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6-2 疑念大学


キャラ (1)

「よし。全員集まったな」


  ……カスガのアホがおかしくなって家から出ていった次の日。

 朝イチでセーブカンパニーのスエのところに行ったあと、俺はみんなに招集をかけた。

 カスガにも一応メールはしておいた。ここでアイツだけ除外すると余計にムードが悪くなるからな。

 と言っても、当分顔出しそうにもねーが……。


キャラ (11)

「……カスガがまだなようだが」


「アイツはいい。しばらくアタマ冷やしてもらわねーとな」

 ピンポーン。

「ん?」

 ドアを開けて驚いた。


カスガ立ち絵 (2)

「いやー。メンゴメンゴー。遅れちゃったー」


 そこに立っていたのは……カスガ?

「なにビックリしてんだー? 自分で招集したくせにー」

「……………………」


キャラ (6)

「あ。ナミ。昨日はゴミンネー。許してチョンマゲー」


キャラ (1)

チョンマゲじゃねえだろ! おまえ、よくもオメオメ顔だして……」


「まあまあ。昨日はオレも疲れてたみたいー。今日はちゃんとカツヤクするからさー」

「てめえっ! なにヘラヘラしてやかる!」

 思わずカッとなった俺をナミが止めた。


メインキャラ (12)

「……い、いいよ。ハヤト。カスガさんもこう言ってるし」


「け、けどよ」

 唇をかみながら仲間たちを見る。みんなカスガのあまりに軽い態度に、呆れるというよりどこか怖がっているようだ。

 チッ。納得はいかねーが、ここでこれ以上モメても仕方ねえっ。


キャラ (4)

「え? え? なに? 昨日なんかあったと? ハヤトさん?」


 まったく空気を読めてないカワハラを無視し、俺は頭をかきながら、息を吐いた。


pハヤト

「……怒る気にもならねー。まあいいやっ。とりあえず出かけるぞ。悪意退治に行かないとな」


キャラ (3)

「あー。それでねー。ハヤトとナミに言うことがあったんだー。ここに来る途中、アリバを持っているっぽい人を見かけたんだよー!」


キャラ (1)

「なんだとっ。マジかよ!? ナミ、どうなんだ!?」


メインキャラ (12)

「え。……そんな……そんなはずないよ。アリバはもうみんな集まったし、ボクには何も感じないし……」


「なんか悪意らしき敵に囲まれていたよー。早く助けないとー」

 カスガの言葉に俺は慌てる。

「おい、ナミ! 聞いたろ? 悪意とアリバが引き合うってんなら、そのアリバの持ち主は、敵の中に孤立してる状態かもしれねえ! 早く行ってやらねーと!」


キャラ (6)

「……うむ。正義の使徒を助けにゆくべきであろう!」


キャラ (16)

「そうだなあ。ひとりで悪意に囲まれるのはぞっとしないぞお」


キャラ (17)

「東和の乱のとき、おれも孤軍奮闘して大変でしたな。あのときはハヤトさんたちが来てくれたから助かったですな」


キャラ (13)

「兄貴! そのひと、きっとおれみたいに不安で怯えてるよ!」


キャラ (12)

「行きましょう! ハヤトさん」


キャラ (7)

「ムホホ。アリバに目覚めたばかりだとしたら、戸惑っているに違いないですねえ。この天才ですら、すぐには状況がつかめなかったし」


pハヤト

「決まりだな。とにかく行ってみようぜ」


pナミ

「う、ウン……」


pカスガ

「こっちだよー」


 俺たちは、カスガに案内されるまま、真夏の昼の福岡市を駆けた。


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 カスガに案内されるまま、たどり着いたのは……福海大学?

 またここか……。爆弾騒ぎ以来だぜ。


pカスガ

「こっちだよー」


pハヤト

「お、おいっ。待てよ……!」


 今日のカスガは変だぜ……妙に強引と言うか……。

 けど、昨日の件で反省して、急にヤル気出して張りきってんのかも。

 そーいう極端なトコあるからな……コイツは。カラ回りというか……。


pナミ

「ハヤト……なんかヘン」


 ナミが俺のシャツをくいっと引っ張る。

「どうした?」

「この先にアリバの持ち主が居るって話だけど……でもそんなはずは……」

 話している間にも、カスガはどんどん先に行ってしまう。


キャラ (1)

「お、おい待てってば! …………ナミ、とりあえず急ぐぞっ」


bk_4_10_高宮校舎2F第一講義室


 夏休みでひとのまばらなキャンパス内を走り、カスガは大学の北西部【文系エリア】へと向かう。

 夏の強い日差しに街路樹がキラキラ光っていた。

 13人もの大所帯でワラワラ走っていると、先頭のカスガが「こっちー」と有無を言わさず建物に入った。ここは……文系の講義棟?


pハヤト

「お、おい。カスガ。こんなところにアリバが居るのかよっ!?」


 まっしぐらに走るカスガの大きな背中に叫ぶ。ここまで全力疾走で、まともに話す余裕さえなかった。

 暑い日差しの外から、ひやりとした建物の中に入る。

 カスガは階段めがけて廊下を走っていく。

 突然悲鳴が上がった。見ると、目の赤い大学生の男女が、正気の学生相手に襲いかかるところだった。


キャラ (1)

「…………は、ハヤト! あ、悪意だ!」


 ハアハアと荒い息混じりにナミが叫ぶ。

「出やがったな!」



 すぐに臨戦態勢になる俺。が、カスガが妙に慌てた声で言った。


キャラ (6)

「ハヤトー。アリバの持ち主もきっと上で襲われてるよー。急がないとー」


キャラ (1)

「チッ。忙しいこったな!」


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 俺はすぐに判断をくだした。


キャラ (1)

「仕方ねえ! ヤノ、シンジロー、クリハラ! ここは任せるぜっ」


pヤノ

「ったく。ひと使い荒いぞおっ」


pシンジロー

「うん、わかったよ兄貴!」


pクリハラ

「ムホホ。天才にはうってつけのトレーニングですねえ」


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 三人を離脱させ、俺たちはカスガの後をついて二階へ向かう!

