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教師を辞める

【目次】

1.心の声

2.将来の自分は上司

3.柵(しがらみ)


1.心の声

教師歴20年。そろそろ担任という年齢でもなく、管理職となって先生や学校を管理する立場になるだろう。このまま教務主任・教頭・校長、そして退職。60歳からは年金と退職金で孫の顔を見ながら妻と一緒に…


教師という仕事はやりがいのある仕事。一方で、人の将来に関わる大切な仕事。重々わかっていたつもりだった。しかし、「それでいいの?」心の声が自分に呼びかける。


小さな学校が大好きだ。特に学年単学級の小規模校。担任であり主任でもある(主任という役職はないが)おそらく人と同じことをしたくない性格。目立ちたがり屋。否定しない。足並みを揃えることが苦手。


中規模の学校に勤務した頃、勤務時間外から始める会議にぞっとした。足並みを揃えるための会議。考えても実現できないもどかしさ。やりたくないことをやるしんどさ。部活動の指導では、前任者のやり方を真似しすぎて心の病。


振り返ってみると、教師という仕事についた理由は、「教師になりたいから」ではなかった。むしろその逆。先生が嫌いだった。なんとか自分が新たなエッセンスになりたい。そう思って教師になったはずなのに、いつの間にか「風習」「慣習」に染められていた。自分が情けなかった。本来大嫌いだった「その他大勢」の1人になりつつある。


正直、学校を変えるのは難しい。人は変化を嫌う。現状維持が心地よい。一方、自分は現状維持が大嫌いだ。仕事に行く。家に変える。ご飯を食べて風呂に入って家族の時間。確かに幸せ。幸せだ。でも…物足りない。


変化がほしい。刺激がほしい。その根底には「自分は学ぶことが大好き」という一つの軸が見つかった。これだ。自分が教師になりたかったのは、「学びの楽しさを伝えたい」これを1人でも多くの人に知らせること。


受験とか、就職とか、ぶっちゃけどうでもいい。人の人生は、他人にどうこう言われて決められるより、自分で選んで好きなことに没頭する。良い高校に入って、いい大学に入学し、いい会社に就職できれば幸せ?幸せは人それぞれ。没頭には、必ず夢中とか、学びがセット。このループを作り出したい。学校だけが学びの場じゃない。教師だけが教える人じゃない。先生や教科書は自分で選べばいい。それこそ主体的な学びではないだろうか。

今の自分に伝えられるのは、学校の先生のなりかた。本当に目の前の子供達はその知識を必要としている?私には、足りないものだらけ。広い世界に旅立とう。もちろん、地図もない食料もない、丸腰で出航はできない。だから、今まさに、自分が学び手として人生の再スタートを切る。


2.将来の自分は上司

同じ職場で仕事をしていれば、自分が何年か後にはどうなるかがわかる。それが上司の姿。仕事内容だって、収入だって、そのとおりになる。大きな違いはない。上司を見て、そうなりたいと思うならその道を進めばいいし、これはないなと思うなら別の道を進む。これが遅いとどうにもできない。

・忙しそう、余裕がない、仕事に終われる、怒ってばかり、冴えない…

こういう上司が多いなら、私は早めの決断が必要だと思う。

・笑顔が多い、生き生きしている、常に学んでいる、憧れる…

素敵な上司がいて、その人みたいになりたいと思うなら、続けよう。

これが私の一つの基準。私は前者。だから舵を切る。

公務員の世界には、年功序列の風習が残る。若い先生には、もっと自分を出してほしい。教育はもっと自由であっていい。マニュアルとかは置いておいて、自分の思い通りの授業を展開する。失敗こそ学び。失敗はない。成功と成長。


テストのカンニングはいけない。100m走ならフライングは失格。でも、人生はカンニングもフライングも大いにあり。私は上司で自分の人生をカンニングした。こうなるのだな。そこにワクワクはあるか…


人生のフライングをすることに決めた。


3.柵(しがらみ)

聞かないようにしるけれど、嫌でも聞こえてくるのが公務員の不祥事。
なんとなくわかる。「この人もストレス抱えてるんだろうな」。

不祥事が起こるたびに、現場では取締が強化。ここぞとばかりに連帯責任感全面感。柵が、強くなる。

公務員だから当たり前かもしれない。だけど、ゆとりや余裕のない現場では、解決のしようがない。

一番の理由はこれだ。「公務員だから」というしばり。もちろん恩恵はたくさんある。これは、人それだけど、恩恵と柵のバランスを考えた時、私は柵のほうが大きかったのです。

            恩恵 < 柵

だから、準備を始めた。柵を超える準備を。そこに待っていたのは「学び」。自分の知らないことは山のようにある。退職を決めると、こんなにも世界が変わる。このワクワクがたまらない。

43歳の挑戦。多くの場合は、このまま管理職へ出世していく。「もったいない」との声もある。ありがたい。しかし、人生は一度きり。自分の気持ちに素直であることを決めた。学びの可能性を広げたい。教育に新しいエッセンスを届けたい。学校を出よう。ここからが人生の本番だ。


最後まで目を通していただきありがとうございました。教師を辞める決心をするに当たって思ったこと、今後展開していきたいこと、noteで発信していきます。

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