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モラハラ離婚は、そう単純化できない

もう5年以上になるだろうか。モラルハラスメントという言葉に出会い、夫と暮す上での苦しさを理解し、解決する方法を探ってきた。

モラルハラスメントについては、いろんな方が、いろんな表現をしているが、単純すぎてがっかりする言説もある。
「モラハラ夫は、相手を痛めつけることが目的」という解釈は、私にとって特に違和感が大きい。それが真実であったら、どんなに離婚を決断しやすく、相手を憎んで楽になれただろうか。

夫の言動を観察していると、子どもに対する愛情はある。夫が一人で行動しているときも、子どものことを思い浮かべるシーンがあるだろうな、と推察できるくらいには、愛情がある。子を苦しめる執着と紙一重な気はするが。

一方で、私に対しては愛情がないというより、感情のある人間として見ていないのだろう。私はフルタイムで働いているが、夫は専業主婦なみの家事育児を要求してくる。
思い通りにならない妻に、命令し、条件を出し、許可制度のなかで家庭を回そうとする。それが常識だと確信している。夫の実家は、専業主婦+不在がちな父親という組み合わせだったので、そのモデルから抜け出せないのだろう。

夫の目的は、子どもと一緒に暮すことにある。だが、人の感情に共感できず、コミュニケーションの引き出しもわずかしかないため、目的のための手段が妻への暴言、支配的言動になっている。

私はこれが気の毒に思い、離婚を躊躇してきた。夫が根っから好戦的な性格で、私を攻撃することで快楽を得るような人物だったら。人並みのコミュニケーションができ、選択的に私を攻撃していたとしたら。子に関心がなく、家の外に楽しみを持っている人だったら。
きっと、もっと早く見切りをつけて、別々の人生を歩み出していたように思う。夫を憎み、自分を善として、心のわだかまりなく生きられたかもしれない。

夫は、「夫婦関係と子どものことは別。家庭内別居でも家庭を維持すべき」という。そう言わない限り、自分が子どもと離れてしまうことは、さすがに分かっているのだろう。新型コロナの流行もあって、ずるずる家庭内別居を余儀なくされた。
だが、もういいのではないか。夫が負担する家事育児は私の感覚で3割弱。だまっていれば食事が出てきて、週末も自由に過ごしている。そりゃあ夫にとって現状維持が望ましいだろう。

私は精神的に拘束され、睡眠薬と抗不安薬を常用するようになった。維持できればいいというものではない。壊すのは怖いし悲しいが、壊すしかない関係性がある事実を見つめている。

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