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俺の歯がない(2024.06.10)

長い間、自費で作った金属床の義歯を使っていた義父。
自分の歯に留めるためのクラスプ(金具)が折れて、カパカパしながらご飯を食べるのが相当不便だったらしいが、私には言わずにデイサービスで「食べづらい」と言ったそう。

連絡を受けて、在宅診療で保険適用のレジンの義歯を作成してもらったのが2023年8月のこと。
なのに、それを装着して食事をしたことはない。
残り僅かな歯と歯茎で食べているので、根菜類は一切食べない。

「(作ってもらったものは)でかいし痛いからいやだ」と義父は言う。
たしかに金属床のものに比べてレジン床のものは、かなり大きいが付け外しの練習をしたり、つけてからよく喋ったり、ご飯を食べるのも慣れてもらうしかない。
もちろん、歯医者さんに調整もしてもらっていたが、頑としてつけず、そのまま放置している。

金属床のものは使える状態ではなかったが、しまい込んだ挙句紛失してしまったらしい。
それでも急に思い出して「歯がない」と探し回る。
デイサービスへ行く直前に。

「おとうさんもう入れ歯使ってないでしょ。いつも入れてないですよね」
「いや、昨日使ったんだ」
こんなやりとりを何度もしている。

ここだけ切り取ってみると「そんなことぐらいで腹を立てるなんて」と思う人も多いかもしれないけど、ボケる前から性格悪くて大嫌いだったから余計に腹が立つ。

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