断髪小説 強制ファンタジー系断髪(剃り上げおかっぱ)
「あー、どっかに大金落ちてないかなぁ…」
「何言ってんの、そんなこと言ってる暇があったらバイトでもすれば?」
「だって疲れるんだもん」
「そりゃそうだけど…あ!」
「なに?名案でも浮かんだ?」
「ふふふ…ちょっとね…」
それから一か月後…
とある島に集められた、今回の提案者の百花と、報酬10万円に目がくらんだ沙也加。
なんでも、島で海の家を1日やるだけで、報酬10万円という破格のバイトなのだ。
そこに司会者のような男が現れる。
おふたりさん、ようこそこの島へ!
ここは、海の家を開くための特別な島!
でも、ただの島ではございません!
「早く教えてよ!」
あらあら、そんなにお急ぎですか?
すると、2人は、それぞれ、リクライニングチェアーに座らさせられた。
そこで、百花が異変に気がつく。
「あれ、なんか、腕のとこと足のとこ、変じゃない?」
「ん?なにかついてる?」
よく見ると、拘束具のようなものがついていた。
では、早速参りましょう!
断髪ショーの始まりです♪
その声と同時に現れた理容師が、手と足の拘束具を絞めると、大きくて黒光りしているバリカンを取り出した。
「やめてー!」
ん?なんでしょう、うるさいですね、では、アタッチメントを外してあげてください!
ここは私の島、私の言うことが全てなのですから。
私に楯突くからこうなるんですよ。
「ね、ねぇ、百花、ここ、やばくない?」
「うん、早く逃げよう…!」
おっと、おふたりさん、そんなことは十分想定済みですよ。
気がつくと島に横付けされていたボートは跡形もなく消えており、島からの脱出方法はまったく無くなっていた。
あ、それと、今後、少しでも抵抗するような姿があれば、その分、加算させていただきますので、ご注意くださいね。
「加算って、何…?」
「わからないけど、これは、逃げられないよね…」
ふたりはおとなしく椅子に座った。
おふたりはとても綺麗な髪をしていますね、どんなところがお気に入りなんですか?
「えっ、私は、小さい頃からずっとロングで、いろんなアレンジができるから好き」と百花が言った。
ミディアムのさゆりは、どちらかと言えば男顔なので、短くしたら全然似合わなくなる、と言った。
ふむふむ、わかりました。
では、おふたりの希望をできるだけ聞きますね。
「ほんとですか!?」
「ありがとうございます!」
いつのまにか3人の間には不思議な関係性が生まれていた。
はずだった。
シャキン!シャキン!
「えっ…!」
大きな声をあげたふたりの前髪は、眉毛の遥か上で切り揃えられていた。
「ちょっと!どういうことですか?」
黙れ!
理容師は先程の黒いバリカンをふたりの耳の上にあて、2ミリの長さで執拗に刈り取っていく。
そして耳の上の位置でしっかりブロッキングをして、襟足からバリカンを入れた。
カチッ…ビィーン…ザリザリザリザリ…ガッ…ビィーン…ザリッザリッ
何度も何度も往復するバリカンは、もはや黒から青を超えて、2人の頭を青白く刈り取っていく…
綺麗に刈り取ると、クリップを外し、髪を櫛でとかした。
「これで…終わり…?」
だったらよかったですね!
シャキン!
大きなハサミの音がして、耳の真横で髪が切られた。
そのままハサミは横髪と後髪を繋ぎ、反対側までまっすぐに切り揃えられた。
ジャキジャキ、ビィーン、シャキシャキ…
だいぶ乱雑に切るものだから、何度も高さの調節をしなくてはならず、耳たぶくらいの高さで切られていたはずが、いつの間にか耳上の高さまできてしまった。
「恥ずかしい、こんな髪型…」
女の子らしくて可愛いビキニ姿とは、到底似合わない髪型に、ふたりの頬は赤く染まった。
おふたりさん、これで終わりじゃないですよー!
すると理容師は、泡立てたボウルを持ち、丁寧に2ミリで刈り取られた部分に塗っていく。
ふたりは襟足だけだと信じていたが、それに反して、刈り上げられた部分の全てがカミソリで剃り上げられ、ツルツルに仕上げられた。
「何この変な髪型…」
いくら髪を引っ張っても、まったく耳にも届かない。眉毛は丸出し、パッツンの剃り上げたおかっぱ…
そんな恥ずかしい髪型にされてしまったふたりは、最初の契約の通りに、10万円を手にした。
その姿は映像にしっかりと残され、DVDで販売されたそうだ。
夏休み明け、ふたりはまだ伸びていない髪で登校し、友人達にとても驚かれた。
契約書は、きちんと読まなくてはならない。
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