「うっ」

 そこには、一階よりもさらに多い悪意がひしめいていた!

「ここもかよっ」


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pカスガ

「ハヤトー。先に行くよー」


 カスガは炎の張り手で敵をなぎ倒し、勝手に先に進む。

 見ると、ここにもまだ正気の学生が数人居た。

 くそっ。放っておくわけにはいかねえかっ。


キャラ (1)

「コミネ、シモカワ、カワハラ! ここ頼めるか?」


pコミネ

「心得たぞ、戦友《とも》よ! ゆくぞっ。シモカワ! モヨハラ!」


pシモカワ

「はい!」


pカワハラ

カワハラっす」


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bk_4_16_放送室


 三人を残し、俺たちは階段で三階へと駆け上がる。

 ふと横を見ると、ナミはフラフラで、なんとかついてきているって感じだった。ここまで走り詰めだもんな…。


キャラ (1)

「ナミっ。大丈夫か……?」


メインキャラ (12)

「……………………」


 真っ赤な顔で、ナミは何か言いたそうに口をパクパク。

 そうこうしているうちに、文系棟三階へ着いた。このあたりは法学部の講義があるから、俺もよく来る場所だ。

 そしてここでも教授が悪意に襲われていた。


キャラ (6)

「ハヤトー。アリバはこの上だよー」


 カスガが屋上を指す。ふとそこで違和感を覚えた。

 なにかがおかしい。なにかが引っかかる。ここに来る前、カスガはなんて言ってた…?

 「オワアーーー」

 とつじょオッサンの悲鳴が聞こえてきた。

 見ると、悪意に憑依された学生たちが、年配の教授に襲いかかるところだった。厳しいと評判の偏屈教授で、思わず見捨てたくなったが、目が合ってしまった。

「お、オイっ。そこのキミィ。見覚えあるぞ! 法学部の学生だなっ。助けなさい!」

 チッ。顔見られたからには、見捨てたらあとあと面倒なことになりそうだぜ……。


pカスガ

「ハヤトー。アリバを助けないとー」


 しかしこの期に及んで、先を急ごうとするカスガ。


メインキャラ (12)

「は、は、はやとっ。おかしいよっ。ぜったいへんだよっ」


 ……そうだ。たしかにおかしいぜ。カスガはこう言っていたはず……。

『ここに来る途中、アリバを持っているっぽい人を見かけたんだー!』

 そしてこうも言っていた。

『なんか悪意らしき敵に囲まれていたよー。早く助けないとー』

 大学の屋上なんて、来る途中にたまたま通りかかる場所か?

 しかも、悪意に囲まれていた?

 どう考えても、今の状況に対して不自然じゃねえかっ。

 思わずカスガを見る。


キャラ (1)

「……どういうことだよ、カスガ」


pカスガ

「ハヤトー。信じてくれー。ホントに上にアリバが居るんだー」


pナミ

「は、ハヤト! ボクの話も聞いて! ……そ、そんなはずないんだ。だって……アリバはハヤトたちしか居ないはずで……」


キャラ (6)

「……どうしてナミがそんなことわかるんだー?」


 カスガがナミをじっと見た。無表情だったが、角度のせいか、その顔は不気味に微笑んでいるようにも見えた。


pカスガ

「……ナミって、もしかして……敵のスパイー……?」


メインキャラ (12)

「!!?」


 息を呑んで硬直するナミ。

 そこでまたしても、「オワワワアアァァー」という悲鳴。

 見ると、嫌われ者の教授に悪意の学生がワラワラたかっていた。


キャラ (1)

「くそっ。この忙しいときにっ!」


 仲間たちを見る。が、ササハラとカムラの姿はなく、そこにはヨシオとヤギハラしか居なかった!

「あ? アイツらどこ行った!?」


キャラ (17)

「気づいたら居ませんでしたな」


 くそ。カムラの野郎、ドサクサにまぎれて逃げやがったな……。

 ササハラも、狭い場所での乱戦ということで、足手まといにならないよう離脱したのだろう。


pヨシユキ

「……とりあえずハヤトさんっ。ここはおれとヤギちゃんに任せるですなっ」


 ヨシオが、全身からピリピリ電波を発しながら、頼もしいことを言った。

「……すまねえ。頼めるか?」

 三属性を使えるヨシオなら、ヤギハラと二人だけでもなんとか大丈夫だろう。


pヤギハラ

にぎゃっ……また勝手にそんな…」


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pハヤト

「くそっ。今はとにかく上だ!」


 俺は、ナミとカスガを引き連れ、屋上への最後の階段を駆け登った!






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