その『尺八筆記』から開創縁起部分を抜粋し、読み解いていきます。 著者、 宮地一閑